石破茂首相(68)は7日午前(日本時間8日未明)、トランプ米大統領(78)と首都ワシントンのホワイトハウスで初めて会談し、トランプ氏が好きな金色を使った「兜(かぶと)」を贈呈した。
安倍晋三元首相はトランプ氏と太いパイプを築いており、何かと比較されていた石破氏の日米外交デビュー。米ゴールデングローブ賞4冠の配信ドラマ「SHOGUN 将軍」(真田広之主演)の影響や、米大リーグ・ドジャースの大谷翔平投手(30)がエンゼルスに在籍中の2023年、本塁打を打った際のパフォーマンスとして「兜セレブレーション」を行っており、米国でも兜の知名度は抜群。気の利いたお土産で“荒武者”トランプ氏のハートをがっちりつかんだ。
兜飾りの正式名称は「亜麻色縅満天金星兜(あまいろおどしまんてんきんぼしかぶと)」(16万8000円、税込み)。石破氏の地元・鳥取県の人形店「人形のはなふさ」が制作した。同店は1717年(享保2年)に創業された老舗で鳥取、島根両県で6店舗を運営。ひな人形、五月人形なども扱う。同店によると、昨年11月に外務省から注文があったという。
「米国第一主義」を貫くトランプ氏は外交交渉では、打って変わって対日貿易赤字の解消を要求。貿易不均衡が続けば、関税が選択肢となるとの考えに言及した。貿易赤字を巡る米国の厳しい姿勢が、改めて浮き彫りになった形だ。また、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を巡り「買収ではなく、多額の投資で合意した」と述べた。
石破氏は、対米投資を1兆ドル(約151兆円)規模に増やすと表明した。日本企業による対米投資の例を挙げ、米経済や雇用への貢献をアピール。トランプ氏は石破氏を「偉大な首相になるだろう」とたたえ、石破氏も「誠実で、力強い意志を持ち、強い使命感を持たれた方」と応じるなど、両者の距離も縮まり友好ムードで終わった。
石破氏は7日午後、ワシントン郊外のアンドルーズ空軍基地を政府専用機で出発し、帰国の途に就いた。
◆日米首脳会談で首相が贈った土産
▽小泉純一郎元首相 2001年10月、ブッシュ大統領に流鏑馬(やぶさめ)の道具である鏑矢(かぶらや)と弓。大統領は翌年の来日時に流鏑馬を見学。
▽麻生太郎元首相 09年2月、オバマ大統領に福井・小浜市の名産品、若狭塗の箸を家族4人分。小浜市長から託されたもの。
▽安倍晋三元首相 13年2月、オバマ大統領に山形市の工房が制作した「山田パター」。共通の趣味がゴルフだったことから。
▽安倍晋三元首相 17年2月、金色が好きなトランプ大統領に金沢市の金箔(きんぱく)メーカーが製造した伝統工芸品・金沢箔のボールペンと書類箱。