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KDDIが5G「Sub6」の実効速度を公開 エリア拡大で下り300Mbps超を実現

ITmedia Mobile 2024年6月14日 17時34分

 KDDIは6月14日、首都圏で意図的に狭めていた「Sub6」のの5Gエリアを拡大したと発表し、その実効速度を都内で報道陣に公開した。Sub6は5G専用に割り当てられた6GHz帯以下の周波数帯を指す。公開場所は「ザ・プリンス パークタワー東京」(東京・港区)で、屋外だ。

 デモンストレーションでは、同会場をカバーするSub6の基地局の設定を変更し、出力を上げる前と後での差を比較した。出力を上げる前の速度測定結果は下りが72.6Mbps、6.10Mbpsとなった。電波の強度はマイナス110を下回り、通信速度の体感としては遅い。

 続いて、同会場とネットワークセンターを接続し、中継映像を確認しながら、出力を上げる作業を実施。現場と同センターとで、出力を上げる基地局の場所や、トラフィックなどの確認をする様子を確認できた。

 出力を上げた直後、電波の強度に変化が出た。電波の強度は出力を上げる前と後でマイナス85~95ほど(20db)の差となり、出力を上げた後の電波の強度が増した。出力を上げた後の速度測定結果は下りが447Mbpsで、上りが15Mbpsとなった。

 KDDIは本デモンストレーション以外のデータも公表。例えば、5月28日にザ・プリンス パークタワー東京内にある挙式場「東京ガーデンチャペル」で速度を計測したところ、出力を上げる前が下り111Mbps、上げた後が433Mbpsという結果が出た。その付近の場所でも200~500Mbps台となった。

●通信衛星事業者の地球局との干渉が課題も、Sub6のパフォーマンス、ポテンシャルを発揮可能に

 KDDIは、5Gの商用サービスを開始した2020年から4年を導入期、2024年以降を普及期とし、電波の飛びやすい周波数を用いてエリアを拡大してきた経緯がある。5G専用の広い帯域かつ高速なSub6(3.7GHz帯と4GHz帯)を吹ける基地局数は約3.9万局で、2023年度末までに開設したとしている。

 しかし、通信衛星事業者の地球局も、下りの通信にCバンドと呼ばれる3.6GHz~4.2GHz帯を使っており、KDDIの周波数と重なってしまっていたことから、KDDIは地上局が多く設置された関東圏において、干渉を防ぐために出力を制限していた。いわば5Gの本領を発揮できず、体感速度としても十分な差が表れづらかった。

 そのため、KDDIは通信衛星事業者の協力を得ながら、地球局を移設するなどして、干渉の対策を順次行い、今回、2024年3月末に出力制限が解除となったことを発表した。KDDIの執行役員 技術統括本部 技術企画本部長の前田大輔氏は「Sub6のパフォーマンス、ポテンシャルを発揮することが可能になった」と意気込む。

 現在、Sub6を利用できる場所は、鉄道駅が612駅でカバー率は87%、商業地域が363スポットでカバー率は86%に上る。KDDIは、3.7GHz帯と4.0GHz帯の100MHz幅×2ブロックを本格運用するため、2つの周波数を吹き、かつ従来よりも小型かつ軽量となった、サムスン電子製の無線装置(MMU: Massive MIMO Unit)を2024年度に導入する。

 KDDIはデモンストレーション実施日にネットワーク説明会も実施した。本誌でもその詳細を別記事にてお伝えする予定だ。

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