厳しい寒さが続いています。エアコンで暖房をつけている人も多いと思いますが、つけっぱなしにして外出してしまったことはありませんか。またペットを飼っている家庭では、エアコンは入れっぱなしが基本になっている場合もあるでしょう。この場合、電気代が気になりますよね。
そこでこの記事では、FPが「1日中エアコンをつけっぱなしにした場合の電気代」を試算してみました。また、こまめにエアコンを切るよりも、つけっぱなしにした方が良いケースも紹介しますので、参考にしてみてください。
●エアコンを1日中つけっぱなしにしたら、電気代はいくら?
30分の外出ではエアコンの電気代は、製品仕様書に記載されている消費電力から求めることができます。この消費電力は、定格消費電力といって、その機器が一定の条件下で安定して動作する際の消費電力を表しています。
そのため、最大負荷条件下での電気代を知るには適していますが、24時間つけっぱなしの場合の消費電力を把握するには適していません。
エアコンはつけ始めが一番電力を消費し、設定温度に達した以降の消費電力は小さくなります。また、外気温や設定温度、住宅の構造などによっても消費電力量は異なってきます。そのため、正確な電気代を割り出すことは難しくなりますが、「期間消費電力量」から計算することで、ある程度の目安を知ることができます。
期間消費電力量とは、1年間を通じてエアコンを使用した場合の消費電力量の目安です。JIS規格に基づいて算出され、こちらも製品仕様書に記載されています。暖房を使用する期間の合計の消費電力量が示されているので、そこから1日の電力消費量を割り出すことができます。
ここでは、8~10畳タイプの一般的なエアコンの期間消費電力量(ダイキン「エアコン Eシリーズ S284ATES-W」)をもとに、1日中つけっぱなしにした場合の電気代を計算します(参考:ダイキン)。
・期間消費電力量(暖房期間合計):640kWh
・算出基準
外気温度:東京をモデルとする
設定温度:暖房時20度
暖房期間:160日(11月8日~4月16日)
1日:6:00~24:00の18時間
住宅:平均的な木造住宅(南向)
この期間消費電力量と算出基準において、1日あたりの消費電力量を求めます。
・1日あたりの消費電力量:640kWh÷160日=4kWh
1日(18時間)の電気代は、124円となりました。仮に夜もエアコンをつけっぱなしにして24時間稼働させた場合は、165円になります(※)。
※全国家庭電気製品公正取引協議会「電力料金目安単価」の1kWhあたり31円(税込)を用いて計算しています
●設定温度で電気代は変わる
前出の試算では設定温度が20度であるため、1日中つけっぱなしにしても、電気代は124円と比較的安く済んでいます。エアコンの暖房の場合、設定温度を1度上げると約10%消費電力が増えるとされています。この考え方で単純計算すると、設定温度を24度にした場合は、40%増えることになり、174円になります。24時間稼働すると、231円です。
そのため、1度でも設定温度を下げれば節約につながるので、加湿器やサーキュレーターを併用して暖房効果を上げてみるのはいかがでしょうか。加湿器は湿度を上げることで体感温度を上げることができ、サーキュレーターは温度ムラをなくすことで暖房効率を上げることができます。
サーキュレーターの消費電力は、1時間あたり0.8円程度です。加湿器は、種類によっては電気代が高めのものもありますが、適度な湿度を保つことの快適さを考えれば、節約より優先してもよいのではないでしょうか。
●エアコンつけっぱなしの方が電気代を節約できるケースとは?
エアコンは、運転を開始した直後が一番電力を消費し、外気温と設定温度の差が大きいほど消費電力が多くなります。そのため、外気温によってはこまめに入り切りをすると、かえって電力を消費してしまうことがあります。
エアコンの電気代は、外気温が3度よりも低い場合は、つけっぱなし運転がお得で、3度以上の場合は、こまめに消す運転がお得であるとのシミュレーション結果があります(※)。
3度を下回るような寒い日は、ちょっとした外出ならエアコンをつけっぱなしの方が節電になる場合があることを覚えておくとよいでしょう。
※パナソニック調べ。室内温度24度、暖房温度設定24度、電気代27円/kWhでのシミュレーション結果(出典:パナソニック)
●まとめ
エアコンは、設定温度を維持するための消費電力量を比較的抑えられるので、1日中つけっぱなしにした場合でも、電気代は100円~200円台で済むことが分かりました。しかし、年間にすると数万円になるので、長時間使わないときは切る、暖房効率を上げる取り組みをするなど、無理のない範囲で節電につなげていきましょう。