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「Xiaomi 14 Ultra」のクアッドカメラはどこがスゴい? 細かすぎるこだわりで「最強のコンパクトデジカメ」に

ITmedia Mobile 2024年7月9日 17時10分

 グローバルイベントで発表されたときから、ずっと気になっていたアイツ。とうとう日本でも発売されたのである。「Xiaomi 14 Ultra」である。

 ライカ(Leica)との共同開発ということで話題なのだけど、そのデキはどうなのか……?

 取りあえず、今回はカメラとしての性能や使い勝手しかみてないのだけど、現在(日本で正規に購入できる)スマホカメラの中では最高かもしれない。使っている部材や写りを見るだけで、ひと味違うってのが分かるのだ。

 この記事では「カメラ性能の話」「実際に撮ってみた感触」そして「あまりに細かく設定できるので頭が混乱したよ」って話をしたい。

●とにかくクアッドカメラが高性能ですごい

 見ての通り、Xiaomi 14 Ultraのアウトカメラは、でっかい円形のカメラユニットの中に4つのカメラが仕込まれた「クアッドカメラ」である。

 全体が円の中に収まっているのは、別売の「Photographyキット」を装着することで各種フィルターを付けられるからだ。今回は残念ながらPhotographyキットはなしで。なしでも十分イケる。

 アウトカメラの内訳は、次の図の通り。「超広角(12mm)」「広角(23mm)」「3.2x望遠(75mm)」「5x望遠(120mm)」だ。

 クアッドカメラ自体はもはや珍しくないけど、注目すべき採用するイメージセンサーだ。

 まず、全カメラが5000万画素である。それ以上にすごいのは、メインの23mm(35mm版換算で23mm相当……なのだけど、毎回そう書くのは面倒なので、以下「23mm」と記します)カメラは1型の大きなセンサーでソニーの「LYT-900」。LYTIAシリーズのハイエンドモデルで最新のセンサーだ。

 残り3つはソニーの「IMX858」。1/2.51型の5000万画素センサー。注目したいのは3つカメラが同じセンサーを使っていること。これによって、微妙な色彩や階調といったクオリティーが安定する(他社の製品だと、カメラによってセンサーサイズが違っていてクオリティーに差が出がち)。

 もちろん、原則として「クアッドピクセル」として4画素を1つにするので、撮れる絵は1250万画素相当になるけど、全カメラの画素数をそろえてきたのは素晴らしい。

いつものガスタンクを撮り比べ

 では12mmから120mmまで順番に見ていこう。

 カメラアプリでは、0.5x→1x→2x→3.2x→5xと5つのズーム倍率ボタンがあるのでそれに従って。

 全体に派手すぎず、塗り絵っぽさも、無理なシャープネスも感じない。リアルでいい描写だ。無理にシャドーを持ち上げたり、空を青々とさせたりもしてない。この辺、写真好きには好まれる画作りで、それだけでも絶賛したい感じ。

画作りを選べるのもよし

 だがしかし、それだけじゃないのである。このカメラ、デフォルトで2種類の「画作り」(イメージプロファイル)が用意されている。「Leicaオーセンティック」と「Leicaバイブラント」だ。

 ライカのニュースリリースの説明によると、オーセンティックは

美しく自然な色の再現や、くっきりとした陰影、リアルなコントラスト、細部に至るまでの再現性に重点が置かれています。(中略)ライカズミクロンレンズで撮影したような写真に仕上げています

 そしてバイブラントは

シャオミのスマートフォン撮影のノウハウとライカの特徴的な画像美学が融合。鮮やかでありながらリアルな色彩の世界

 だそうである。

 オーセンティックは「正統的」という意味なので、オーセンティックはライカ伝統の画作り。対してバイブラントはスマホカメラらしく鮮やかな味付けなのだろう。

 実際に両者の違いはどうか。撮り比べてみると、一目瞭然だ。

 バイブラントの方が青空がより青く原色に近い写りだし、シャドー部も持ち上げられている。スマホのカメラっぽい写りだ。

 人物を撮っても、画作りには結構差が出る。

 上がオーセンティック、下がバイブラントだ。オーセンティックの方が「写真」っぽくて、バイブラントは「スマホ」っぽい。バイブラントの方が彩度が高めであるのみならず、シャドー部が持ち上がってHDRっぽくなっている。

 今回は屋外で撮ったのでより強めに差が出たけど、「じゃあ室内はどう?」ってことで次は料理を撮ってみる。

 上がオーセンティックで下がバイブラント。写真としてはオーセンティックの方がコントラストがはっきりしててカッコいいし、どっちも色はきれいに出ていて素晴らしい写りなのだけど、料理写真としてはバイブラントの方が影になっている部分も明るく持ち上がっていて、どんな料理か伝わりやすい。

 写真好きの人や普段から本職カメラを使っている人は「オーセンティック」を好みそうだが、ケースバイケースで撮り分けられるところが素晴らしい。

●メインカメラの絞り機構がスゴい

 クアッド構成のメインカメラの中心となるのが、23mmの広角カメラだ。これは他よりワンランク上、最新の1型センサーを搭載している。

 その上、このカメラだけ6枚羽根の「可変絞り機構」を搭載しているのだ。

 絞り値はF1.63から4.0まで。カメラ部だけ分厚いとはいえ、スマホのボディーに絞り機構を入れたのはすごい。

 プロモードの他、写真モードでもメニューを出して「絞り」をタップすると切り替えられる(デフォルトはオート)。

 それがあると何が変わるのか。

 取りあえず、F1.63(絞り開放)とF4(一番絞った状態)で撮り比べて見たのでどうぞ。

 撮影情報も一緒に書いてあるので分かりやすいのだけど、違うのはシャッタースピード(絞り値を上げるとその分シャッタースピードが遅くなる)とボケ具合。F1.63の方がボケが大きい。背景の手すりが分かりやすいかと思う。

