県内Jクラブが15、16日に各地で開幕戦を迎える。しずおか報知では担当記者が推す今季キーマンを選出し順次紹介していく。第1回は武藤瑞基記者が推すJ2ジュビロ磐田のDF松原后(28)。チームはジョン・ハッチンソン新監督(45)の下、ボールを保持するスタイルに挑戦中だ。攻撃のカギを握る左サイドバック(SB)は「今年は自分に懸かっている」と自らに重圧をかけながら、J2制覇に導いていく覚悟を示した。開幕戦は15日、ホームで水戸と対戦する。
いつになく真剣な表情だった。鹿児島キャンプ中のある日。取材というより雑談に近い形で磐田・松原に「今年は面白そうだね?」と話しかけた。「(昇格できるかは)俺次第だと思ってる。このサッカーを構築していけば必ず昇格できるし、いい戦いができる」と返ってきた。覚悟が伝わってくる言葉だった。
昨季の磐田はリスクをかけず、低い位置でブロックを固める“受け身”なスタイル。結果はリーグワーストタイの68失点で降格した。今季はハッチンソン監督が掲げる攻撃サッカーを体現すべく、自らボールを保持し、主体的に攻める形を目指している。「去年とは正反対。最初はとまどいがあった」というが、合宿中にミーティングを繰り返し、細かな戦術を落とし込んだ。
リーダー格に 左SBを担う松原の動きも変わってくる。単なる上下動だけでなく、ボランチに見えるような位置まで絞って組み立てに参加するシーンも目に付いた。「バイタルエリアで受けてシュートに持ち込むこともできるし、逆サイドからのクロスに入っていく得意の形も出やすい。タイミング良くポジションを取ることで、相手を動かすことが一番の狙い」とうなずいた。左MFは新加入の倍井(ますい)が濃厚。練習試合ではスピードを生かした突破を度々披露しており、「より仕掛けやすいシチュエーションをつくってあげたい」と話す松原との“化学変化”も楽しみな要素だ。
一昨年はJ2で自己ベストの6得点6アシストを記録した。「そこは絶対超えたい」と具体的目標も固まった。キャンプ中に行われた選挙ではGK川島主将を支えるリーダーグループの一員にも選出された。「地元の愛するクラブ。その中で高みを目指したい」の言葉通り、ピッチ内外で存在感を見せてくれると確信している。(磐田担当=武藤 瑞基)
〇…昨季チーム得点王のFWジャーメイン、パリ五輪代表のDF鈴木らが退団したが、過去東京Vで2年連続2ケタ得点の実績を持つFW佐藤らをバランス良く補強した。現状でGK川島、最終ラインの松原、リカルドグラッサ、江崎、川口、2列目の倍井、佐藤、ジョルディクルークス、1トップのペイショットは開幕スタメンに当確ランプ。ダブルボランチは流動的でMF上原、中村、金子で争う展開となっている。