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ChatGPT超え? 有料プランが1年間無料で話題になったAI検索エンジン「Perplexity」を実際にスマホから使ってみた

ITmedia Mobile 2024年8月7日 17時28分

 生成AIツールが身近な存在になった昨今、さまざまな情報をリサーチする際にも、生成AIの活用は欠かせなくなりつつある。市場にはさまざまな生成AIサービスが登場し、まさに群雄割拠のありさまだが、ことブラウザの検索を絡めた用途に関しては、MicrosoftがWindowsに標準搭載した「Copilot」や、Googleが展開する「Gemini」などが存在感を強めている。

 そんな中、6月にソフトバンクがPerplexity(パープレクシティ)との戦略的提携を開始。同社が運営する同名のAI検索エンジンに、急激にスポットライトが当たった。ソフトバンクが展開する通信キャリアの「ソフトバンク」「ワイモバイル」「LINEMO」のユーザーなら、Perplexityの有料プラン「Perplexity Pro」を1年間無料で試用できるという特典が用意されたためだ。

 一方、日頃からさまざまな生成AIツールの最新情報をチェックしている方ならともかく、大部分の人は「Perplexityとは何ぞや」状態であるに違いない。そこで本稿では、このAI検索エンジン「Perplexity」を実際に使ってみたうえで、概要や特徴を改めて整理していきたいと思う。

●PCからもスマホからも使える

 PerplexityはPCのWebブラウザからも、スマートフォンのアプリからも利用できる。今回はソフトバンクの特典の文脈もあるため、スマホからの利用を主と想定し、iPhoneで使えるiOS版アプリ(バージョン2.25.1)を中心に検証を進めた。Webブラウザ版やAndroid版とは一部挙動が異なる部分があるかもしれない点は、ご了承いただきたい。

 まず、App Storeで「Perplexity」と検索し、アプリをインストール。アプリを起動するとサインインが求められ、メールアドレスや、Apple ID、Googleアカウントなどでのサインアップを選択可能だ。なお、画面を進めると、有料プランの契約を求められるが、基本的には無料プランのまま利用できるので気にせずに、左上の「×」をタップしよう。特に、ソフトバンクユーザーが特典を利用したい場合には、この時点で契約をせず有料プランの選択画面を閉じる必要がある。

 続いて、アプリ画面が開いたら、画面左上にあるアイコンをタップ。ここから使用する言語などをカスタマイズ可能だ。デフォルトでは、テキストは自動認識、音声は英語になっていたので、これを日本語に設定しておくことを勧める。

●基本的な使い方は?

 初期設定が済んだら、画面構成をチェックしていく。特に、画面下部には3つのタブのアイコンが表示されており、左から順に、(1)Perplexity(検索機能利用画面)(2)発見(主要ニュースのレコメンド)(3)ライブラリ(過去に検索したスレッドの一覧)──といった内容だ。

 検索は、画面下左端のタブを選択した状態で行う。例えば、「東京駅の周辺で懸垂ができる公園はありますか?」のように尋ねると、候補を検索したうえで、生成AIによる回答を交え、ソース(情報源)を表示した上で、内容をまとめてくれた。

 さらに、出力された回答の下部には、次の質問として想定される関連されたプロンプト(※生成AIに対する指示や質問のこと)が提案されるので、ユーザーはそれらをタップするだけで検索を続けられる。

 また、出力された内容は、画面下右端のタブを選択し、「スレッド」の画面を開くことで、後からでも確認できる。スレッドの内容は、長押しでコピー操作などが行えたり、共有操作から他のユーザーにシェアすることもできる。

 最低限の基本操作としては、このあたりを覚えておけば十分だ。すでにChatGPTやCopilotなどを触ったことがある人ならば、おそらく戸惑うことなく運用できるだろう。

●「Pro Search」という機能がある

 さて、応用編だ。Perplexityには「Pro Search」という機能が備わっている。Perplexityのヘルプページを確認してみると、これは「GPT-4」や「Claude 3」などの高性能なAIモデルを利用し、対話型の検索によって、洗練された検索結果を提供する──といったものだと推察される。また、主な用途には、学術分野や、専門的な領域、ニュースの情報収集などが想定されているようだ(ただし、筆者が検証した範囲では、無料・有料プランを問わず、対話を通じて条件を絞るような工程は表示されなかった)。

