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【カープ・新井の言葉】末包昇大選手を冷静にさせた『焦るな』 指揮官が込めた思いとは…?

広島テレビ ニュース 2024年10月1日 19時42分

『新井の言葉』として、カープの新井貴浩監督のポジティブな言葉と、その真意を受け取った選手との絆から、チームの強さの秘密を深掘りします。4回目は、チーム屈指のパワーで存在感を示す右の長距離砲・末包昇大選手です。

貴重な右の長距離砲に寄せる期待

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■カープ 新井貴浩監督

「しゃべりかけてほしくなくても、しゃべりかけてくる選手はいますけどね。名前は言えないですけど。イニシャルで言いますけど、Sカネっていう。」

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その巨体から繰り出すパワーはチーム屈指。2024シーズン、チーム2位の9ホーマーをマークする末包昇大。左打者が多いカープ打線の中で貴重な右の長距離砲として存在感を示しています。プロ2年目の昨シーズン、自身初の2桁ホームランを放つなど大きな飛躍を遂げた末包。定位置がひとつ空いた外野のレギュラー獲得へ、自身はもちろん首脳陣も3年目のシーズンに大きな期待を寄せていました。

ケガをした末包に、指揮官がかけた言葉は…

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しかし、春のキャンプを直前に控えた自主トレーニング中に、左ひざを負傷してしまいます。それでも「目の前のチャンスを逃したくない」と、はやる気持ちを抑えられずにいたとき、指揮官から掛けられたのが『焦るな』でした。

カープ 末包昇大選手

■カープ 末包昇大選手

「知らない電話番号から2、3回かかってきてて「誰やろな?」って思って折り返したら、監督だったので。ケガをした当日にわざわざ電話をいただいて『焦るなよ』っていうことで。『しっかりと治してから復帰してくれよ』っていうことで、そういう言葉をいただいたんですけれども。」

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末包も驚いた電話には、どんな意図があったのでしょうか?

■カープ 新井貴浩監督

「本人も『今年やってやるぞ!』という気持ちでスタートしたと思うので、『なんでこんなケガを』という気持ちになっていたと思うんですよね。焦って(1軍に)上がってきて見切り発車で行って、さらに悪くなってまた長期間離脱をされるのが一番チームにとってマイナスだと思ったので。そこで電話したと思います。しっかり治してから、段階を踏んで(状態を)上げてくれっていう。」

2月の2軍キャンプでの末包選手

■カープ 末包昇大選手

「自分自身としては早く治してというか、無理にでもやって、早く試合に出たいと思っていたので。そこは1つ自分を冷静にさせてくれたというか。シーズンプラスアルファのこともあったので。『そこにいてもらわなくっちゃ困る』というような言葉もいただいたので、ケガをしっかり治して頑張ろうと思えるようになりましたね。」

指揮官の言葉を胸に、2軍で耐え忍んだ春のキャンプ。5月に1軍昇格を果たすと、ひと月あまりで6本のホームランを放つなど、得点力不足にあえいでいた打線をけん引しました。

再び悪夢が訪れるも…

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しかし、再び悪夢が待ち受けていました。6月22日、レフトの守備で左足を負傷してしまいます。チームがし烈な上位争いを繰り広げる中、ひと月あまりの長期離脱を強いられました。

■カープ 末包昇大選手

「だいぶ焦りましたね。開幕していなかったときのケガと、シーズン中盤でのケガっていうのは、やっぱり自分のバッティングも良くなりだしたときだったので、正直悔しかったですし、結構落ち込みはしましたね。」

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このときも支えになったのは『焦るな』でした。末包は必要とされるその時を、静かに待ち続けていました。8月、チームに戻ってきた末包を、新井監督はこんな言葉で出迎えたといいます。

■カープ 末包昇大選手

「『なんでおるねん?』っていう感じですけど。そこから『まあ頑張ろう』っていう感じで受け入れてくださいましたね。」

正念場の9月!クライマックスシリーズ進出に望みをつなぐ!

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9月に入り、勝てない日々が続くカープ。末包もまた打撃の調子が上がらず、もがき苦しんでいました。自身も現役時代、結果を残せない日々を幾度も経験した新井監督。悩める大砲に、かつての自分を重ねるように常に寄り添い、手を差し伸べてきました。そして、4連敗で迎えた9月21日の巨人戦。同点に追いつき、なおもチャンスで回ってきた8回の第4打席。連敗を止める決勝タイムリー。新井監督とともに、試行錯誤を繰り返した日々が報われた瞬間でした。

■カープ 新井貴浩監督

「まだまだですね。まだまだ打ってもらわないと。彼が言ってくるんですよね。『来年は背番号ひっくり返りますよ』と。『52がひっくり返って、25を付けます』と言うんで、「何を言っているんだ君。この成績だったら来年152番だよ」と言ってます。」

広島テレビ 森拓磨アナウンサー

末包昇大選手にかけられた『新井の言葉』は、非常にシンプルな言葉で「焦るな」でした。末包選手は欠かせない戦力だからこそ、本当は今すぐにでもチームに必要ですが、逆にけがを長引かせることはできません。また監督として、チーム状況はもちろん大事ですが、選手生命を考えないといけません。監督本人が、自分の現役と重ねていると思われる場面が時折見られます。末包選手への新井監督のマンツーマン指導には、末包選手にかける思いを感じられます。

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ペナントレースも残りわずかです。クライマックスシリーズ進出をかけて、最後の最後まで『新井の言葉』、その言葉に導かれた選手たちが、どのような戦いを見せるのか注目です。

【2024年9月25日 広島テレビ「テレビ派」で放送】

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