金曜ロードショー(後9時)では、7日からSF映画の金字塔「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズを3週連続で登場。7日のシリーズ第1弾は、枠を25分拡大して放送される。今年は1985年の公開から40周年の、メモリアルイヤーとなる。
高校生のマーティ(マイケル・J・フォックス)は、ロックスターにあこがれながらも夢を実現する方法がなかなか見付からず、もんもんとした日々を過ごしていた。そんなある日、友人の発明家である”ドク”ことエメット・ブラウン博士(クリストファー・ロイド)から夜中の駐車場に呼び出される。ドクは何と、タイムマシンを完成させていた。
だがアクシデントが起こり、マーティは30年前にタイムトラベルしてしまった。元の世界に戻るには、「30年前のドク」に力を借りるしかない。何とか協力を得ることができるようになったマーティだったが、あろうことか結婚前の母に好かれてしまう。このままでは父と母は結婚せず、「未来の自分」が生まれて来ないことに。マーティは何とかして、父と母をくっつけようとするが…。
久々に見て感じたのは「無駄なシーンが一つもない」という点だ。ほんのささいな会話や場面が実は過去と現在でつながっていて、全てが無理なく、きっちりと回収されている。最近は「見る人たちに意味を考えさせる」「自由に想像させる」という作品もあり、それはそれで嫌いではないのだが、全てが計算されており「バチッとハマった」ことが分かった瞬間の爽快さは、代えがたいものではないだろうか。
印象的なシーンを見るとセリフも次々と頭に浮かんで来たが、中でも「あった、あった」と思わずニンマリしてしまったのは、タイムトラベルをするために必要な電力である「1・21ジゴワット」という数字。大きな数字であることは理解できるのだが、どれくらいなのか分からないまま、ドクの口ぶりを物まねしていたことを思い出した。
実は、この「ジゴ」というのは“架空”の単位。後に発売されたパッケージ商品の付録として付いていた脚本家のインタビューによると、「ギガ」を言い換えたものだという。最近では「ギガが足りない」など、スマートフォンのデータ量を示す時に使う単位だが、この「ギガ」は10の9乗、10億を意味する。ということは、「1・21ジゴワット」は121万キロワットとなる。
それでもピンと来ない人には、こんな例えを。観光名所として知らない人はいないであろう富山県の「黒部ダム」にある「黒部第四発電所」の出力が、最大33・5万キロワット。つまり、タイムトラベルには瞬間的とはいえ、黒部ダム3・6個分の出力が必要ということだ。それはドクも悶絶(もんぜつ)するわけです…。(高柳 哲人)