 一方、F4.0の方が広い範囲にピントがあって前後がボケづらくなるので、記録写真やちょっと深めのピントが欲しい時にいい。

 もう1つ、Xiaomiが強調していたのは強い光源があるときの写り。絞り開放だと「ほわん」とするけど、絞ると光源からきれいな光条がでる。ここではF4まで絞ったけど、光条はF2.0から出始めるし、F2.8で十分。

 夜だとシャッタースピードが遅くなって手ブレしやすくなるが、そこは手ブレ補正にがんばってもらうべし。感度が上がってもノイズはうまく抑えられるので、点光源がいっぱいある都会の夜景を撮るときは、F2.8くらいにセットするのがおすすめだ。

 なお、普段は絞りオートで問題ない。デフォルトではF2.0になっている(F1.63より2.0の方がちょっとシャキッと写る)。

●2つの望遠カメラはマクロでもスゴい

 スマホが搭載している望遠カメラはカメラを入れるスペースの関係上、どうしてもセンサーが小さくなりがちで、画質的にもメインカメラに一歩劣りがちだった。

 でも、Xiaomi 14 Ultraの望遠カメラはちと違う。どっちも高画質で、暗所でも気にせず使えるのだ。

 しかも、どっちのレンズも寄れる。

 撮影最短距離が短く、75mmの方は10cmまで、120mmの方は30cmまで近づいて撮れるのだ。

 スーパーマクロをオンにすると自動的に75mmに切り替わって一番寄れる撮影が可能だ。

 2つの望遠カメラは高画質のみならず、マクロにも強かったのだ。

●凝ったポートレートモードがスゴい

 次にすごいのがポートレートモード。これがめちゃ凝っているのだ。

 ポートレートモードにすると、選べるレンズがいきなり23mm/35mm/50mm/75mmの4択になる。

 広角レンズの23mmと3.2x望遠レンズの75mmは分かるが、その間が35mmと50mmなのだ。これ、(ライカに限らず)カメラのポピュラーな焦点距離なのである。それを摸してきたのだ。

 そしてイメージプロファイルが「Leicaポートレート」と「マスターポートレート」の2つになった。

 例によって、撮り比べたものを並べてみた。肌の階調をみると、Leicaポートレートの方が、Leicaオーセンティックに近い感じだ。

 続いて、75mmのポートレートでビューティー機能をかけたもの。肌がより滑らかになっている。

 人以外も撮ってみようということで招きネコ群でLeicaポートレート。手前から2番目の猫にフォーカスを合わせて50mmで撮ってみた。コントラストがいい感じに出ててスマホカメラで撮ったとは思えない味がある。これはすごい。

 さらに「マスターレンズシステム」と称して、テーマ別にボケ具合をコントロールしたセットも用意されている。35mmは「ドキュメンタリー」、50mmは「渦巻きボケ」、75mmは「ポートレート」、90mmは「ソフトフォーカス」という4パターンだ。渦巻ボケは聞き慣れないけど「Swirly bokeh」で、日本では一般的に「ぐるぐるボケ」と呼ばれている。

●現在最強のコンパクトデジカメかも

 と、Xiaomi 14 Ultraならではの、そしてLeicaっぽい撮影機能を中心に見てきたのだけど、予想以上に「カメラ」でした。

 AFは速いしシャッタータイムラグも短いし、カメラによる画質差も大きくないので望遠も超広角もサッと撮れる。

 暗所での画質も高くて、ノイズも気にならない。

 プロモードにするとシャッタースピードは1/8000秒まで上げられる。

 総じて、何を撮ってもホワイトバランスのズレはほとんどなく、すごくクオリティーが高い。カメラユニット自体の性能もさることながら、画像処理の上手さを感じる写りだ。ノイズは抑えながらディテールは残しつつ、色や階調は派手にしすぎず不自然さをなるべくださず……的な上手さだ。

 ただ、機能が多すぎて戸惑うこともあって、その辺は分かりやすいヘルプとUIがほしいなとは思う。

 例えば画作りだけでも「Leicaオーセンティック」と「Leicaバイブラント」があり、それぞれフィルターが(オリジナルを含めて)15種類。合計30通りなのだ。

 動画機能にも「映画」「ビデオ」の2種類があり、スローモーションやタイムラプスもある。

 「映画」モード時は背景をボカしたり、自動的にズームしたり被写体を自動的にフレームにおさめたりというシネマティックな映像を撮影可能だ。

 他にも言及したい機能があるけど、長くなりすぎるので割愛。注目すべき点は挙げられたはずだ。

 大事なのは機能の多さではなく、朝から夜まで、至近距離から無限遠まで、超広角から望遠まで、全てに対応しつつ、写真としてすごくクオリティーが高くて高画質って点にある。その上、撮ってて気持ちいいので大量に撮影してしまう。

 さらに別売りの「Photography Kit」を装着すれば、シャッターボタンや電子ダイヤルもつき(ついでに小さなモバイルバッテリーも)、よりカメラとして使いやすくなる。

 なんか絶賛しちゃったけど、これはもう2024年一番のコンパクトデジカメといって過言じゃないかもなので、カメラ性能最優先でスマホを選ぶなら(おサイフケータイ未対応なのは残念だけど)、真っ先にこれをチェックすべし、だ。

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