JRAは11日、2025年度騎手免許試験の新規合格者7人を発表した。デビュー30年目、JRA通算1515勝の和田竜二騎手(47)=栗東・フリー=の長男・和田陽希(はるき)さん(17)は、父に「負けません」と活躍を誓った。千葉・白井の競馬学校で卒業式を迎えた7人は、早ければ3月1日にもデビューする。
大きな背中を追い、勝負の世界に飛び込む。和田竜の長男・陽希さんは、3年間の学校生活を「人生の中で青春だったな」と振り返り、「つらいことがあっても協力したり、時には衝突したこともありましたが仲良くやってくれました」と、ほかの同期6人に感謝した。
父は主戦を務めたテイエムオペラオーとのコンビで00年に8戦8勝と芝の古馬中長距離G1完全制覇を成し遂げ、G17勝を挙げた名馬を知る男。その姿を見て騎手を志した。特に00年有馬記念でメイショウドトウを鼻差で下した死闘は「すごく印象的でした」と語る。
卒業式に先立って行われた模擬レース最終戦では、直線で一度は先頭に立つシーンがありながらも、後続の強襲に遭い2着。見届けた父は「差されて悔しかったと思う。ただしっかり競馬はできていました」と合格点。続けて「けがをせず長く続けてほしい。今は外国人騎手にも見劣らない感じになってきたし、そのレベルまでいかないと厳しい」と激励も忘れなかった。
その父から陽希さんには、LINEで海外レースの動画が送られてくる。高い目標として掲げるのは「日本馬に乗って勝ちたい」とする凱旋門賞制覇。人馬ともに日本勢がなし得ていない越えるべき高いハードルへ向け、着々と努力を重ねる。「僕の方から騎乗フォームを見てもらうために動画を送ってアドバイスをもらっています」という。
乗ってみたい馬はドウデュース。「22年の日本ダービーを見にいったんですが、インパクトがすごかった」と東京の長い直線を使った強烈な末脚にも大いにひかれた。
“父子競演”が実現する日も近い。父が「負けへん」といえば、陽希さんも「僕も負けません」と早くも火花を燃やす。バチバチに競り合う姿はターフを盛り上げそうだ。(石行 佑介)