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「ふるさと納税」を今こそやるべき理由 お得になる仕組みと注意点を解説

ITmedia Mobile 2024年7月21日 10時5分

 都道府県や市区町村などの自治体に寄付することで税額控除が受けられる「ふるさと納税」。2008年から始まり、年々、利用者が増加しているものの、2023年度の利用率は住民税支払い対象人数(約6000万人)に対して約15%とまだまだ少ない(総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果」より試算)。

 「制度がよく分からない」「手続きが面倒そう」などと思ってふるさと納税をやったことがない人は、物価高の今こそやるべき。寄付のお礼としてもらえる返礼品には米や肉、野菜などの食品も多く、家計の足しになる。しかも手続きは簡易化され、便利なサービスも登場している。

●まずはふるさと納税の仕組みを理解

 ふるさと納税は都会にばかり税収が集まる税収格差を是正するため、故郷や応援したい地域など、納税する自治体が選べる制度。納税というものの実際には寄付で、自己負担額の2000円を除いた全額が、ふるさと納税を行った年の所得税と、その翌年度の住民税から控除される。

 本来、支払うべき税金をふるさと納税することで、寄付した自治体からは寄付金額の3割に相当する返礼品を受け取ることができる。仮に5万円のふるさと納税をした場合、自己負担額の2000円を除いた4万8000円が税金から控除され、1万5000円に相当する返礼品がもらえる。

 返礼品はその地域の特産物で、米や肉、魚介類、野菜、果物などの食品が多く、自分が欲しいものを選んで寄付することができる。どの返礼品にしようかと選んでいるときは、まるでネットショッピングでお取り寄せをしているような感覚だ。コロナの収束に伴って、2022年以降は旅行の宿泊券やイベントの参加チケット、アクティビティーの体験チケットといった体験型の返礼品が増え、人気が高まっている。

 ふるさと納税の寄付金額を税金から控除するためには、ふるさと納税を行った翌年に確定申告をする必要がある。とはいえ、本来は確定申告が不要な給与所得者の場合、ふるさと納税をした自治体が5団体以内なら、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用することで確定申告が不要になる。これはふるさと納税先の自治体から住居のある市区町村に必要な情報が連携されるためで、同じ自治体に複数回ふるさと納税をしても、5団体以内ならこの制度が利用できる。

●ふるさと納税を利用する際の注意点 損をする場合も?

 返礼品がもらえてお得なふるさと納税。やりたいと思ったら、まず確認したいのが税額控除される上限額だ。ふるさと納税はいくらでもできるが、控除額を上回ってしまうとメリットが少なくなる。

 前述の5万円のふるさと納税の例は、控除上限額が5万円のケース。この場合は自己負担額の2000円で1万5000円分の返礼品がもらえるが、控除上限額が5万円の人が7万円のふるさと納税をした場合、税額控除は4万8000円になるので、自己負担額の2000円と控除されない2万円を合わせた2万2000円で1万5000円分の返礼品をもらうことになる。逆に損になってしまうというわけだ。

 ふるさと納税する上で、この控除上限額はとても重要。目安となる金額はふるさと納税サイトで簡単に試算できるので、自分がふるさと納税できる金額がどれくらいか、最初に確認しておきたい。

 また、ふるさと納税を行った翌年の2月16日から3月15日までに確定申告することも忘れてはいけない。ただ、前述のワンストップ特例を利用したり、スマホとマイナンバーカードがあったりすれば、「e-Tax」でオンライン申請することも可能。ふるさと納税サイトによっては必要な書類をまとめてくれるなど、便利なサービスを用意する。

●ふるさと納税サイトの選び方 たまるポイントで検討しよう

 ふるさと納税はふるさと納税サイトから行うのが便利。返礼品のカテゴリーや人気の返礼品、地域、寄付金額など、さまざまな視点から寄付したい自治体が選べ、ネットショッピングのような操作で寄付でき、支払い方法についてもクレジットカード払い、QRコード決済、コンビニ支払い、郵便振替など、豊富に用意されている。

 主なふるさと納税サイトには、老舗の「ふるさとチョイス」をはじめ、「ふるなび」「さとふる」などがある。また、「楽天市場」内の「楽天ふるさと納税」「Yahoo!ショッピング」内の「ヤフーのふるさと納税」「au PAY マーケット」内の「au PAY ふるさと納税」のように、大手ショッピングサイト内に展開されているものもある。

 選び方としては、まずたまるポイントで検討するのがいいだろう。楽天ふるさと納税なら楽天ポイント、ヤフーのふるさと納税ならPayPayポイント、au PAY ふるさと納税ならPontaポイントがたまる。ふるなびは独自ポイントの「ふるなびコイン」になるが、最大50%還元(2024年7月31日まで)と還元率が高く、獲得したコインをAmazonギフトカードやPayPayポイント、dポイント、楽天ポイントなどに交換できる。

 便利なサービスで選ぶ方法もある。通常、返礼品は決済から2週間から2カ月程度の間に送付される。いつ届くか分からないので、一度に申し込むとまとめて届いて、冷蔵庫に入りきらないこともある。だがふるさとチョイス、ふるなび、さとふる、楽天ふるさと納税などでは、配送日の指定が可能な返礼品が用意されている。誕生日や記念日など、ハレの日に届くようにすれば、返礼品をお取り寄せ食材のように利用できる。

 扶養家族が多かったり、年収がそれほど多くなかったりする場合は、控除上限額が低くなって、欲しい返礼品が選べないこともある。そんなときに活用したいのが、ふるさとチョイス、ふるなびなどが行っているポイント制だ。ふるさと納税することで自治体から寄付額に応じたポイントがもらえ、その年の税額控除を受けつつ、翌年分のポイントを加えて、より高額の返礼品を選ぶことができる。なお、発行されたポイントは寄付した自治体でのみ利用できるので、あらかじめ欲しい返礼品の目安を付けておくといいだろう。ポイントには期限があることにも注意したい。

 税額控除するためには、寄付した自治体から届く「寄付金受領証明書」を保管しておき、その内容を記入して確定申告するのだが、多くのふるさと納税サイトでは、本来は各自治体からバラバラに届く寄付金受領証明書の内容を1ファイルにまとめた「寄附金控除に関する証明書」を発行してもらうことができる。寄付金受領証明書を保管したり、書類に記入したりする手間もなく、簡単に確定申告ができる。この便利なサービスは、年収が2000万円以下で給与所得以外の所得がないこと、ワンストップ特例を利用していないことなど、条件を満たした人が利用できる。

 このように便利なふるさと納税サイトなのだが、今、新たなルールの見直しが告示されている。ポイント還元率の競争が激化しているとして、6月28日に総務省が、「寄附に伴いポイント等の付与を行う者を通じた募集を2025年10月1日から禁止すること」を告示したのだ。

 これに対して楽天グループが反対意見を表明しているものの、このまま進んだ場合、2025年のふるさと納税は9月末までに行った方がお得になる。まだやったことがない人なら特に、早めに始めることをおすすめしたい。

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