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コスパ十分の「motorola edge 50 pro/50s pro」で重視した3つの“体験価値” 新たなユーザー獲得につながるか

ITmedia Mobile 2024年7月3日 23時56分

 モトローラ・モビリティ・ジャパンは7月12日にスマートフォンのミドルハイモデル「motorola edge 50 pro」を発売する。家電量販店や、インターネットイニシアティブ(IIJ)のMVNOサービス「IIJmio」、ソフトバンクが取り扱う。価格は直販サイトが7万9800円(税込み、以下同)、ソフトバンク向けモデル「motorola edge 50s pro」が8万5584円だ。

 edge 50 pro/edge 50s proは、プロセッサに「Snapdragon 7 Gen 3」を採用しつつも、価格を7万円台に抑えた。AIを活用したカメラ機能、AIによる壁紙の生成、約19分で満充電できる急速充電も大きな特徴だ。

 特にお得なのは、ソフトバンクが販売するedge 50s proだ。価格は1回払いだと8万5584円だが、48回払いで購入し、13カ月目に「新トクするサポート(バリュー)」の特典利用を申し込み、翌月末までに返却すると、1~12回目に負担する金額は12円(1円×12回)となる。

 約1年の使用にこだわらなければ、IIJmioのedge 50 proでも十分お得だろう。通常価格は6万9800円だが、7月12日から開催の「motorola新機種発売記念キャンペーン」により、MNP転入でギガプラン(音声SIM/eSIM)を契約する際、edge 50 proの購入を申し込むと、1契約者(mioID)あたり1台までなら期間限定のりかえ価格の4万9800円となる。

●モトローラの認知拡大へ向け、さまざまなニーズに応えた製品を投入

 7月3日の発表会には2023年12月12日に社長に就任した仲田正一氏が登壇。仲田社長は、さまざまな通信事業の立ち上げ、ソリューション開発などを経験した人物で、欧州向けのiモード端末の企画開発を支援した他、Android端末導入によるNTTドコモのスマートフォン市場参入をけん引した実績を持つ。初めて公の場に姿を見せた仲田社長は、モトローラがどのような企業なのか広く認知されていないことを挙げ、体験価値と価格を意識したedge 50 pro/edge 50s proとともに、認知拡大を図りたいとの考えを示した。

 そんな仲田社長率いるモトローラ・モビリティ・ジャパンは、米Motorolaが投入したスマートフォンをそのまま日本市場に投入するのではなく、日本市場でニーズのある防水やモバイルFeliCaの搭載をうたいつつ、ハイエンドからミッドレンジまでそろえる戦略を取ってきた。

 折りたたみスマートフォンの「razr」シリーズは、モトローラのフラグシップモデルであり、同社の「イノベーションを象徴している」(仲田社長)シリーズだ。edge 50 pro/edge 50s proは、「先進的な技術で新たな付加価値と体験を提供していく」(仲田社長)シリーズ。そのさらに下のレンジであるmoto gシリーズでは、「機能性とモトローラならではのデザインを両立させた」(仲田社長)。

 2023年の動きを少し振り返ると、同社が11月20日に発表した「motorola razr 40」をIIJが取り扱い、それをベースとした「motorola razr 40s」をソフトバンクが取り扱った。その約4カ月前となる7月7日には、同社製ハイエンドモデルの中でも最上位に位置する折りたたみ端末「motorola razr 40 Ultra」、ミッドレンジモデル「motorola edge 40」を同時に発表しており、さまざまなニーズに応えること、ラインアップを充実させたいことの2点は変わっていない。

 「さまざまなニーズをカバーできる製品を投入した」(仲田社長)結果、モトローラのお膝元である北米で第3位のマーケットシェアを握り、中南米においても第2位のマーケットシェアを持つことができたそうだ。日本市場では「出荷台数ベースで135%増加、SIMフリー市場ではマーケットシェア第3位を獲得した」という。

 2024年度は「同社の携帯電話事業を飛躍的に進化させる」年にしたいと意気込む仲田社長は、「edgeシリーズを使って、新たなユーザーの獲得に努めていきたい」と語った。

