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スマホの「画面コーティング」は有効? やってはいけない機種もあるので要注意

ITmedia Mobile 2024年8月7日 12時22分

 スマートフォンのディスプレイは保護フィルムで守っているという人は多いだろう。ガラスやPETフィルムをはじめとした多くの種類が用意されているが、もう1つメジャーなものとしてスマホの画面コーティングがある。今回はスマートフォンの画面コーティングに適した機種や、「やってはいけないこと」をまとめた。

●100円ショップでも買えるコーティング剤 どんな機種が適している?

 画面コーティングは名の通り、スマートフォンの画面にコーティング剤を塗布して利用するものだ。塗布後にコーティング剤が硬化することで強度を高めたり、引っかき傷を防げる被膜へと変化したりする。画面保護フィルムと同様に「スマホを保護する」といった目的で利用される。

 画面コーティングのメリットは、スマートフォンの機種を問わず利用できることだ。特に安価な画面保護フィルムを入手しにくいAndroidスマートフォンでは、フィルムを購入するよりもコーティングの方が安価に収まることもある。

 かつての画面コーティングは高価な上、専門店で施工してもらう必要があったが、近年は一般消費者向けのコーティング剤も多く販売されている。最近ではAmazonや100円ショップでも販売されているなど、入手するハードルやコストは低くなりつつある。

 画面コーティングは画面が曲面になっているエッジディスプレイや、画面縁が浮き出ているような2.5D加工がされているスマートフォンでは特に有利だ。この手の加工がされたガラスフィルムも存在するが、数は少なく高価だ。曲面部まで覆える柔らかい樹脂製のフィルムもあるが、こちらは貼り付けにくいものが多い。

 直近ではモトローラの「motorola edge 50 pro」がエッジディスプレイを採用している。過去の機種では「Google Pixel 7 Pro」やシャープの「AQUOS R6」、サムスンの「Galaxy Note 20 Ultra」などが挙げられるなど、2年ほど前までは割と主流だったディスプレイ形状だ。

 そのような場面では「塗るだけ」の画面コーティングはかなり簡単に利用できる商品だ。素人施工では塗りムラなどが気になる部分ではあるが、実際に使ってみるとそれ以上に手軽さが勝るように感じた。

 画面コーティングはガラス製のスマートフォンの場合、背面パネルなどにも利用できる。画面保護フィルムと違って背面を保護するものは少ないため、機種を問わず利用できるコーティング剤はスマホの背面保護という意味では幅広く使える。

 画面コーティングは直接画面に塗り込むため、画面がガラスであればハードウェアや画面サイズは問わない。タブレット端末などはもちろん、Apple Watchをはじめとしたスマートウォッチでも利用できる。特にさまざまな場所に接触する可能性が高く、防水用途で水回りなどでも利用されるスマートウォッチは、このようなコーティング剤と相性がいい。

●コーティング剤を塗ってはいけない場所、効果が薄い場所は?

 スマートフォンの画面形状やサイズを問わず利用できる画面コーティング。便利な反面、スマートフォンでもコーティング剤を塗ってはいけない部分がある。最たる部分はカメラのレンズだ。

 近年は背面カメラ部が大きくなり、カメラ部のガラスが割れてしまうのが怖いという意見もSNS上では散見される。こちらはフィルムも少数なのでコーティング剤ならアリなのか? と思われるが、この部分に塗ってしまうと撮影する写真などの画質が悪くなる、表面コーティングなどへの悪影響があるため、絶対に塗ってはならない。

 カメラに関しては、インカメラはついつい画面と一緒に塗り込んでしまう部位だ。かつての画面ベゼル外にある機種なら判別できて問題なかったが、画面内にある近年ではそうもいかない。

 今の主流は、パンチホールというカメラの周りまで画面で構成される機種が多く、このようなコーティング剤を塗り分けるのが難しくなった。コーティング剤によっては画質に影響はないとしているものもあるが、廉価なものやコーティングの塗り方にムラがある場合、映像がボヤけたり、各種センサー類がうまく反応したりしない可能性がある。

 普段からコーティングの施工に慣れていない利用者からしたら、自前で施工する際に最も注意すべき点はここだ。

 また、折りたたみスマートフォンも注意が必要だ。基本的に、これらの機種の画面コーティングは、カバーディスプレイ(外側の画面)のみ利用できる。折りたたまれる側のディスプレイは例外なくフィルムが貼られており、これを剥がして利用することは故障の原因になる恐れもあるため、メーカーも保証対象外としている。

 フィルムの上からコーティングすることも、コーティングが硬化して画面に悪影響を与える可能性がある。基本的にコーティング剤を利用してはいけないスマートフォンだ。

 この他にも画面側に指紋防止といった特殊なコーティングが施されている機種もあり、これらの機種とは相性が悪かったり、もとのコーティングの効果を削いでしまう可能性がある。

 本体の背面がガラス製の機種はコーティングできるが、Xperia 1 Vといった特殊加工がされているものは十分な効果を発揮できない。背面にすりガラスを採用したり、複数の材質を使い分けていたりする製品では、触った際の質感が変わることもある。

 既に割れてしまったスマートフォンにコーティングを塗ってだましだまし使うというのも、本質的な部分ではあまり意味を成さない。割れた画面にコーティングを塗っても強度が増したりすることはないのだ。むしろ、割れた面からコーティング剤が画面などに侵入してスマートフォンが余計に破損してしまう可能性がある。

 そのような用途であれば、ラップを画面に貼り付けた方が滑りは失われても、画面のトゲが刺さることもなく安心して利用できる。過去には画面破損後にさらなる破損を防ぐ「スマホの絆創膏」という製品が販売されていた。

 最後になるが、ガラスコーティングのメリットは、主に指の滑りがよくなる、コート層ができるため、通常よりも細かい擦り傷などに強くなる、製品によっては抗菌機能などが付与される点が挙げられる。

 一方、ガラスフィルムなどに比べると物理的な耐久性は劣り、万一の落下時にスマートフォンの画面を確実に保護してくれるとは断言しにくい。頻繁に落下などの経験がある人は、コーティング剤よりも物理的に耐久性を高めた画面保護フィルムを使用した方が安心だ。

 また、画面コーティングは3カ月に1度程度の定期的な塗り直しが必要になる。スマートフォンの場合、ポケットやカバンに入れる頻度が多い環境的要因で公称期間よりも早く劣化することもある。塗り直すメンテナンス費用を考えると高価になってしまう一面もある。

 スマートフォンで画面コーティングを利用する場合、画面の形状などから通常のフィルムが利用しにくい、マイナーな機種でアクセサリーが少ない機種ならアリと感じた。強度を求めるならガラスフィルムを検討した方が安心だろう。

 それ以外には「フィルムの出っ張りが気に入らない」「指の滑りをよくしたい」「スマートフォンをありのままのデザインで使いたい」といった用途で選ぶのがいい。

 その際、前述した「塗ってはならない部分」「効果の薄い部分」には塗らないようにしてほしい。よく分からない場合は専門店で施工してもらうのがベストだ。利用者の求める目的や利用状況に応じて、スマートフォンの画面の保護には保護フィルム、画面コーティングを検討し、最も合うものを選択するとよさそうだ。

●著者プロフィール

佐藤颯

 生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。

 スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。

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