◆紅白戦 紅組6―2白組=特別ルール10回表まで=(11日・サンマリン宮崎)
巨人の西舘勇陽投手(22)が11日、宮崎キャンプで行われた紅白戦(サンマリン宮崎)で白組の先発として登板し、今季初実戦ながらいきなり最速154キロを計測した。18球で1回完全、2奪三振の好投で猛アピールした。本来のクイック投法に加え、足を上げてタメをつくる新投法にも手応えを感じた最速156キロ右腕。さらにギアを上げ、開幕ローテーションをつかむことを誓った。
西舘は力いっぱいに右腕を振った。2死走者なしで、迎えた岡田。2ボール1ストライクから投じた直球が、154キロを計時した。ファウルとなったが「自分でもこの時期にこれだけ(球速が)出てびっくりはしているんですけど、今日は暖かかったのでそれもあるのかなと思います。思ったより出てるって感じがしますね。ちゃんと指にかかっているいいボールも何球かあったので良かった」とさわやかに笑った。
ちょうど1年前の紅白戦と“同じ結果”でも、取り組みは全く異なる。先頭・若林を変化球で空振り三振、続くドラ1・石塚は150キロ直球で見逃し三振。最後は150キロ直球で岡田のバットを折り、二ゴロに仕留めた。昨年も後攻の白組の先発を任され、1回完全投球。1年前は全10球クイックだったが、この日クイックで投じたのは18球中2球だけだった。
昨年2月中旬から、投球の幅を広げるためにオーソドックスに左足を上げてためるフォームにも取り組んできた。久保巡回投手コーチより助言をもらい、足をグッと引きつけるように上げて「上から叩くように」と角度をつけた投球を意識して修正した。狙い通り出力は1年前の最速149キロから5キロもアップ。さらに時折クイックを入れることで、打者のタイミングをずらせるようにもなった。右腕は「自分の中でも違和感はなく形にはなりつつあるかなと思います」と手応えをにじませた。阿部監督は「もっと出力出るんじゃないかっていう話(を久保コーチ)もされていたのでね」とさらなる成長を期待した。
“相棒”も昨年とは違う。グラブはアシックスを使用していたが、今季から米国メーカーのmarucci(マルーチ)のグラブに変更。形などは以前のものとほぼ変わらないというが、日本人投手で同ブランドのグラブを使うのは初めてだという。現在はまだ硬さがあるため練習のみでしか使用していないが「テレビに映るところで投げられるようにしたい。それは自分次第だと思うので」とブランドの名を広めるためにもさらなる飛躍を誓った。
激しさを増す先発ローテ争い。エース・戸郷、山崎、グリフィン、昨季8勝を挙げた井上の先発4本柱は強力。前楽天・田中将らも加わり、現状は4本柱以外の2枠を争う構図になっている。「他にも先発候補の投手はいっぱいいますし、その中で先発でしかも先に投げさせてもらえたのが一番うれしかった。3人で終わらせたいという気合も入りましたし、結果は良かったと思います」。さらにギアを上げ、競争に打ち勝つ。(水上 智恵)