巨人の阿部慎之助監督(45)とスポーツ報知評論家の掛布雅之氏(69)が5日までに、キャンプ地の宮崎でスペシャル対談を行った。リーグ連覇と13年ぶり日本一を目指す阿部監督は「2番・ヘルナンデス、3番・吉川」の超攻撃的な新打順構想を披露。若手台頭を熱望し、野手のキーマンには浅野翔吾外野手(20)を挙げた。(構成=島尾浩一郎、片岡優帆)
掛布氏(以下、掛)「連覇するためにチームはまた変わらなければいけない。そのための刺激として素晴らしい補強ができましたね」
阿部監督(以下、阿)「勝ったからこそ補強が必要だと思っていて、すごくいい補強をしていただきました。明らかに戦力はアップしているので、いい悩みが増えることはいいことですね」
掛「野手陣はね、岡本の後の5番打者がポイントですよね。FAで来ませんでしたが、阪神から大山を欲しかったのはそこを打てる打者が少ないからですか?」
阿「その通りです。だからまだ未知数ですけどキャベッジを獲得したんです」
掛「打撃練習を見ましたけど、期待できそうじゃないですか」
阿「力はありますし身体能力は抜群なので。あとは日本の投手にどうアジャストできるかですね」
掛「それとね、2番打者はどう考えていますか?」
阿「今のところは攻撃的にいきたいので、ヘルナンデスが入ってくれたらいいなと思っていますね」
掛「彼も状況に応じて右打ちとかもすると、打撃の幅がさらに広がりますね」
阿「そうですね、もともと広角に打てるので」
掛「ヘルナンデスが2番だと、送りバントという作戦はあまりないですか?」
阿「そうですね。去年の失敗を踏まえて、とにかく打って点を取る野球をしていきたいです。試合の前半は選手に状況判断させながら、どんどん打たせていこうと思っています」
掛「それとね、気になるのが坂本について。監督はどう考えていますか?」
阿「もちろん元気だったら使います。そうなった時に守備位置が動いてくるので、そこをオープン戦で試していくつもりです」
掛「坂本が元気であれば岡本の外野もありますか?」
阿「あります。岡本本人から『去年と同じポジションでいいですか』と聞いてきてくれたので。レフト、サード、ファーストですね」
掛「一塁候補のキャベッジだとか坂本だとか、いろいろな選手の状態を見て、岡本がその3つのポジションを動く形の戦い方をしていくということですね」
阿「そう考えています」
掛「監督として一番ベストなメンバーは坂本がサードに収まる形ですか?」
阿「一番はそうですね。上位は打てないと思いますけど、下位で6、7番あたりにいたら相手は嫌なのかなと。連戦でずっと出ずっぱりはないと思うので。休ませながら1年間持たせるのがこっちの役割ですね」
掛「1、3番についてはどう考えていますか?」
阿「1番は丸になるのか他の選手が出てくるのか。3番に吉川で4番に岡本、理想は5番にキャベッジですね。その後に守備の兼ね合いもありますけど、坂本なのか浅野なのかですね」
掛「そうなると下位打線の厚みがかなり出ますね」
阿「それで8番に門脇とかが入ってくればなと」
掛「十分、DeNAに対抗できる打線でしょう」
阿「できると思います」
掛「メンバーを見ると、仮にけが人が出たりしても、1年間戦力を落とさず戦える形ができてますよね」
阿「若い選手がそこに入ってきてくれればうれしいなと思うんですけどね」
掛「もう一人でも若手の突き上げがあれば、このチームはもう一皮むけるんじゃないですか」
阿「もうその通りで。一人でもいいので、(試合に)出続けられるような選手が若い子で出てくれば、チームがまた変わるかなと思います」
掛「その第1候補は誰になりますか?」
阿「浅野でしょうね。キーマンは」
掛「彼が活躍してくれれば若手にもベテランにもいい刺激を与えられる」
阿「そうなんです。本人は去年、いろいろな経験をしました。大きなミスもしました。それを糧にしてほしいんです。3年目で初のキャンプ1軍スタートですけど、いい成果を上げてほしいなと思って見ています」
◆阿部監督と掛布氏 阿部監督の父・東司さんは千葉・習志野高野球部で掛布さんと同級生。少年時代に阪神ファンだった阿部少年は、一緒に写真を撮ってもらった掛布氏がホームランを打つ姿に憧れ、掛布氏と同じ左打ちを選んだ。プレゼントしてもらった阪神2軍監督時代のユニホームは宝物として保管している。