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【特集】日本被団協・箕牧智之さん生出演 「ノーベル平和賞」「AI被爆証言」  被爆地ヒロシマの1年を振り返り

広島テレビ ニュース 2024年12月18日 16時17分

ノーベル平和賞の授賞式を終え、帰国したばかりの日本被団協の箕牧智之(みまき・としゆき)さんにお越しいただきました。日本被団協のノーベル平和賞をはじめ、被爆地ヒロシマが注目された1年を振り返ります。

日本被団協代表委員 箕牧智之さん

広島テレビ放送

■広島テレビ 森拓磨アナウンサー

ノーベル平和賞の授賞式を終えられて、先週帰国されたばかりの日本被団協の箕牧智之(みまき・としゆき)さんにお越しいただきました。ノルウェーの長旅、お疲れ様でした。

■日本被団協代表委員 箕牧智之さん

ありがとうございます。

■広島テレビ 森拓磨アナウンサー

先程お伺いしたら、帰ってこられても毎日本当にいろんな行事や、いろんな方に面会されることがあって、お忙しいですね。

■日本被団協代表委員 箕牧智之さん

忙しいですね。もう年末年始、年賀状も書きません。

広島テレビ放送

■広島テレビ 井上沙恵アナウンサー

授賞式では、箕牧さんも壇上で賞状を受け取られていましたが、授賞式を振り返っていかがですか。

■日本被団協代表委員 箕牧智之さん

あの時思ったのが、1945年8月6日の原爆によって即死された人から、79年その間、無念の死を遂げられた多くの人たちのことを思うと、胸に迫るものがあって「箕牧さん、あなたちょっと光っとったで。」と言われました。

■広島テレビ 森拓磨アナウンサー

そうですね。私たちも見ていて、ちょっとぐっと涙を堪えられる姿というのは、非常に印象的な姿でした。

日本被団協のノーベル平和賞と被爆地・広島が注目された1年

広島テレビ放送

■ノーベル賞委員会 フリードネス委員長

「2024年のノーベル平和賞は、日本被団協。」

広島テレビ放送

■日本被団協代表委員 箕牧智之さん

「日本被団協?うわー!電話せにゃいけんわ!」

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長年にわたる核兵器廃絶への取り組みが、改めて評価された日本被団協。ノーベル平和賞受賞の背景には、緊迫する国際情勢がありました。

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■ロシア プーチン大統領

「ロシアを脅かすことは、誰にも許さない。ロシアの戦略軍は、常に戦闘態勢にある。」

ウクライナに軍事進行したロシアは、核の威嚇を繰り返しています。

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中東でも核兵器を持つとされるイスラエルが、激しい攻撃を続けています。「核のタブー」が脅かされる現状です。2024年の平和記念式典には、戦闘を続けるイスラエルの大使も参列しましたが、招待の是非を巡り議論を呼びました。

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2024年から安全対策として、入場規制の範囲を拡大しました。平和公園に入るための手荷物検査が行われるなど、例年と違う光景となりました。

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世界から注目が集まる広島。G7広島サミットなどの影響で、入館待ちの行列ができていた原爆資料館は、混雑緩和のためインターネットでのチケット販売を開始、開館時間も延長しました。

池亀和子さん

あの日を知る被爆者は、年々少なくなっています。池亀和子さんは、原爆死没者名簿に被爆者の名前を記し続けました。胃がんを患いながら、35回目の記帳をした直後に、82歳で永眠されました。

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■森田隆さん

「「日本を捨てて外国に行っといて…」(国の担当者から)そういう悲しい言葉を受けました。」

森田隆さんは、広島で被爆後にブラジルに移住し、在外被爆者の援護に尽力しました。2024年8月に100歳で永眠されました。

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被爆者の平均年齢は、85歳を超えました。継承の重みが増す中で始まった新たな取り組み。AI(人工知能)を活用して、被爆者と疑似的に対話できる装置の製作が進み、2025年に運用が始まる予定です。

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被爆80年を前に、日本被団協に贈られたノーベル平和賞。

■日本被団協代表委員 田中熙巳(たなか・てるみ)さん 

「核兵器は一発たりとも持ってはいけないというのが、原爆被害者の心からの願いであります。」

広島テレビ放送

被爆者の声が世界に届いた瞬間でした。しかし、日本被団協は「これがゴールではない」と訴えます。核兵器の開発や保有などを全面的に禁止する「核兵器禁止条約」に、日本政府に参加を求め続けています。

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授賞式が行われたノルウェーは、軍事同盟のNATO加盟国ながらも、条約にオブザーバー参加しています。日本被団協の代表は、ストーレ首相と面会しました。

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■日本被団協代表委員 田中熙巳(たなか・てるみ)さん 

「本当は日本が、核戦争被害国と言っている日本が、先頭に立たなくてはいけない。日本被団協として帰国後、政府に対してまず核兵器禁止条約をきちっと固めていくということを、要請していきたいと思う。」

広島テレビ放送

原爆投下からまもなく80年。被爆者たちが作り上げてきた「核のタブー」が脅かされる国際情勢の中、世界に訴えた思いは届くのでしょうか 。

箕牧さんが思うこれからの未来

日本被団協代表委員 箕牧智之さん

■広島テレビ 森拓磨アナウンサー

先ほど、亡くなられた方々への思いが溢れていたという話がありましたけれども、一方で、最初に声をあげて、ここまで活動されてきた日本被団協、先人たちへの思いはいかがですか。

