復活を期す男が順調な調整を見せた。DeNA・山本祐大捕手(26)が8日の今キャンプ初の紅白戦で“チーム1号”となる左越え2ランを放った。
追い風が不安を吹き飛ばしてくれた。3回無死一塁。山本は森唯が投じた初球の速球をフルスイング。高々と上がった打球は右翼から左翼へ吹く風速7メートルの強風にも乗って、左翼席後方の防球ネットに突き刺さった。推定飛距離120メートル超の一発は今季の“チーム1号”。「誰も僕が打つとは思っていなかったと思う。今年はそういう幕開けでした」と笑った。
7年目の昨季は自身最多の108試合に出場。正捕手の座をつかみながら、9月15日の広島戦(マツダ)で死球により右尺骨を骨折。CSも日本シリーズも出られなかった。約5か月ぶりの実戦となったこの日は、5番・DHで先発。今年の“実戦初振り”で結果を出した。長打力アップを目指して自主トレでは先輩の佐野に師事。その成果をさっそく披露した。「試合勘もずれている感覚がなかったですし、打席に立ってのフワフワ感もなかった。自分のスイングができたのはプラスポイント」と手応えを口にした。
2日には侍ジャパンの井端監督がキャンプ地を訪問。「十分入ってくる可能性がある。候補の一人」と強打の捕手として期待をかけた。右手首付近には10センチほどのプレートが埋め込まれているが、除去手術は早くても今オフになる。「けがの心配は全然大丈夫。今年やるぞという気持ちで来ているので、そういう意味でもいい打席だったと思います」。正捕手の座を確保して、侍ジャパン入りへ。強い追い風が山本の背中を押してくれる。(秋本 正己)