広島市の安佐動物公園で、国内初のマルミミゾウの妊娠が確認されました。出産や子育ての支援を募るクラウドファンディングでは、目標額の3倍を超える支援が集まり、周囲の期待を受けながら、出産に向けて順調に過ごしているようです。
20年以上にわたり、、広島市安佐動物公園で飼育されているメスのマルミミゾウ「メイ」。マルミミゾウとしては、国内で初めてとなる妊娠が確認されました。
■来場客は…
「妊娠はおめでたいことだなと思っていたので、無事、出産まで親子共々、健康に産まれたらいいなと思っています。」
安佐動物公園は3年前、お隣の山口県からオスの「ダイ」を迎え入れ、メイとの繁殖を目指してきました。そして、2023年の12月に交尾を確認。2024年8月、待望の妊娠がわかりました。
■広島市安佐動物公園飼育・展示課主任技師 栗原龍太さん
「妊娠して「やった!」っていう気持ちもあるんですが、こっちも初めてのことなので、うまく対応できるかどうかっていうのは、すごい不安があって、ないまぜになった感じの気持ちでしたね。」
マルミミゾウは、絶滅の危機に瀕しています。飼育されているのは世界で3頭で、1頭は、西アフリカのコートジボワール共和国にある動物園に、2頭が安佐動物公園にいます。
園にとっても、ゾウの出産は初めての経験です。一般的に、ゾウは「初めて妊娠するのは、15歳までが望ましい」と言われています。メイは現在26歳のため、初産としては高齢出産となり、日々、細心の注意を払います。
■広島市安佐動物公園飼育・展示課主任技師 栗原龍太さん
「他の動物園さんでは、アジアゾウとかサバンナゾウで出産例があるので、そういったところでちょっと情報を聞きながら、どういったことを気をつけるべきかというのを踏まえながら、ちょっと準備しているという状況です。」
世界でも貴重なマルミミゾウの出産や子育てを支援してもらおうと、園ではクラウドファンディングを募ることにしました。目標額は900万円。すると、およそ2か月で、その3倍以上の3000万円あまりが全国から集まりました。
資金は、出産予定日を正確に予測するための装置や、遠隔でも監視できるカメラの設置、生まれたあとのミルク代や暖房器具の購入などに充てられる予定です。
■広島市安佐動物公園・園長 阿部勝彦さん
「本当に驚いていますね。こんなにたくさん支援いただくとは思っていなかったので、本当に責任も重大だなと思っています。たくさんの応援のメッセージもいただいたので、それはすごく励みになりましたね。」
妊娠してからのメイの健康状態は良く、乳房が少しずつ大きくなってきているそうです。おなかの赤ちゃんも、エコー検査では、肋骨や拍動、頭の骨の一部と思われるものや、へその緒内の血流の往来も確認され、順調に育っているものと見られます。
■広島市安佐動物公園飼育・展示課主任技師 栗原龍太さん
「神にも祈るみたいな感じではありますけど、まず本当に無事に生まれてくることが大前提になってきますので、そこをまずクリアしたいと思っています。待ち遠しいような、やっぱちょっと怖いような、そんな感じですかね。」
赤ちゃんの性別は、まだ確認されていません。このまま順調に育てば、2025年の8月から10月頃に、メイは出産を迎える予定です。
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