創業97年、東京の高級住宅街から始まったスーパーマーケットの『成城石井』が、ついに広島にオープンしました。店のオープンまでを密着して見えてきたのは、ブランドを支える「商品」と「接客」の力でした。
広島に『接客の神』が降臨!?
オープンに向け、スタッフの研修が続いていた8月。成城石井が誇る「接客の神」が広島にやってきました。
■成城石井 上野夏鈴(かりん)さん
「顔が結構怖くなっています。私がとても大切にしている『感じの良い接客』に繋がってきますので、ニコニコとしながらレジをするよう心掛けて頂きたいです。」
今回、希望して広島駅店に来た上野夏鈴(かりん)さん。成城石井に40人ほどしかいない特別な資格を持っています。
■成城石井 上野夏鈴(かりん)さん
「成城石井で年に一回行われております『ファイブスターコンテスト』がございまして、合格いたしまして、このエプロンを着用しております。」
『成城石井』が年に一度行っている、接客コンテストの全国大会。黒いエプロンは、このコンテストを通過し、さらに筆記試験に合格した者だけが着用を許されます。成城石井の従業員のうち、0.5%しか持っていない厳しい資格です。
広島の客に添った対応ができるように!
■成城石井 上野夏鈴(かりん)さん
「これから、他のスーパーさんの接客を見学しに行ってまいります。どのようなお客様が広島にいらっしゃるのかを見てみたいなと。研究をするためにも。」
研修の合間に向かったのは、広島市内の百貨店。客が店員に何を求めているのか、探ります。さらに、別の店にも足を運びました。
広島の客に何か特徴はあったのでしょうか?
■成城石井 上野夏鈴(かりん)さん
「マイバッグをお持ちのお客様が、かなり多く感じたので、『成城石井』ではサービスとして、こちらで袋詰めをしてお渡しているんですが、「ご協力ありがとうございます」のような声掛けをしっかりできるように、スタッフにも落とし込んでいけたらなと思っております。」
開店準備がスタート!
オープンまで2週間。店内には次々と商品が運ばれ始めました。品出し研修を兼ねてスタッフ一同、商品を並べていきます。
1週間ほどかけて、消費期限が短い商品以外の陳列が終わりました。
『成城石井』のスタッフとしての接客
ekieザッカマルシェがリニューアルオープンし、6店舗が営業を開始する中、『成城石井』では、実際のレジや商品を使って、詰めの研修を行っていました。『成城石井』として恥ずかしくない接客をするため、上野さんに妥協はありません。言葉遣いやレシートの渡し方など、細かな修正点も見逃さず教えていきます。
■スタッフたちは…
「だいぶ練習はしたんですけど、まだ不安はあります。」
「私は、さきほど言葉遣いをもう少し覚えるように言われました。「お預かりいたします」と「頂戴いたします」の言う場面を間違えたので。そういうところがこんがらがっているので。」
■成城石井 上野夏鈴(かりん)さん
「凝縮してみなさまに教えている形となりますので、少し漏れる部分はあると思うんですが、『感じの良い接客』を中心に、しっかり作り上げていけてるのかなと感じております。」
別の場所では接客力を高めるため、店長による研修がおこなわれていました。
■成城石井広島駅店 店長 金原(きんばら)英吾さん
「ポイントとしては、お客様の歩くスピードをしっかり意識をする。置いていかない。お客様がそこでさらに止まって「いっぱいありますね」と言ってくれた場合は、会話チャンスになります。「お客様、私こちらよく飲むんですけど」という風に説明すると、美味しかったらまた来てくれます。「オススメしてくれたシャンパンは美味しい」と実感されておりますので、また「違う商品でオススメありますか?」みたいに、完全にスタッフのファンになります。そういった接客ができるように頑張ってほしい。」
販売する商品には、どんな特徴があるのか?スタッフは全商品を試食して、見た目や成分表だけでは伝わらない部分を、自分の言葉で補います。
■成城石井広島駅店 店長 金原英吾さん
「『成城石井』は3つの力を大事にしていて、その3つの力がすべて合わさった状態が、一番お客様の期待に応えられる。『商品力』『売り場力』『接客力』この3つの力が大事になっています。」
総菜へのこだわり
『成城石井』の商品力を探るため、神奈川県にある厨房、セントラルキッチンへ。ここでは150種類の商品を手作りし、毎日全国に送ります。
中華の王道・麻婆豆腐の調理担当者は、「豆板醬・麻辣醬・甜麵醬・豆鼓醬。麻婆豆腐専門の四川料理では使っているかもしれないが、他の系統ではあまり使っていないかもしれないですね。」と、話していました。
人気商品のポテトサラダは、ジャガイモの皮まで手で剥くのがこだわりです。担当者は、「実と皮との間に、一番栄養やおいしさが詰まっているので、薄皮の部分だけを剥くというのを、こだわりの一つとしてやっています。重量だと一日1.5トンとか、今だと2トンくらいになっていると思います。」と、話していました。
「お客様目線」で商品を開発
