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シャープ「AQUOS R9」のカメラはデザインが東洋的で面白い 撮り心地もかなり良好

ITmedia Mobile 2024年8月1日 19時30分

 丸っこいカメラユニットの中に、大きさが違う2つのカメラがちょっと斜めにほにゃって感じで、ずれて並んでる姿が愛らしいシャープの「AQUOS R9」である。

 このカメラユニットのデザインには賛否……というか好き嫌いがいっぱいあると思うけど、こういう妖しいデザイン、わたしは好き。ハイエンドっぽさ、ハイテクっぽさを全く感じさせないのがいいのだ。メカっぽいのが苦手な人には親しみやすいはず。

 では、撮り心地はどうなんだろうか? ちょっと試してみよう。

●AQUOS Rシリーズのカメラをおさらい

 レビューを始める前に、AQUOS Rシリーズについて、ちょいとカメラ目線で整理しておこう。

 1型センサーを搭載し、ライカ(Leica)の全面協業でカメラ性能を思い切りアピールして出てきたのが「AQUOS R6」、それを発展させた「AQUOS R7」と来たところ、2023年の「AQUOS R8」でちょっと変化があった。1型センサーを搭載した高画質フラグシップ機が「AQUOS R8 pro」となった一方で、同時に広角/超広角のデュアルカメラとした「AQUOS R8」も同時にリリースされた。

 そして2024年、AQUOS R9がデザインをフルリニューアルして登場したわけである。

 今回、残念ながら1型センサーを搭載した「AQUOS R9 Pro(仮)」は登場しなかったのだけど、この先出てくるのか――だとしたら、R9のコンセプトを継承する柔らか系のカメラユニットデザインになるのか。でも、性能を追求するフラグシップ機に、このデザインはさすがに似合わないよな。

 ……などと思いながら、「未来のことは分からない」ってことで、AQUOS R9のカメラをチェックしていこう。

●アウトカメラは「デュアル5000万画素」

 シャープのWebサイトでは、AQUOS R9のアウトカメラについて、23mmのカメラを「標準」、13mmのカメラを「広角」と称している。相対的にはそうだけれども、一般的に23mmは「広角」、13mmは「超広角」と称するので、本稿でも一般的な表記で行きます。

 広角カメラのセンサーサイズは、1型ではなく1/1.55型……とはいえ、スマホカメラとしては十分ハイエンドといっていいサイズ。

 アウトカメラユニットには、大小2つのカメラがある。

 普通に考えると、大きい方が広角カメラ……と思いきや、実は小さい方。23mm相当でF1.9、約5030万画素というスペックだ。

 大きい方は13mm相当の超広角でF2.2、約5030万画素というスペック。AQUOS R8との違いは、超広角カメラも5030万画素になったことだ。「デュアル5030万画素」である。

 広角カメラに光学式手ブレ補正が搭載されたのも朗報といえる。あとはAIのレベルアップかな。

 まずは基本からさらっといこう。アウトカメラはデュアル構成だけど、ズーム倍率は「0.6x」「1x」「2x」の3つから選べる。最大で望遠は「8x」まで対応する。

いつものガスタンクを撮る

 では撮ってみる。AIはもちろんオンで。

 超広角は13mm相当なので、スマホカメラとしては最広角の部類だ。

 広角カメラは23mm相当。

 そして2xズーム時は5030万画素モードで画素の中央部のみを使うので、クオリティーは高い。ただ、ちょっとシャープネスを強くかけすぎかな。今は、ここまでかけなくてもいいと思う。

 快晴という好条件下なので写りがいいのは当然として、よく見るとこの3枚で青空の濃さや色が微妙に違うのが気になるところ。

花を撮る

 AQUOSのカメラの良さは、「花」を見つけたら「花」と表示してくれるところにある。

 「え、それ花じゃないよ」と思ったら、「×」をタップしてやればいい。そういうちょっとしたやりとりができるってのは大事。

 夏なのでひまわりもどうぞ。夕焼けを見つけたら「夕景」を検出する。

 最近、(内部ではいろいろ判断していても)シーンや被写体の表示をしてくれない端末が増えているのはちょっと残念だったりする。AQUOS R9は、それを表示した上で「×」をタップすることでキャンセルできるのがいい。

