ここまで、チーム1位の打率をマークし、打線を引っ張るカープ・秋山翔吾。36歳の希代のヒットメーカーがこだわるのは「1番」「1打席目」「初球振れるかどうか」です。数字の「1」に秘められた、秋山翔吾の極意に迫ります。
秋山は、8月以降に調子を上げており、存在感を示しています。
■カープ 秋山翔吾選手
「8月、あんまり好きな月じゃないんですよね。春先が割と、5月とかがいいっていう自分の体感があって。今年はそれがひっくり返っているんで、自分としても手応えのあるいい打席、いい内容をおくれているのかな、増えているのかなと思いますね。」
主に3番起用が多かった昨シーズンから一転、1番に定着した今シーズン。西武時代から慣れ親しんだ「リードオフマン」として、安定した成績を残してきました。
■カープ 秋山翔吾選手
「3番も経験したことはあるとはいえ、馴染みのない打順だっていうのが自分の中ではあって。自分の体のリズムとか、響きとか、馴染みが合うのが『1番センター』なんだなっていうのを、今シーズン改めて感じていますね。」
際立つのが、第1打席の打率です。昨シーズンは2割3分2厘だったのに対し、今シーズンは1割以上も高い打率をマーク。そこには「秋山の秋山たる所以」がありました。
■カープ 秋山翔吾選手
「特にマツダスタジアムのときは、相手の攻撃があってからなので、守ったあとの(攻撃の)入りどうするかっていうのを、センターから見ながら振っていこうかなとか、見ていったほうがいいかなとか。それしかプロに入ってきてからやっていなかったんだなっていう感覚です。」
「もちろん、試合前からプランニングはしているんですけど。このピッチャー、自分の相性もありますし、打順を組んでいる後ろのバッターの相性もあるし、チームが連勝しているか、連敗しているかとか、相手も含めてとか。自分がおさえる項目がいくつかあって。(初回の守りを)うまく3人で切れたとき、ピンチになったけど0で抑えたとき、複数失点してしまったときというのは、少し自分の考え方を変えて、元々のプランニングから少し、Bプラン、Cプランっていうのは持っているんで。」
「初球を振りに行くだけの理由が整った」試合とは!?
「初回の打席」の裏に「初回の守備」あり。そんな秋山が今シーズン、最も手応えを感じた「初回の打席」がありました。
■カープ 秋山翔吾選手
「先頭打者ホームランが2本あったんですけど、それの勝ちに結びついたほうでいうと、日本ハムのとき。」
それは、5連敗で迎えた6月5日の日本ハム戦。連敗ストップへ、どうしても先制点がほしい試合でした。1回ウラ、先頭秋山への初球は、自身通算23本目の先頭打者ホームランとなり、歴代単独9位となる一発で、チームを連敗脱出に導きました。
■カープ 秋山翔吾選手
「自分が抑える項目がいくつかあって。うちのピッチャーが森下だったっていうところがまず1つ。初回ゼロで抑えたっていうところが2つ。連敗中だったっていうところが3つ。相手ピッチャーが伊藤君(伊藤大海投手)だったっていうのが4つ。それだけあれば「初球」を振りに行くだけの理由が整ったなっていう感じでしたね。」
まさに、計算し尽くされた「初球打ち」。そこには、秋山にとって譲れないプライドがありました。
■カープ 秋山翔吾選手
「こいつまた初球をただ振りにいってるなと見られるのは、僕としてはすごく嫌なんで。なんでもかんでもじゃなくて、意図が全部説明できるだけのものをっていうのは、1打席目は特にあるかもしれないですね。」
確かなバッティング理論を基に、日米通算1772本のヒットを積み上げてきた秋山。西武での最後のシーズンとなった2019年。不動の1番として、自身4度目の最多安打のタイトルを獲得。最大8.5ゲーム差をひっくり返し、優勝に大きく貢献しました。カープへの電撃入団から2年。秋山には、このチームで挑む優勝への特別な思いがあります。
■カープ 秋山翔吾選手
「僕が入団してからもそうですけど、結構チーム内とかもそうですし、『3連覇』って言葉をすごいみんな言うなって思いましたね。あのときはよかった、あのときは強かったって言われ続ける現役の選手ってやっぱり悔しいし、それを塗り替えるためには、1個優勝しておかないといけないし。栄冠は得たいですよね。」
9月に入り、正念場を迎えたカープ。決勝タイムリーを放った7日、お立ち台に上がった秋山が、ファンに呼びかけたのはこんな言葉でした。
■カープ 秋山翔吾選手
「前だけ向いて僕たちもやっていきますし、最後広島を盛り上げられるように、最高の1か月にしたいと思うので、声援よろしくお願いします。」
【元気丸 2024年9月15日放送】