広島テレビのアナウンサーが気になるテーマを自ら取材してお伝えする『アナたにプレゼン』。地方創生をお伝えする宮脇靖知アナウンサーが、伝統を絶やさない小さな醸造蔵の新たな挑戦についてお伝えします。
10月に世界的なソースコンテスト『2024 Sauce King NYC』が、ニューヨークで行われました。世界各国から寄せられたソースを、ニューヨークのシェフや料理の専門家が審査した結果、『Jammin' Sauce(ジャミンソース)』がバーベキューソース賞を受賞しました。このソースは、バーベキューで肉を焼いたり、チキンライスやタコスを作る際に使います。
このソースは、ニューヨークから遠く離れた広島県安芸高田市向原町にある『和高醸造』で作られています。『和高醸造』は1920年に創業し、アットホームで、パートを含めた数人で主にみそやしょうゆを製造しています。このソースの仕掛け人は、4代目の大坪慎吾さんです。
大坪さんによると、『和高醸造』の定番商品で、地域で愛されているみそやしょうゆの消費が、4代目に就任した9年前から落ちてきていたと言います。その中で「どうすれば、この事態を変えられるのか」と考えた結果、「若い人にも手に取ってもらえるような商品を作っていけばいいんじゃないか」と、新しい市場を開拓することにしました。「自分の好きな物と一緒の物なら、情熱を持ってさらに伝えられるのではないか」と、思いついたそうです。
大坪さんの好きな物は「DJ」です。DJと融合させて「新しい人たちや若い人たちにも手に取ってもらえたら」と考えました。DJは外でのイベントも多く、自分が作ったみそやしょうゆを使ったバーベキューソースで料理を提供したところ、反応が良かったため製品にすることを決め、バーベキュソースを開発したそうです。
そして、10年前に完成したのが「ジャミンソース」で、「ジャークチキン」というジャマイカの郷土料理を作る時などに使われるバーベキューソースです。調理方法は、このソースに鶏肉を2~3日漬け込んで焼くだけで、シンプルな料理です。ソースの名前にある「ジャミン」は、みんなと一緒になってワイワイ楽しむ「ジャムセッション」の意味が込められているそうです。
ソースを購入すると、ある特典カードが付いてきます。このカードの裏面にあるQRコードを読み取ると、レゲエ調の音楽を聴くことができます。『和高醸造』では、「ジャミンソース」の他にも色々なソースを製造しており、各ソースのイメージに合わせて一線級のDJたちが曲を制作しました。「音楽との融合」として、曲を聞きながら調理をしたり食べてもらうことで、音楽とソースを楽しんでもらおうと考えたそうです。また、Bluetoothなどにつなぐことも可能です。
「ジャミンソース」を使った「ジャークチキン」は、とても味わい深く、カレーのようにスパイシーで、後から鼻の中に抜けてきます。カツオだしをたっぷり使ったしょうゆを使用していることから、日本人の口に合いやすいバーベキューソースになっています。まさに「伝統を生かしながら、新しい挑戦」をしています。
「ジャミンソース」は、音楽「BEAT」と食べる「EAT」を掛け合わせた「UP BEAT SAUCE(アップビートソース)」というシリーズの1つです。現在6種類あり、季節限定でさらに1種類加わります。オンラインショップで購入できます。
しょうゆとソースで作っているため、豚の生姜焼きやカツサンド、揚げ物との相性も良いそうです。ソースによっては、チリソースなどはサラダにかけたり、野菜スティックにつけて食べたりなど、色んな料理に使うことができます。「いろんな楽しみ方をして欲しい」という思いが込められています。
大坪さんは、人口が少なくなっていく中で「このソースと音楽を通して向原というところを 楽しんでもらいたい。若い人には、いずれ移住してもらえるような場所作りを盛り上げていきたい。」と話していました。向原の若き醸造家が取り組むソースを、ぜひ手に取ってみてください。