聖地・国立を目指す戦いが今年も始まります。第103回全国高校サッカー選手権広島県大会の決勝トーナメントが10月20日から始まります。2024年の広島大会テーマは「つなぐ、思い」です。サッカーを通して各校のつながれてきた思いを紹介します。
2024年の広島県大会の決勝の舞台は、プロの試合も行われるスタジアム『エディオンピースウイング広島』です。多くの人の思いがつながってできた夢の器で迎える初の決勝。高校生のつながる思いを深堀りします。第3回目は、大正2年創部の広島国泰寺高校のサッカー部です。伝統校の歴史とつながれてきた誇りに迫ります。
選手権3度の全国優勝、1000人を超える卒業生を輩出した広島国泰寺高校サッカー部では、現在72人が鍛錬を重ねます。予選では、伝統の「あきらめない心」で攻め続け、終盤に決勝ゴールを決め、3年連続で決勝トーナメント進出を果たしました。
サッカー部主将の徳丸秀侑くんに、今年はどのようなチームなのか話を聞きました。
■広島国泰寺高校主将 徳丸秀侑くん
「今年のチームは、自分たちで試合中に声を掛け合って、試合の中でプレーを修正していくところが、とてもいいところだと思います。」
サッカー部は1912年に発足し、戦前からサッカーの名門としてその名をとどろかせてきました。選手たちのユニフォームには『HF』の文字が印字されています。これは「ヒロシマ・フットボール」の略で、広島サッカーをけん引してきた誇りの象徴です。
■広島国泰寺高校主将 徳丸秀侑くん
「3年間ずっと『HF』を背負って戦ってきたので、その『HF』に恥じないような戦いをできればいいなと思います。」
受け継いできた誇り。そんな後輩の姿に目を細めるのは、卒業生の山成宣彦さん、81歳です。山成さんは、母校の監督を21年にわたり務め、チームを3度の選手権全国大会へ導きました。『HF』の誇りを象徴する忘れられない戦いがあります。それは、62回大会の山陽高校との県大会決勝戦です。両者一歩も譲らず、2-2で勝負は延長戦へ。およそ1万人の観客が見守る中、強豪校との死闘を制しました。
■卒業生 山成宣彦さん
「国泰寺の良さは、しんどいときにがんばる。力を合わせてみんなでしんどい局面を乗り越える。そのときにチャンスがある。そのときに頑張って点をとる。その繰り返し。その裏付けになるのが、毎日毎日の練習だと思うので。」
選手としても指導者としても、思い出が詰まった土のグラウンドには、長い歴史を物語るものがありました。
■卒業生 山成宣彦さん
「広島国体(1951年)に時にできたグラウンドらしいんですよ。その時に天皇陛下が決勝戦かなんかを見に来られたんですね。真ん中の当たりに座って、天覧試合を見られた。そういう非常に歴史のある場所なんですよ。」
トップレベルの選手もプレーしたグラウンドは、高校サッカー選手権でも使われていました。
■卒業生 山成宣彦さん
「高校サッカー選手権の決勝はほとんどここでやるように。向こう側に両チームの応援団。色々な横断幕にいろいろなことを書いて、非常に熱気があった。」
■広島テレビ 有田優理香アナウンサー
「高校サッカーの決勝と言えばここだから、ここで練習しながら決勝に立つぞという思い?」
■卒業生 山成宣彦さん
「そうですね。それはうち(国泰寺)の生徒にとっては、すごくモチベーションになっていたと思いますね。自分のグラウンドを決勝戦で明け渡すわけにはいかないぞ、という気持ちは持っていたんで。」
山成さんも、母校のグラウンドで準決勝を戦いました。卒業から60年経った今も忘れられません。
■卒業生 山成宣彦さん
「広大附属高校に負けた試合、その後全日本選手になった小城得達さんに、ロングシュートを決められたのを、フリーキックをですね。未だに軌跡をよく覚えています。雨の日のぐしゃぐしゃのグラウンドで、負けて悔し涙に暮れて、プールに飛び込んだことを覚えています。」
■広島テレビ 有田優理香アナウンサー
「喜びも悔しさも、高校サッカーの思い出はここに詰まっているんですね。」
数々のドラマが生まれた伝統のグラウンドで日々練習する後輩たちは、先輩の思いを受け継いで、目指すは「新たな聖地」です。
■広島国泰寺高校主将 徳丸秀侑くん
「広くて、全員がそのピッチの1つに注目すると考えると、自分がそこに立てたらいいなという思いがとても強いです。自分たちがこの大会で優勝して、今も国泰寺は強いんだということを示したいと思います。」
過去には決勝戦も行われていた、伝統の土のグラウンドで日々練習を送る国泰寺イレブン。広島国泰寺高校の初戦は10月20日広島翔洋と対戦します。
新たな広島の聖地『エディオンピースウイング広島』で行われる決勝のチケット情報です。決勝は11月10日、日曜日、当日現地で販売されます。座席は自由席で、般観覧の方はバックスタンドでの観戦にご協力をお願いいたします。詳しくは、広島テレビでご確認ください。