難関と言われる国家資格の1つ、気象予報士の試験に広島市内の大学生が合格しました。資格の取得を目指したきっかけや今後について、広島テレビの寺本卓也気象予報士・防災士が取材しました。
2024年の広島県内の合格者は4人で、その内の1人が広島工業大学に通う4年生の高橋克昌さんです。合格率5.8%という狭き門を突破しました。どのくらい勉強したのでしょうか?
■広島工業大学 環境学部地球環境学科4年生 高橋克昌さん
「試験が近い時は、1日平均8時間。5回受けて5回目で合格しました。」
■広島テレビ 寺本卓也気象予報士・防災士
「すごい!僕は8回です。」
高橋さんが所属するゼミのテーマは「気象に関する災害」です。20人の学生が、大雨や土砂災害に関する研究をしています。
高橋さんは、どんな研究をしているのでしょうか。
■広島工業大学 環境学部地球環境学科4年生 高橋克昌さん
「豪雨をもたらす停滞前線への水蒸気移流に関する研究というのをしておりまして、これは6月から8月の日本で大雨が多い時期に、停滞前線にどれだけ水蒸気がどこから流れてくるか、というのを研究する。」
また、近年の災害がきっかけで、このゼミへ所属を決めた学生も多くいました。
■大学1年生
「地元が災害の多い県(大分)だったので、特に台風とかの被害が多かったので、そういった気象関係で起こる災害について調べたいと思ったからです。」
■修士2年生
「最近、結構土砂崩れとか豪雨災害が発生していて、そこで防災について、気象について学んだら、メカニズムが理解できるのではないかと思って。」
このゼミでは、模型を使った本格的な実験も行っていました。
■広島工業大学 環境学部地球環境学科4年生 高橋克昌さん
「土砂災害を簡単に模型で再現する実験になりまして。このパイプから高・強度を変えて雨を降らせて、その中で土の中に入ったセンサーで、土の動きとか、土の中の水分量を計測しながら、土砂がどういう風に動いていくかというのを、簡単に実験をする装置になります。」
高橋さんは、なぜ気象予報士の資格をとろうと思ったのでしょうか?
■広島工業大学 環境学部地球環境学科4年生 高橋克昌さん
「小さい頃から自然科学が好きというのが漠然とあって、中学2年生の時に気象予報士という資格に出会って、大学に入ってから気象予報士を取りたいなと思って勉強しました。2014年とか2018年の広島で起こった豪雨災害でも、やはり自分の身近なところで起こった災害でもあったので、周りでも大変な人もいっぱいいたし、テレビとかでもそういう被害の状況とか、当時の気象状況の解説とかそういうのを聞いて、天気の情報って大事なんだな。」
指導する広島工業大学環境学部地球環境学科の田中健路教授に、気象予報士の役割について聞きました。
■広島工業大学 環境学部地球環境学科 田中健路教授
「大雨とか台風などによる洪水・土砂災害といったところで、より正確な気象情報というものを伝えていくといったところで、重要な役割が強まっています。」
せっかくなので、高橋さんにお天気キャスターにも挑戦してもらいました。
■広島工業大学 環境学部地球環境学科4年生 高橋克昌さん
「能登半島では1月に発生した地震により、地盤が緩んでいるところがありますので、土砂災害には十分注意が必要です。その他、雨の強い地域では、土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水に十分お気をつけ下さい。以上、気象情報でした。」
先輩として、少しだけアドバイスをさせてもらいました。
■広島テレビ 寺本卓也気象予報士・防災士
「僕の代わりでもいいんじゃないかぐらいの上手さでしたね。強いていうならば、ちゃんと指してはいたんですけれども、危ないところをゆっくり指して「ここら辺危険です」。自分の住んでる地域がやはり気になると思うので、明るく元気に、お天気予報を届けていただけたらなと思います。」
最後に、将来はどんな気象予報士になりたいのかを聞きました。
■広島工業大学 環境学部地球環境学科4年生 高橋克昌さん
「今の研究でも気象のことをやったりしているので、情報をしっかりわかりやすく伝えられるような気象予報士になりたいなと思います。」
現在、気象予報士は全国でおよそ1万2000人です。近年の災害がきっかけで、気象予報士を目指す人が年々増えています。
気象予報士は、それまで気象庁ができなかった各地の詳しい天気予報を任せるために、そして、気象庁が観測や調査に専念したいという思いから創設されました。現在の気象予報士には、防災や避難情報などの防災力も求められます。今回取材した高橋さんも、防災士の資格も持っているそうです。今後の高橋さんの活躍に期待です。
【2024年11月14日放送】