 「ユーザーに何が必要かを問うのではなく、彼らの生活そのものを理解する、ユーザー第一主義である」ことを念頭に置き、「テクノロジーを日常生活に付加価値をもたらす体験へと発展させることが大事だ」と仲田社長は語る。

 「モトローラは単にテクノロジーを提供するだけではなく、それをユーザーの体験へと昇華させ、それを付加価値へと転換させていく。そうすることで、テクノロジーの民主化につなが」(仲田社長)

●PANTONEのカラーチューニングも反映、急速充電は分かりやすい指標が必要か

 では、edge 50 pro/edge 50s proの体験価値は、どのようなものなのだろうか。仲田社長は、製品開発において特に注力していることとして、「ライフスタイルテックプラットフォーム」「パーソナルアシスタントクリエイション」「スマートデバイスエコシステム」の3つを挙げる。

 1つ目のライフスタイルテックプラットフォームは、PANTONEによるカラーチューニングを指す。edge 50 pro/edge 50s proが搭載する6.7型の有機ELディスプレイで見た写真や、視聴した動画の色味の再現性を高めたことに加え、後述のカメラで撮影した画像も人の肌色やトーンを実際の色味に近づけたという。これらはPANTONEの協力を得て開発したという。

 2つ目のパーソナルアシスタントクリエイションは、平たくいえば創造性を手助けするような機能を指す。それに欠かせないのがAIだという。edge 50 pro/edge 50s proのアウトカメラは、約5000万画素(メイン/F1.4)、約1000万画素(超広角/接写、F2.2)、約100万画素(3倍望遠、F2.0)のトリプル構成で、このうち約5000万画素のカメラに搭載したレーザーAFと、AIを組み合わせて暗所で明るく鮮やかな写真や動画を撮影できるという。

 白飛びや手ブレを抑えることにもAIを活用。ユーザーが撮影した複数枚の画像をもとにAIで白飛びしがちな雲のディテールを損なわずに表現できる他、動き回る人にもピントが合い、被写体がピンボケしないようにしたという。

 壁紙にもAIを取り入れることで、撮影した被写体の洋服に似た柄や色を生成し、その画像を壁紙として設定できる。短時間ながら体験してみたところ、AIが生成した複数枚のうち、1枚は黒を基調とした画像となり、他の3枚は黄色や緑色といった明るい色を含む柄となった。スマートフォンの壁紙の雰囲気を着ている服に合わせる体験が可能だ。

 そして、3つ目のスマートデバイスエコシステムは、モトローラ独自のアプリを指す。edge 50 pro/edge 50s proは既存製品にもあったセキュリティ設定アプリ「Moto Secure」に加え、通知を一時的に制限する「Moto Unplugged」、スマートフォンのデータをPCやタブレットと共有する「Smart Connect」、利用できるアプリを制限し、子どもでも安心して扱えるようにする「Family Space」を搭載する。

 edge 50 pro/edge 50s proは、急速充電も売りの1つとなる。付属の125W充電器を利用すれば、わずか19分で満充電できる。ソフトバンク向けのモデルでは「神ジューデン」と銘打ち、神ジューデンスマホとしてはedge 50s proが4機種目だ。なお、モトローラ・モビリティ・ジャパンでキャリアプロダクト部の見潮充氏によると、充電にかかる時間の19分は付属の充電器を使用した場合の目安となる。

 発表会ではプレゼン中にどれくらいの時間で充電が完了するのか計測するデモンストレーションがあった。見潮氏が製品の概要説明を始めるころは、1%だったedge 50 proのバッテリー残量がわずか16分後には100%に達した。同じようなことは、オウガ・ジャパンも2023年9月28日の発表会にて「OPPO Reno10 Pro 5G」で実演していた。こちらは付属の80W充電器を使うことで、28分で100%まで充電できる。

 充電にどれくらいの時間がかかるのかは多くのスマートフォンユーザーが気にする点なので、こうしたデモは参考になるが、スマートフォンに詳しくない人からすれば、19分が速いのか遅いのかが想起しづらい。また、スマートフォンの充電にどれくらいの時間を要するのかを正確に把握している人は少ないだろう。急速充電をうたうメーカーは比較対象となる別の製品を用意するなどして、より分かりやすく例示する必要がありそうだ。

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