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iPhoneにTouch ID(指紋認証機能)が欲しい理由 それでも「iPhone 16(仮)」への搭載は望み薄

ITmedia Mobile 2024年8月18日 10時5分

 Appleの「iPhone SE」ではない機種でも、Touch ID(指紋認証機能)を利用できるようにしてほしい。2024年はコロナ感染対策に伴う行動制限などが実施されていないが、それでもマスク慣れしてしている。外出時にマスクをしながら「iPhone 15 Pro Max」でFace ID(顔認証機能)を使うと、喉から手が出るほどTouch IDが欲しくなる。

 そこで、Touch IDとFace IDの違いをおさらいしつつ、iPhone SE以外のiPhoneにTouch IDが搭載されるのかを考えたい。

●Touch IDとFace IDの違いは?

 Touch IDを初めて搭載した機種は2013年発売の「iPhone 5s」。それ以降の機種でもTouch IDの採用は続いたが、2017年に「iPhone 8」と同時発表となった「iPhone X」ではディスプレイの全画面化に伴い、ホームボタンとTouch IDが廃止され、代わりに顔認証システムのFace IDが採用された。これ以降、iPhone SEシリーズを除き、iPhoneにTouch IDは搭載されていない。

 Face IDは写真や動画の撮影に使うインカメラとは別に設けられた「TrueDepthカメラ」で認証する。メーカーや機種によってはインカメラで認証を行う機種も市場に存在するが、立体的に顔を捉えない仕組み(いわゆる2D)だと、顔写真で突破されるリスクがある。一方、Face IDはTrueDepthカメラで顔の「深度マップ」と「赤外線イメージ」を作成し、そのデータを登録済みのデータと照合。これにより本人かどうかを判断する。

●マスクなしならFace IDでもいいが、やっぱりTouch IDが楽だと感じる理由

 顔や指で認証を行う生体認証は、2024年現在、多くのスマートフォンに実装されている機能の1つだ。セキュリティの観点からあった方がいい機能だし、今後も必ず使いたいのだが、Face IDにおいてはマスク問題がしっかりと解消していない感がある。

 iOS 15.4以降を搭載したiPhone 12以降の機種ではFace IDの設定項目に「マスク着用時Face ID」という項目が用意されており、マスクを着けたままでも認証できるが、マスクの着用位置が高すぎたり、目元に近すぎたりすると、Face IDでのロック解除ができない場合がある。

 iPhoneとの通信範囲内にあり、かつロックを解除した状態で、手首に装着したApple Watchがあれば、「Apple Watchでロック解除」を行えるが、Appleが指定する要件を全て満たす必要がある上、Apple Watchを所有しない人にとっては有効な手段ではない。

 Touch IDならマスクの有無を問わず認証できるし、机上に置いたiPhoneのロックを解除するためだけに、TrueDepthカメラをのぞき込んだり、手に取ったりする必要もない。

●Touch IDは「iPhone 16」(仮)に搭載されない、と言い切れる理由

 ただ、Touch IDと一言でいっても、ホームボタン兼Touch IDの復活を希望しているわけではない。ディスプレイのサイズを小さくしてまで、Touch IDを搭載することは、動画コンテンツを大画面で視聴したいというニーズに逆らうことになるからだ。

 そこで、1つの案として想起できるのが、「超音波式の画面内指紋認証」だ。ディスプレイの下から超音波を発射し、指紋の形状を認識して、事前に登録された指紋データと照合する仕組みだ。

 国内で販売されている主要なハイエンドクラスとしては、「AQUOS R8 pro」「Galaxy S24」シリーズが超音波式の画面内指紋認証を採用している。ただし、ディスプレイを保護するフィルムの素材や厚さによって機能しない場合があるため、必ずしもメリットばかりではない。

 「iPad Air」や「AQUOS R9」「Xperia 1 VI」のように、指紋センサーを側面のボタンに内蔵するという形でもいいはずだ。サイドキーが右側面にあるiPhone(iPhone 12~15)は、右手で握ると親指が、左手で握ると人さし指か中指がちょうどこのサイドキーに触れる。

 Appleの情報に詳しいアナリストのMing-Chi Kuo氏は、2023年と2024年に登場するiPhoneに画面内指紋認証が採用されない可能性をXで投稿している。実際、2023年の「iPhone 15」シリーズにAQUOS R8 proやGalaxy S24と同じ仕組みを用いた画面内指紋認証は搭載されていない。

 I previously predicted iPhones would support under-display fingerprint sensing/Touch ID in 2023 at the earliest. But the latest survey indicates new iPhones in 2023 & 2024 may not adopt under-display Touch ID. Face ID with a mask on iPhone is already a great biometrics solution.(私は以前、iPhoneは早ければ2023年にディスプレイ下の指紋認証/Touch IDをサポートすると予想していた。しかし最新の調査によると、2023年と2024年の新しいiPhoneは、ディスプレイ下のTouch IDを採用しない可能性があるという。iPhoneのマスクを使ったFace IDは、既に優れた生体認証ソリューションだ。)

 残念ではあるが、かくいう筆者もiPhoneのフラグシップモデルに画面内指紋認証が搭載される可能性は低い、と考えている。2017年、ティム・クックCEO(最高経営責任者)はApple Special Event(Let's meet at our place.)で、Face ID搭載のiPhone Xを「今後10年の方向性を示す新たな製品」と紹介していた。

 そのため、2024年も例年通り、9月に発表されるであろう「iPhone 16(仮)」シリーズもTouch IDの搭載はないだろう。その先のiPhoneのフラグシップモデルにおいても、Face IDに代わってTouch IDが搭載される可能性は極めて低いといえる。

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