この商品力を支える裏側に、今回カメラが入りました。『成城石井』で毎月2回開かれる新商品の開発会議です。
この日は、秋冬に向け「グリーンカレーラーメン」の審査が行われていました。見た目や味、季節感や価格など総合的に判断します。
■成城石井商品本部長 濱田智之さん
「味的に言うと、あっさりした方向に持っていったからか分からないけど、グリーンカレーの特徴とかが、あまり出ていないというか。パンチがないよね。」
■成城石井商品部GM 小林さゆりさん
「辛いものは夏に売るというのが強いので、もう少しトッピングでも、秋冬っぽさがあると、見た目のところもいいのかなと。」
審査の結果、グリーンカレーラーメンの商品化は、今回見送られました。
■成城石井 社員
「次のサンプルは、中華のルーロー飯になります。10月4日開始の台湾フェアの目玉商品となっております。」
■成城石井開発者・製造部部長 大橋尚史さん
「前回指摘していただいた味の濃さ・分量の調整をすべて行いまして、希望売価で販売できるよう調節いたしました。」
■成城石井商品部GM 小林さゆりさん
「美味しいです。味はしっかりあるけど、濃すぎないので、この量食べても食べ飽きないですし。」
■成城石井商品本部長 濱田智之さん
「味も改善されて、良くなっている。」
■成城石井開発者・製造部部長 大橋尚史さん
「高菜も2種類から選びまして、より合うほうを選びました。」
■成城石井 社員
「発売日は、台湾フェアに合わせて10月4日の店着を予定しているが、よろしいでしょか?」
■成城石井商品本部長 濱田智之さん
「できれば広島のオープンがあるから、9月30日とかに発売できると、商品部側としては嬉しい。」
■成城石井開発者・製造部部長 大橋尚史さん
「ギリギリですね…5日早まるということですか…分かりました。各方面調節とりまして、30日に発売できるよう、調節をすぐいたします。」
ルーロー飯は、商品化決定です。
■成城石井開発者・製造部部長 大橋尚史さん
「良い反応を頂けたので大変うれしいですね。これに関しては、6月終わりからずっと(開発を)やっていますね。5回目6回目でようやくOKが出るような形ですね。」
実は、この審査にも『成城石井』のこだわりが隠されていました。それが「お客様目線」の徹底です。
■成城石井商品本部長 濱田智之さん
「最終的に、お客様が「手に取ってご自宅に帰られて温めて食べる」ということを、ちゃんと同じ目線で判断しなければいけないと思っているので。前日とかに作ったものを、この場でレンジで温めて試食しています。」
オープン当日…開店準備のラストスパート!
オープン当日。店長の金原さんは、朝4時に目が覚めたそうです。
■成城石井広島駅店 店長 金原英吾さん
「ちょうど今荷物が届いたので、受け取って品出しをさせて頂こうと思います。お惣菜だけ埋めれば、準備万端という感じです。」
デザートやパン、総菜などが届き、ショーケースに並べていきます。麻婆豆腐だけで280個。店内には自家製やオリジナル商品など、およそ6000種類が揃いました。1カ月前に発売が決まったあの新商品、ルーロー飯も無事届きました。
オープン30分前になりました。
■成城石井広島駅店 店長 金原英吾さん
「おはようございます。10月1日の朝礼を始めさせて頂きます。2024年最大の新店で、本日の目標売上予算は1000万円となっております。皆様、お力を貸して頂けたらと思います。」
広島初店舗は大盛況
店の外には、すでに200人ほどの行列ができていました。
■来店客は…
「岡山にあるのに、広島になぜ無いのか常々(思っていた)。やっとできたので。」
「チーズケーキとかパンとか肉まんとか、たくさん買って帰ります。」
混雑を防ぐため、50人ずつの入場制限がかけられました。お客はゆっくり買い物を楽しみ、待ちわびたお目当ての商品を次々手に取っていきます。
■来店客は…
「バスクチーズケーキとスモークサーモンと肉まん買いました。普通のスーパーにはないものがたくさんあったので、楽しめるかなと思います。」
「シュウマイとか惣菜とかジャムとか、色々欲しいの買っちゃいました。」
「僕らは(袋に)いつも詰め込むタイプだから、キレイに入れてもらって良い。」
「(袋詰めサービスは)助かります、本当に。」
オープン初日、行列は昼頃まで続き、大盛況に終わりました。こだわり続ける「接客」と「商品」。『成城石井』が目指すのは「県民に愛されるスーパー」です
■成城石井広島駅店 店長 金原英吾さん
「(成城石井を)知って下さっているかなとか、来て下さるかなと不安はすごくあったんですけど、いざオープンしてみて、これだけのお客様にご来店いただけたので、そこの部分はすごい安心に変わりました。県民の方に愛していただきたいということで、1回ご来店されて終わりではなくて、何度も何度も来たくなるような商品であったりとか接客、我々従業員のファンになっていただいたりとか。商品だけじゃなくて、そういった部分にも力を入れて、これからも頑張っていきたいと思います。」