「わたしらしく生きるプロジェクト」。今回お伝えするのは広島テレビが取り組む女性アスリートの健康支援プロジェクト「ウィサポ」です。
女性アスリートたちは激しいトレーニングや体重制限により生理不順や無月経など様々な健康課題を抱える現状があります。
そういった課題と向き合う「ヘルスリテラシー」を高めようと、女子プロサッカーサンフレッチェ広島レジーナの選手たちが講習を受けました。
1月21日に行われた講習会にはレジーナの選手約30人が参加。講師は産婦人科医の能瀬さやかさんです。能瀬さんはスポーツドクターの資格もあり、オリンピック選手をはじめ多くのアスリートを診察してきました。
講習会のテーマは「女性アスリートのケガ」に焦点を当てたものです。
こちらは女性特有の3つの大きな健康障害、利用可能エネルギー不足・骨粗しょう症・無月経。
これらいずれかを認めるアスリートは、疲労骨折などケガのリスクが高まります。さらに、パフォーマンスにも影響があると能瀬さんはいいます。
■能瀬さやか先生
「例えばエネルギー代謝が落ちたりメンタルヘルスの問題が出てきたり、睡眠障害、発育・発達、免疫の低下、このような全身の生理機能に影響が出てくる。1回疲労骨折を起こすと競技機会、トレーニングの参加が減ってしまう。」
利用可能エネルギー不足を補うのに重要になるのが「食事」です。講習会では管理栄養士による食事指導も行われ選手にとって知識を深める時間になりました。
■サンフレッチェ広島レジーナ 李誠雅 選手
「女性アスリートとして月経や栄養不足の症状はパフォーマンスに影響するし競技人生だけでなく今後の人生においても長く付き合っていかないといけない問題なので食事の部分であらゆる栄養素をとってメンタル面でもフィジカル面でもいいリカバリーや練習ができたらいい。」
能瀬さんが講習会を通して話すのが「自分自身を知ること」。アスリートは体重制限などで無月経や月経不順も多いです。正しい知識を持っていたら早期に婦人科の病気を予防できることもあります。自分の体について知ること正しい知識をもって対策をすることは人生の質を向上させ、ライフプランの形成にも役立ちます。
そして今回の講習会で主なテーマになった「女性アスリート特有の健康課題とケガの関係」。VTRの中でも紹介した3つの主な健康課題の症状。その発端にあるのは、「利用可能エネルギー不足」です。その影響を受ける形で、「無月経」や「骨粗しょう症」が深刻化していきます。そこで大事になるのが「食事」です。
そもそも利用可能エネルギーとは、食事からの摂取エネルギーから、運動による消費エネルギーを引いた残りのエネルギーのことで、これが、基礎代謝や日常活動で使えるエネルギー量になります。
激しいトレーニングに加えて食事制限を続けていると、十分なエネルギーを確保できなくなります。エネルギーの不足はトレーニングの強度が落ちる、疲労が回復しないといった問題を引き起こしますが、女性にとってはそれだけではありません。利用可能エネルギーが不足している状態では女性ホルモンの分泌に悪影響を与えることにつながりパフォーマンスの低下、最悪、選手生命を失う結果にもなりかねません。さらには「不妊」の原因になるなどその後の長い人生に影響を及ぼす可能性もあります。これは実はトップアスリートに限らず私たちみんなに関係のあることです。早期の発見が大事です。自分のこととして捉え、自分自身と向き合うきっかけにしてください。
(2025年2月6日放送)
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