ドジャース・大谷翔平投手(30)が8日(日本時間9日)、キャンプ地のアリゾナ州グレンデールの球団施設で自主トレを行い、投本間の距離でのキャッチボール中で早くも91マイル(約146キロ)をマーク。一昨年の右肘手術、昨年の左肩手術から順調な回復ぶりを見せた。11日(同12日)のキャンプインへ向けて新フォームを試行錯誤しているが、ブルペン入りも間近に迫ってきている。
「ウッ!」。強い日差しが降り注ぐアリゾナに、気合の入った大谷の声が漏れた。気温25度。キャッチボールの締めくくりで相手に座ってもらうと、ギアが上がった。最大約60メートルの距離でフォームを確認すると、投本間ほどの距離で平地で22球を投げ込んだ。
球団スタッフが球速を測定しており、早くも91マイル(約146キロ)をマークした。昨年10月のワールドシリーズ(WS)で負傷した左肩を11月に手術。一度は右肘手術からのリハビリがストップしたが、キャンプイン3日前にブルペン入り目前ともいえる数値が出た。
23年9月に2度目の右肘手術を受け、24年3月にキャッチボールを再開。打者でMLB史上初の「50―50」(50発&50盗塁)という偉業を達成した裏で、投手復帰へのリハビリも進めていた。昨年8月、平地で89マイル(約142キロ)をマークした10日後にブルペン入りした。11日(日本時間12日)からのキャンプ序盤でブルペン入りすべく、状態は順調に上がっている。
ロバーツ監督は、10月のポストシーズンも見据え大谷の開幕ローテ入りを否定。復帰登板は5月に照準を合わせており、1日のファン感謝イベントでは「それ(5月)くらいだと思う。もう少し早くなるかもしれない」と話していた。それでも大谷は昨年12月には「そこ(開幕)に焦点を当てないと、と思っている」と意欲を示すなど前のめりだ。
さまざまな道具を使いながら、故障防止のために右肘をよりコンパクトにして、左足を少し引いてからノーワインドアップで投げるフォームに改良中。これだけの球速が出たことは、新フォームがしっかりと体になじんでいる証拠ともいえる。
この日は現地時間の土曜日とあってか、メディア以外にも日米のファンが集結。MLBのキャンプイン前では異例となる計100人が大谷の一挙手一投足を目に焼き付けた。投手人生を懸ける今季。二刀流復活への道を着実に歩んでいる。(安藤 宏太)