■日本被団協代表委員 箕牧智之さん

全く組織のないところから組織を立ち上げるというのは、非常に困難があったと想像します。組織がずっとあれば継いでいけばいいんだが、全然ないところからスタートするんですから、随分なご苦労があったと思うんですよ。 特に森滝市郎さんを始め、まだ戦後復興がままならん間にそういう行動を起こされたということはね、私たちは非常に尊敬しております。

(左)井上沙恵アナウンサー(中央)森拓磨アナウンサー(右)箕牧智之さん

■広島テレビ 森拓磨アナウンサー

身を隠すようにしていた被爆者の皆さんが集まって、声をあげて、今まで続いてきた活動だと思うんですが、箕牧さんはノルウェーに行かれて、向こうで被爆体験を話したいんだとおっしゃっていましたけれども、実際に話をして返ってきた反応ですとか、皆さんの表情とかご覧になっていかがでしたか。

■日本被団協代表委員 箕牧智之さん

私たちは、全然被爆証言する時間がなかったんです。もう、次から次へびっしり予定が組まれていて。王様のところ行ったり、議会へ行ったり、それから子どもたちの、ちょっと子ども会みたいな学校に行って、子どもからたくさんのプレゼントを頂いたりね。子どもとの会話もありました。

広島テレビ放送

■広島テレビ 森拓磨アナウンサー

その時に、例えばノルウェーの皆さんとの話の中で、どういった反応が返ってきましたか。

■日本被団協代表委員 箕牧智之さん

日本はこれからも平和であってほしいことを私たちは訴えるんですが、世界が平和でないといけないので「戦争・核兵器大嫌い。平和大好き。」というような言葉をかけたり、色々しました。

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■広島テレビ 井上沙恵アナウンサー

2025年は被爆80年です。そして、オスロでは高校生平和大使など、若い世代が活動する姿もありましたが、次の世代にはどんなことを期待しますか。

■日本被団協代表委員 箕牧智之さん

私たちは平均年齢85歳を超えたと言われておりますし、私自身もあともう10年…よう生きんと思うんですが、被爆者がいなくなる日が必ず来ますから。それまでに、今の高校生平和大使のような人がどんどんどんどん増えてっいって、平和・戦争・核兵器に関心を持って、人が育ってくれればありがたいと思います。

広島テレビ放送

■広島テレビ 井上沙恵アナウンサー

授賞式をご覧になった方の中には、平和のために自分が何かできるだろうかと感じた方も、たくさんいらっしゃると思うんですが、私たち一人一人ができることは、伝えていくことが一番大事なんでしょうか。

■日本被団協代表委員 箕牧智之さん

広島市内は、伝承者の育成をされるような制度もできておりますから、皆さん一生懸命被爆者の話を聞きながら、伝承活動を続けておられる姿が、私たちにとってはありがたいと思っております。

広島テレビ放送

■広島テレビ 森拓磨アナウンサー

田中熙巳(たなか・てるみ)さんも、次の世代がどう切り開いていくかが大事になってくるという話をされていましたが、そうした市民活動がある一方で、国としては日本は、核兵器禁止条約に現在参加していません。先ほど、オブザーバー参加の話もありました。これについて、どのようなことを期待されますか。

■日本被団協代表委員 箕牧智之さん

2025年3月にありますが、3回目ですからね。3回目の核兵器禁止条約には、是非ともオブザーバー参加して頂きたいということで、与党のある政治家に訴えたり、お願いしたりしておるんですが、なかなか実現への道が厳しいような気がするんですね。ドイツとノルウェーがオブザーバー参加、今回は特に、被爆者を救う基金を立ち上げようというような話し合いが、おそらくあります。だから、日本は参加して悪いことないはずなんですよ。それなのに、核保有国が1カ国も参加していなくて、これで行かないと、そういう風な後ろ向きな姿をされるんで、被爆者は非常に怒っております。

広島テレビ放送

■広島テレビ 森拓磨アナウンサー

石破首相も、話が色々言ったり来たりしながらも議事録を読むなどして、検証したいというようなコメントもありますし、なんとかというところではありますよね。

■日本被団協代表委員 箕牧智之さん

石破首相のさじ加減でオッケーになるのか、否定になるのか非常に心配しております。今、1番心配しておるんですよ。2025年早々から、もう3月ですから、すぐきます。

日本被団協代表委員 箕牧智之さん

■広島テレビ 森拓磨アナウンサー

平和賞の授賞式に参加されて、改めて被団協として、そして箕牧さんとして、2025年が80年という節目ですけれども、これから日本に期待されること、日本が担っていく役割というのは、最後にどういう風に考えますか。

■日本被団協代表委員 箕牧智之さん

被爆79年が今経っておりますが、そこでノーベル平和賞を頂いた日本被団協に、世界の注目が集まると思います、来年はね。是非とも、このテレビを見ておられる皆さん方、平和を考える機会を作っていただくとありがたいですね。

【テレビ派 2024年12月16日放送】

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