 使い方自体はシンプルで、検索機能を利用する際に、入力欄の横にある「Pro」のスイッチをオンにするだけでよい。このスイッチをオンにして検索を行うと、スレッドには「Pro Search」であることのアイコンが表示される。生成された回答には、「Pro Search」という欄が表示され、検索時に実行した処理の過程が確認できるようになっていた。

 さて、紛らわしいのだが、この「Pro Search」は有料プランの「Perplexity Pro」を契約していなくても、無料プランのままでも部分的に利用できてしまう。ただし、利用には回数制限が設けられており、公式のヘルプページには、“無料プランのユーザーは4時間ごとに5回”との記載を確認できた。

 この回数制限を取り払うためには、有料プランの「Perplexity Pro」が必要になってくる。公式のヘルプページには、「加入者は1日に最大600回のPro検索を実行できます」との記載を確認できた(なお、iOSアプリの有料プランのレコメンドページには、“1日のPro Search使用回数300回以上”と表記されていた)。

●有料プランの特典は生成AIモデルを選択できることにある

 有料プランの「Perplexity Pro」を契約するメリットは、Pro Searchの回数制限以外にもいくつかある。例えば、アップロードできるファイルの制限がなくなる点は重要だ。

 例えば、iOSアプリでは、有料プランを契約してから「+」をタップすると、「画像を選択」「写真を撮る」「ファイルをアップロードする」の3つのメニューが表示された。こうした利用方法が多い場合には、有料プランを契約しておいた方が快適かもしれない。

 なお、複数社の生成AIモデルを設定から変更して使い分けられることも覚えておこう。有料プランを契約後には、画面左上のアイコンから、「AIモデル」の欄を選択することで、「Default」の他、「Claude 3.5 Sonnet」「Sonar Large 32K」「GPT-4o」「Claude 3 Opus」「LIama 3.1 405B」を選べるようになっていた。

 ここまで生成AIモデルを使い分ける必要があるかは疑問だが、そもそも普段から複数の生成AIモデルを使い分けているという人には、コストを抑える選択肢になるかもしれない。

 ただし、有料プランでは画像の生成にも対応しているものの、Perplexityでは通常のプロンプトで「イラストを生成して」のように指示しても画像は生成されないという特殊な操作手順に注意が必要だ。画像生成をしたい場合には、ブラウザ版のサービスから、検索した内容のスレッドを開き、画面右端にある「画像を生成する+」をクリックする必要がある。少なくとも筆者は、iOSアプリでは、この「画像を生成+」を見つけられなかった。

●ソフトバンクユーザーが特典を利用するには

 さて、有料版の「Perplexity Pro(プロフェッショナル)」プランは、ブラウザから公式サイトにアクセスして購読すると月額20米ドル(7月31日時点のレートで3056円)、または年額200米ドル(7月31日時点のレートで3万560円)だ。一方、iOSアプリ内からの購読の選択肢では、月3000円または、年1万円だとされている。Android では月2950円、または年2万9500円だ。

 冒頭で述べた通り、「ソフトバンク」「ワイモバイル」「LINEMO」のユーザーならば、この有料プランを1年間無料で使える。キャンペーンサイトから、専用の申し込みフォームにアクセスし、メールアドレスを入力。その後、メールアドレス宛に届くURLをクリックして、アクセス先のWebページから登録するとエントリーが完了する。キャンペーン期間は2024年6月19日~2025年6月18日までだ。

 なお、キャンペーンの注意書きには、「他社のPerplexityに関するキャンペーンを既に適用したメールアドレスの場合、本キャンペーンが適用されない可能性がございます」や、「Perplexityの登録の際、過去にPerplexity Proの登録に利用したメールアドレスでは本キャンペーンの適用ができません。別のメールアドレスにて登録をお願いします」などの記載もあった(出典:ソフトバンク Perplexity Pro キャンペーンページ)。あらかじめ留意しておこう。

 Preplexity Proの料金が年3万円だと考えると、そのポテンシャルを生かして十分に元を取れる人は限られてくるだろう。しかし、先述した「Pro Search」機能を多用したい人や、ブラウザ版から画像生成に利用したいという人ならば、少なくともキャンペーンにエントリーして、一年無料で使ってみる価値はありそうだ。

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