ヤクルトからポスティング制度で、ホワイトソックスと契約した村上宗隆内野手が22日(日本時間23日)、本拠地のレート・フィールドで入団会見を行った。契約内容は、2年総額3400万ドル(約53億7200万円)。当初、米メディアで報じられた最大8年の9桁に及ぶ大型契約にはならなかったが、代理人を務めた大手エージェント「エクセル・スポーツ」のケーシー・クロース氏は、「必要な経験を積み、2年後に機会が訪れたら、再びFAの市場に出ることができる。村上は、彼自身にとって最高にフィットする球団を選んだ」と短期契約を説明した。
日本での文句なしの実績と、空振り率の高さなどデータ面の不安。相反する2つの要素を天秤にかけて、球団と村上サイドが交渉を繰り広げた。「交渉のゲートが開いた段階では、多くのチームが興味を持っていたが、45日間の交渉期間の最終段階で、チーム(ホワイトソックス)が台頭してきた」(クロース代理人)。
交渉の最終段階で浮上した短期契約プラン。2年の勝負にかける契約は、25歳と若い村上には、むしろチャンスでもある。力を証明すれば、27歳の若さで再びFAに。その時には、日本人野手最高年俸額を更新することも夢ではない。先を見据えた選択となった。
その結果、スモールマーケット球団が目玉選手を獲得するレアなサンプルになった。選手の実績が大きい程、移籍先はドジャースやヤンキースなど資金力豊かな球団に偏る傾向が強い。だが、契約年数をグッと抑えたことで、今季の総年俸がメジャー30球団中26位という低予算球団が、日本の3冠王を獲得できた。
ゲッツGMは「日本のスーパースターが、ホワイトソックスのユニホームを着てくれるなんて、想像を超えたものがある。正直言って、彼が日々のスタメンに名前を連ねるなんて、まだ信じられない」と興奮気味に語った。
「どの契約も、その時の市場状況、個人の優先事項などユニークな要素が絡むが、今回は色んな条件が重なった。村上が、選手として何を優先するかを重要視した結果、正しい方向に向かった契約。彼にとって、ベストの選択となった」とクロース代理人は、ユニークかつ画期的な契約締結を振り返った。