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レジに並ばずコーヒー飲める タリーズのモバイルオーダーは便利だが、実体験で困った意外な欠点も

ITmedia Mobile 2024年7月7日 10時51分

 スマートフォンで注文し、レジに並ばずに1杯のコーヒーを飲める――。いわゆるモバイルオーダーサービスが飲食店を中心にジワジワと浸透しつつある。代表的なところではマクドナルド、スターバックが挙げられるが、タリーズコーヒージャパンも2023年6月から同様のサービスを提供している。一体、どのような利便性があるのか、改善すべきところはどこか、実際に店舗で試して分かったことをレポートしたい。

 2024年6月時点でモバイルオーダーを導入している店舗数は137店舗で「順次拡大中」(同社広報)だ。同社はモバイルオーダーの導入理由に「お客さまの利便性向上」「レジオペレーション負荷の軽減」を挙げており、2023年6月15日から公式アプリで、2024年2月7日から専用サイトでサービスを提供している。

 モバイルオーダーを利用できる店舗は、アプリでも専用サイトでも確認できる。モバイルオーダー利用可能店舗は、スマートフォンに左上を向く電波のようなマークが付いている。このマークがある店舗を利用すればよい。

●アプリか専用サイトから利用可能なタリーズコーヒーのモバイルオーダー

 タリーズコーヒーのモバイルオーダーはTULLY’S公式アプリと専用サイトから利用できる。どちらの方法も「クラブタリーズ」会員登録が必須。大きな違いはこうだ。アプリはタリーズカードでの支払いでポイントがたまるのに対し、専用サイトではアプリのインストール不要ですぐにアクセスできることだ。できることは基本的に変わらないため、今回は公式アプリを「iPhone 15 Pro Max」にインストールして試した。

 まずはアプリを起動し、初回利用ならログインを済ませる。「オーダー」をタップし、商品を受取る店舗と、受け取り方法(店内での利用なのか、持ち帰るのか)、商品を選ぶ。

 商品を選び終わったら、利用規約に同意し、「支払う」をタップする。その上には商品を受け取る店舗名と、受け取れるまでにかかる時間などが記載されるので、こちらも注文確定前によく確認しておこう。これらの情報を全て確認したら、希望する支払い方法を選択する。

 決済はアプリに登録したタリーズカードのみ。つまり、クレジットカード、「PayPay」「楽天ペイ」「Amazon Pay」のいずれか1つからタリーズカード残高にチャージし、その残高から支払うということだ。注文画面の途中でタリーズカードへオンラインでチャージすることも可能だ。クレジットカードと現金による決済、通信事業者の請求とまとめること、店頭での支払いはできない。

 タリーズカードでの支払いが完了すると、注文完了の画面に推移する。この際、注文番号が表示される。注文した商品を受け取れる状態になると、プッシュ通知が届くため、通知をオンにしておくとよい。商品を受け取るときは注文番号で呼ばれるため、注文完了の画面を店舗スタッフに提示しよう。

●注文できるのはドリンクのみ フードを頼めず困ること

 ここまでの試用で便利だと感じたのは、アプリと専用サイトのどちらからでも試せることだ。飲食店のモバイルオーダーサービスによっては、どちらか一方の利用手段しかない場合がある。この点、タリーズコーヒーではアプリに慣れている人ならアプリから、アプリのインストールが面倒な人なら専用サイトから利用できるため、使い始める際の間口は広いといえる。

 一方、やや不便だと感じたのは、注文できる商品がドリンクに限られていること。今回、訪れた店舗でドリンクとフードのセット注文を試みたところ、注文と会計が分かれてしまった。店舗スタッフからは「先にモバイルオーダーでドリンクを注文し、後からレジでフードを注文する」という提案を受けたが、正直面倒だし混雑時には後で並ぶ人に迷惑が掛かってしまう。いわば本末転倒なのだ。

 タリーズコーヒージャパン広報によると、2024年6月時点においてモバイルオーダーを利用可能な全店舗で時間帯を問わずフードを注文できない。理由を聞いたところ、「まずは品数を絞ってオペレーションに慣れてもらう段階にある。店舗によって品ぞろえが異なり、品切れ対応が漏れるリスクがあるためだ」と回答した。

 また、会員登録が面倒だと感じる人もいるのではなかろうか。そもそもモバイルオーダーの最大のメリットは、レジに並ばず手間要らずのはず。ならば、会員登録せずにサクッと注文できるのが理想だ。

 タリーズコーヒーと同じくコーヒーやフードを提供している、スターバックス コーヒー ジャパンは5月22日から、一部店舗で会員登録とアプリのインストールをせずに「Mobile Order & Pay」(モバイルオーダー&ペイ)を利用可能にした。iPhoneのカメラで店舗の「App Clip」コードを読み込むと、注文と決済を行うための専用サイトに推移する。

 筆者もApp Clipコードを掲示した店舗で注文をしたことがあるが、実に楽で正に手間要らずだと感じた。ただ、利用できる店舗が限られているのと、スマートフォン向けのアプリをダウンロードせずに、アプリの一部分のみを使える、AppleのApp Clipが十分に認知されていないせいか、同じ店舗に何度か行っても利用者を1人も見かけなかった。

 タリーズコーヒージャパンにもApp Clipの導入を検討してほしいところだが、タリーズコーヒーのモバイルオーダーが先払いを前提としており、「返金などが生じた場合に対応するため」(同社広報)、会員登録不要とする予定はないという。とはいえ、モバイルオーダーを利用できる飲食店が増えることは歓迎したいし、まだまだ進化の余地はありそうなので、今後のアップデートに期待したい。

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