米カリフォルニア州サンタアナの連邦地裁は6日(日本時間7日)、ドジャース・大谷翔平投手(30)の銀行口座から約1659万ドル(約26億円)を盗み賭博の胴元側に不正送金したとする銀行詐欺罪などに問われた元通訳・水原一平被告(40)に対し、求刑通り禁錮4年9月を言い渡した。大谷への1697万ドル(約26億円)の賠償も命じた。3月24日(同25日)までに出廷し、収監される。
判決を言い渡された瞬間も、水原被告は黙って座ったまま、表情は変わらなかった。米メディアが速報のために一斉に退出。ほぼ日本メディアのみが残り、最後の瞬間まで見守ったが、無表情のまま閉廷を迎えた。
紺のスーツに茶色のドット柄のネクタイ姿。発言の機会が与えられると証言台に立った。
「I want to say, I am truly sorry for Mr.Ohtani for what I have done.」
(大谷さんに、私がしたことについて心からおわび申し上げます)
用意してきた紙を見て、ボソボソと続けた。「自らがしたことを正当化しない。家族やドジャースにも謝りたい。罰を受ける準備はできています」。審理中、被告は時折、顔を細かく左右に動かしたり、唇をなめたりしていた。
量刑は求刑通り禁錮4年9月。大谷へ1697万ドルを返還し、約110万ドル(約1億7000万円)を米国税庁に返済することが命じられた。釈放後に3年間の保護観察がつく。米国の量刑ガイドラインの下限いっぱいの刑期。司法取引に応じ、捜査にも協力的だったが、刑期での情状酌量はゼロ回答。検察側の言い分が全面的に認められる厳罰となった。
「今回の事件では、彼(大谷)は金を盗まれ、利用され、食い物にされた。水原被告はうそをつき、だまし、盗みを働いた。彼の行為は恥知らずだ」と語気を強めたのは、J・マクナリー代理連邦検事。米司法省(DOJ)の公式声明によると、J・ウォルター判事は「犯罪史上、最も厚かましく、狡猾(こうかつ)な犯罪の一つである」と厳しく糾弾した。
被害額を軽視する弁護側に質問すると「彼は特別な立場にあり、事実上無制限の信用枠を与えられる世界にいた」と返されたJ・ホルコム判事は、少しあきれたような表情を見せる一幕もあった。妻の帰国費用が負担になっていたとの弁護側の主張に、検察側は大谷がファーストクラス料金を払っていたとピシャリ。日常の足として大谷からSUV型のポルシェを貸与され、すでに返却していることも新たに明らかになった。
逃走の心配がないことなどから、即日収監はされず、3月24日正午までにカリフォルニア州連邦地裁に出廷した後、収監される。南カリフォルニアでの拘留を希望しているという。刑期終了後は日本に強制送還される見込み。昨年3月に明るみに出た日米を揺るがした大騒動は、約1年で決着を迎えた。