担当記者の注目選手、第4回は川崎FW山田新(24)。昨年11月30日の東京V戦(味スタ、5〇4)で後半アディショナルタイム4分に、プロ初のハットトリック(1試合3得点)を達成した。右足、ヘディング、最後は左足で決勝点と多彩なプレーで敵地に駆けつけたサポーターを湧かせた。昨季はチームトップ、J1得点ランキング3位タイで日本人トップに並ぶ19ゴール。今季も2年連続で副主将を任された頼れるストライカーが、8位から浮上を目指す名門再建のキーマンとなる。
麻生グラウンドの練習ではミニゲームから機敏な動きを見せる。「まずはプレーで見せられれば。その中で声を出すこと」とチームの雰囲気を盛り上げる。持ち前の得点力にかかる期待は大きい。今季から元日本代表FWの大黒将志氏(44)がコーチに就任。山田は「試合じゃなくても(大黒コーチは)ずっとオレを見ている。(DFラインの裏に)抜け出せる準備をしておけとか、いろんな場面で指示が聞こえる」と現役生活22年で公式戦222得点を挙げたレジェンドからの熱視線に感謝した。
「点の取り方を知っている。FWの気持ちも分かって、寄り添いながらやってくれる。(映像も)毎試合見せてくれて、得点から逆算した位置取り、細かい部分を指摘してくれる」とうれしそうに語った。「最後は賭け、運もあるが、よりゴールに近いポジショニングを(取りたい)」と日々、質の向上に努める。
背番号「20」と同じ、昨季超えの20点の大台到達なら、クラブでは21年レアンドロダミアン(23得点)、日本選手では17年小林悠(23得点)以来。「自分の役割をしっかり果たして、前からの守備もそうだし、ゴールを取ってタイトルに導ければ」。15日のリーグ開幕戦・名古屋戦(U等々力)から、自らの“シン化”を証明する。(川崎担当・岩原正幸)
◆山田 新(やまだ・しん)2000年5月30日、神奈川・横浜市生まれ。24歳。4歳から兄の影響でサッカーを始める。川崎のU―15、18を経て、桐蔭横浜大に進学。大卒1年目の23年に公式戦6得点をマーク。昨季はリーグ全38試合に出場し19得点、J通算65試合出場23得点。175センチ、75キロ。右利き。