記録的な暑さの影響で注目を集めた分野があります。それは自動化が進む農業です。最新の情報通信技術が暑さ対策にいかされています。
今年の記録的な残暑は、ハウス栽培の野菜にも影響を及ぼしています。安芸高田市では…。
■チンゲンサイ生産者 岡田耕治さん
「9月に入っての気温が下がらないですよね。植物にとっても暑さがもう限界まで来ていると思う」
昼間、ハウス内の温度は40度近くまで上がるといいます。そのためチンゲンサイの出荷量は例年の半分ほどにまで落ち込みました。
■チンゲンサイ生産者 岡田耕治さん
「1サイズ2サイズダウンのMとかSサイズが中心で出荷量もがグッと普通の時期より減って減収ですね」
ビニールハウスの暑さ対策は待ったなし!東広島市の農業技術センターでは、10年前から暑さ対策に取り組んでいます。
■農業技術センター 川口岳芳部長
「いわば農業DXの展示場。見て触って実際に費用対効果を見てもらって入れたいものを入れてもらう展示場になっています」
トマトを栽培するこのハウスの中に、モニタールームがありました。
■農業技術センター 川口岳芳部長
「水分や気温、湿度など気象条件をモニタリングする。それに応じていろんな機器が動いていく」
暑さ対策に活用されているのは、3つの技術です。
まず、ハウスを通常より1メートルほど高くしました。こうすることで換気用の窓を広く取ることができます。2つ目は光のコントロールです。センサーで光や温度を感知し、自動的に遮光ネットを開け閉めすることで、光合成に必要な光は確保しながらハウス内の温度が上がりすぎないように調節します。
そして3つ目は…。気象連動型ミスト制御です。温度や光が一定の値を超えるとミストが出て、湿度が設定を超えるとミストが止まる仕組みです。
■農業技術センター 川口岳芳部長
「換気と遮光とミストを加えることによって外気温より3度ぐらい下がります」
今年の記録的な暑さで注目度が高まり、全国から視察が相次いでいるといいます。
こちらは、GPS機能が付いたトラクターです。自動的にハンドルを操り、牛の飼料用のトウモロコシを収穫しています。その様子を畜産を学ぶ高校生たちが見つめていました。
■高校生
「大型トラクターとか農業機械が増えてくれれば農業を画期的に出来るんじゃないかなと思う」
さらにドローンを使った作業の実演も。農薬の代わりに水を散布しました。情報通信やロボット技術を活用し、作業の効率化と品質の向上をはかる農業は「スマート農業」と呼ばれています。
■広島大学生物生産学部 杉野利久教授
「これからの時代はスマート機器でやっていくんだというのを学んで頂ければやる気を持って担い手になって頂けるかなと期待している」
「スマート農業」で農業のデジタル化が進み、労働力不足などの課題解決につながることが期待されます。
(2024年9月19日放送)
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