料理を撮る

 そして、今回の目玉の1つである「料理」を撮ってみよう。

 このように真上から撮ろうとすると、どうしても天井のライトでスマホの影が出がちだ。座る席や撮り方で工夫できるので、以前に「ランチをおいしそうに撮りたいときはこういう席がいい」って記事を書いたこともあるけど(参考記事その1/その2)、今は「影が落ちたならそれを消せばいい」という世界に突入しているのだ。

 後から影を消す機能を持つアプリやスマホはあるけど、AQUOS R9は「料理の影を消す」オプションをセットすればいい。AIが「料理」だと判断すると、その機能がにわかに仕事をはじめ、影を消してくれるのである。

 下の写真、分かりますかね? 白い皿の左下に落ちているスマホの影が消えているのが。

 ちょっとした進化だけど、ユーザーが良く撮影する被写体なので喜ぶ人も多いはずだ。

 次はぜひ、料理じゃなくて、書類を撮ったときの影も取ってほしいなと思っております。ドキュメントを画像メモ代わりにぱっと撮ることとってあるじゃん。そのとき影が落ちやすいのだよね。

●ポートレートもレベルアップ

 で、スマホでよく撮る被写体といえば、代表が人物なわけで、当然ながら人物は瞳検出をしてくれる。

 ポートレートモードにすると、美肌も設定できる。

 動画の撮影時も、Proビデオの「シネマティック」を選ぶと背景をぼかした映像を撮ってくれる。

 AQUOS R9で注目すべきは、インカメラも約5030万画素あること。アウトカメラと同じように4画素を1つにして画像を作るので、通常は1250万画素の写真になるんだけど、要するに画質がけっこういいのと、インカメラでも2倍までデジタルズームできるようになっている。

 アウトカメラと同じような感覚でインカメラも使えるのはなかなかいい。

レベルアップが著しい動物のポートレート

 人物の次は動物。ペットも代表的なよく撮る被写体だからね。

 動物も、目が見えてれば瞳を、顔がちゃんと見えてれば顔を、でなければ全身を見つけてくれる。

 で、ポートレート時は対象が「人物」か「動物」かを選ぶことで、最適な処理をしてくれる。

 これがなかなかいい。人物の時はぼけ具合と美肌を、動物の時はぼけ具合と毛並みの処理を調整できる。

 で、2023年のAQUOS R9 proよりも動物撮影時の“ヒット率”が上がった。黒ネコはしっかりきりっと撮ってくれるし、白ネコは白く明るく撮ってくれる。

 あとはまあ、ペットはじっとしているとは限らないので、動物と認識したりペットポートレートにした場合は、シャッタースピードを速めにしてもえるとうれしい。

 ちなみに、「シネマティック動画」(PROビデオモードの中にある)でも、動物は有効なので、ペットを飼っている人はぜひお試しを。追従性能が上がっているのだ。

手前にあるものもしっかりボケる

 ポートレートモードの特徴をもう1つ。それは前ボケ――つまり、手前にあるもののボケをしっかり作ってくれることだ。

 背景はきれいにボカすけど、手前のボケはあまりやらないってスマホカメラは多いけど(まあ難しいし)、AQUOS R9は前ボケも結構積極的にやってくれるのだった。そのため、人や動物に限らずいろいろと撮ってみると楽しいかと思う。

●ハイエンド機として十分イケているカメラでした

 まあそんな感じで、超広角から2倍の望遠まで、AQUOS R9のカメラはなかなかレベルが上がったよいカメラに仕上がっていると思う。せっかくなので、他の作例も紹介しよう。

 最後は夜の様子。

 という感じ。

 いざ使って見ると、薄くてコンパクトで扱いやすく、画質もいい。レスポンスという面では、シャッタータイムラグが少しあったり、ポートレートモード撮影後の画像処理でちょっと待たされることはあったけど、気になったのはそのくらいか。

 人やペット、料理といったよく撮る被写体を、地道にフォローしていくのには“あり”なカメラだ。

 円安や各種のコストアップもあって端末価格が上がってきている昨今、全体のバランスがいい端末だと思う。カメラユニットのデザインも、なんか東洋的で面白いし。

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