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羽生結弦さん 全魂を込めツアー完走「これ以上ない出来で締めくくれた」 平昌五輪金プロをノーミス

スポーツ報知 2025年2月10日 5時0分

 プロフィギュアスケーターの羽生結弦さん(30)が出演・制作総指揮を務めたアイスストーリー第3弾「Echoes of Life」は9日、ららアリーナ東京ベイで、涙の千秋楽を迎えた。埼玉、広島を経て、たどり着いた千葉でのフィナーレ。満員の8300人の観客の前で、アンコールを含む15曲を2時間半超にわたって熱演。氷上で感極まった。

 氷上で、羽生さんの思いがあふれた。「ありがとうございました…」。アンコール前のあいさつで、ファンやスタッフへの感謝を述べながら、言葉につまり、目を潤ませた。昨年12月の埼玉、今年1月の広島と合わせて全7公演を、ツアーならではの変化を遂げながら完走。「全魂を込めて滑らせていただきました」。圧巻の内容で千秋楽を終えた。

 五輪を連覇した2018年平昌大会のショートプログラム「バラード第1番」をミスなく演じきった。開演から30分滑り続けた後、それも、10分近い「ピアノコレクション」の直後に金メダル演目を持ってきた。冒頭の4回転サルコー、後半のトリプルアクセル(3回転半)、4回転―3回転トウループの連続ジャンプは、当時のままの高難度構成。最後のジャンプを降りると、高く上げた両拳を力強く握った。会場の熱量は一気に上がった。

 命の哲学をテーマに、羽生さん自身がストーリーを執筆した。「僕の頭の中、気持ち、心臓の中、魂、そんなものを全て詰め込んだ」という力作は、「音」が一つのキーワードになっている。「運命」の「音」を重ねた「バラ1」。千葉での2公演は、ともにノーミスをそろえてみせた。「もうこれ以上ないなっていう出来で締めることもできた。ちょっと放心状態ではある」と達成感に浸った。

 アンコールを含む15曲、2時間半超のワンマンショーを滑り抜いた。1月の広島公演で出力を上げた。表現を犠牲にすることなく、出力を落とすこともなく、それらが両立する作品を生み出した。氷を降りる直前、「みなさんどうか元気で、これからも元気で、絶対元気で、これからも生きてください。また未来でお会いしましょう」と叫んだ。「生きている今を真っすぐ、自分の心と自分の正義を信じて、真っすぐ進んでいきたい」。ショーの度に過去の「羽生結弦」を超えてきた。また始まる未来へ、唯一無二の表現者は、「進化」の「音」を奏でていく。(高木 恵)

ユヅに聞く「これからまた、どんどん変わっていける感触が、実感がある」

 ―ツアーが終わった。今の気持ちは。

 「とにかく頑張ったなと。このアイスストーリーというものに多くの方々が関わってくださった。感謝の気持ちでいっぱい」

 ―「バラード第1番」に、今日はどう臨んだ。

 「本当に(ツアーの)最初からかなり苦戦をして。旧採点ルールの中のショートプログラムで、後半に2回ジャンプを跳ぶ。それがトリプルアクセルと4回転―3回転という、ジャンプというものの難しさを改めて感じた。照明つきで会場によってリンクサイズが変わるということもあって、非常に調整は難しかった。氷の職人さんも含めて皆さんが一生懸命やってくださったおかげで、何とかできた」

 ―今回の7公演を経て、また何かを超えられたか。

 「新しいトレーニングも始めている。可動域や柔軟性を上げるだけじゃなく、使える体の動きと、どれだけリカバリーを早くできるかということ。あとは自分の特徴であるしなやかさ、美しさみたいなものへの磨き方の練習を、広島(公演)の直前ぐらいから始めている。それがやっと今回、まとまってくれたなっていう感覚。これからまた、どんどん変わっていけるんだなっていう感触が、実感が今はある」

◆セットリスト

 (1)First Pulse

 (2)産声~めぐり

 (3)Utai IV~Reawakening

 (4)Mass Destruction―Reload―

 (5)ピアノコレクション

 〈1〉6 Pieces for Piano,Op.118:No.3,Ballade in G Minor.Allegro energico

 〈2〉The Well―Tempered Clavier,Book1:No2,Prelude and Fugue in C Minor,BWV 847

 〈3〉Keyboard Sonata in D Minor,K.141

 〈4〉12 Etudes,Op.25:No.12 in C Minor ”Ocean”

 〈5〉12 Etudes,Op.10:No.4 in C‐Sharp Minor ”Torrent”

 (6)Ballade No.1 in G Minor,Op.23

 (7)Goliath(2024Remix)

 (8)アクアの旅路(Piano Solo Ver.)

 (9)Eclipse/blue

 (10)GATE OF STEINER―Aesthetics on Ice

 (11)Danny Boy

 (12)全ての人の魂の詩

 【アンコール】

 (1)Let Me Entertain You

 (2)MEGALOVANIA

 (3)SEIMEI

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