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Apple、生成AI「Apple Intelligence」発表 オンデバイス処理でSiriも大幅進化、ChatGPTとも連携

ITmedia Mobile 2024年6月11日 3時35分

 米Appleは6月10日(現地時間)、新しいAIパーソナルアシスタント「Apple Intelligence」を発表した。iOS 18やiPadOS 18、macOS Sequoiaのさまざまな場面で、生成AIによる新機能を利用できるようになる。2024年内には、米OpenAIのChatGPTとの連携機能も追加する。

 まずは今夏に米国で提供を始める。対応製品はiPhone 15 Pro/15 Pro MaxおよびM1以降のチップを搭載したMacとiPadとなる。他の言語とプラットフォームについては、2025年にかけて順次提供していくという。

●Siriの進化 デバイスの設定変更やアクションも自然な言葉で

 Siriの言語理解能力が向上し、より自然な会話で開いているアプリ上の操作やタスク処理を指示できる。例えば以下のような自然な言葉による指示が使えるようになる。

・「Jozが先週シェアしたファイルを見せて」

・「妻がこの前送ってきたポッドキャストを再生して」

・「友人が前におすすめしてくれた本のタイトルを教えて」

・「ニューヨークでピンクのコートを着たステイシーの写真を見せて」→「この写真を目立つように画像編集して」→「これをステイシーの経歴とともに私のメモに追加して」

・「ProCameraで瞬間ごとに光跡のビデオを撮って」など

 会話の文脈も理解できるため、回答に続けて質問するときに「そこ」といった指示語も理解できるという。こうした機能を実現するため、アプリ間の処理(インテント)機能も強化した。

 デバイスの設定変更やアプリ内の機能もSiriに自然な言葉で指示できるようになる。例えば「今書いているメッセージを明日送るには?」など、機能の名前を知らなくても、実行したいことを言葉で表現して実行できるか尋ねられるようになる。

●より高度なスケジュール機能など

 Apple Intelligenceは、保存された写真や予定、ファイルなどに加えて、やりとりしたメッセージやメールの内容も情報検索のソースに使う。

 例えば、カレンダーに登録していた会議の時間が変更されたとき、その後に予定していた娘の演劇イベントに間に合うか不安になったとする。Apple Intelligenceは娘が誰なのか、娘から送られてきた演劇イベントの詳細、会議の場所から演劇イベント会場までの交通状況などを把握し、ユーザーに状況を提示できる。

 他にも、以下のような使い方ができる。

・「飛行機でやってくる母を迎えに行くのに適した時間は?」→母とのメールのやりとりから、フライトの詳細やリアルタイムの運航状況を照らし合わせて最新の到着時刻を表示する

 Appleは「Apple IntelligenceのおかげでSiriがより強力になり、よりパーソナルになる。これはほんの一例だ。完全なゲームチェンジャーで、2024年はSiriにとって新しい時代の始まりだ」とアピールしている。

●文章のライティングや要約、校正など

 生成AIが得意とする文章の執筆や要約、校正といったライティングツールもさまざまな場面で使えるようになる。OSの機能として組み込まれるため、メールやSNSなど、他社製アプリを含むあらゆる場面で使える。

 メールアプリの受信トレイでは、各メールの最初の数行をプレビュー表示するのではなく、重要な部分の要約を表示するようになる。メールを開いてから内容を要約することもできる。

●画像生成、高度な写真編集など

 例えば、写真ライブラリ内にある人物の写真から、その人の似顔絵を使った画像を生成して誕生日を祝うスタンプを作れる。画風はスケッチ、イラスト、アニメーションから選べる。

 独自のUIで複数のキーワードから画像生成できる。

 写真の背景にある邪魔なオブジェクトを消せる写真編集機能も追加する。

●オンデバイスで処理 許可すればChatGPTとの連携も可能

 AppleはApple Intelligenceの機能がパーソナルな情報と密接に連携しているとして、情報を正しく取り扱う必要があると強調した。いずれの処理は基本的にオンデバイスで処理される。ただし、さらに大規模な処理を実行したい場面が出てきた場合に向けて、独自のプライベートクラウドコンピューティングも構築したという。

 より大きな計算能力が必要な場合は、そのタスクに関連するデータのみを同サーバに送信して処理できる。いずれもAppleのサーバにデータが保存されることはなく、Apple自身もアクセスできない。第三者によって、サーバで実行されるコードを検査し、プライバシーについて検証できる環境も用意するとしている。

 また、さらに高度な回答を得たい場合は、米OpenAIのChatGPTに情報を渡して処理するといった選択も可能だ。

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