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「3GBじゃ足りなかった」 LINEMOベストプランが埋めた穴、ユーザーが語る魅力と課題感

ITmedia Mobile 2024年8月23日 10時5分

 ソフトバンクとMMD研究所は8月22日にオンライン専用ブランド「LINEMO」のユーザーを招いたイベントを開催した。合わせて、1072人を対象に実施した利用実態に関する調査結果を発表し、LINEMOユーザーのリアルな声を明らかにした。

 イベント会場には4人のLINEMOユーザーが駆け付けた。なお、記事内でのユーザーコメントは個人情報の特定につながる本名、顔が判別できるような写真や動画(顔を含めたワンショット、ユーザーメインの画像など)を避けて記載する。

●3GBか20GBの二者択一だったが、その中間的な容量を新プランでカバーしたLINEMO

 LINEモバイルを引き継ぐ形で2021年にスタートしたLINEMO。料金の安さやLINEとの連携を売りにしてきた。ソフトバンクでLINE&Y!mobile事業推進本部長を務める東邦彦氏は「顧客満足度(※)で3年連続首位を獲得した」と胸を張り、売りとする点が多くの人に受け入れられていることを説明する。

(※)J.D. パワー 2023年携帯電話サービス顧客満足度調査において、3年連続で1位を獲得

 そのLINEMOにはソフトバンクのように使い放題のプランはなく、Y!mobileのような店頭契約、店頭サポートはないが、オンラインで契約して好きな端末にSIMを挿して使いたい人にはうってつけのプランといえる。サービス開始から3年がたった2024年はプランを一新した。

 「LINEMOベストプラン」「LINEMOベストプランV」と銘打つ新料金プランを7月30日から提供している。ベストプランは月のデータ使用量が3GB未満なら月額990円(税込み、以下同)、3~10GBは月額2090円で利用可能。ベストプランVは20GB未満が月額2970円、30GBまでが月額3960円となる。

 旧料金プランは3GBを月額990円で利用できるミニプランか、20GBを月額2728円で利用できるスマホプランの二者択一で、3GB超過後は低速になり、高速通信をしたい場合は追加料金が発生していた。新プランでは中間的な容量を補い、「3GBでは少し足りず、20GBも要らない」という人にとって、有力な選択肢の1つとなった。

 東氏は「月によって利用の状況は変わってくる」と前置きしつつ、「3GBで足りる月もあれば、足りない月もある。3GBでは少し足りない場合がある、という声」に応えて、ベストプランの提供を開始するに至った、と説明している。旧プランもシンプルに見えていたが、足りない穴を埋めたのがベストプランといえる。

●ユーザーを招くイベントの開催意図

 LINEMOベストプラン、LINEMOベストプランVの提供が始まってから1カ月もたっていないが、LINEMOの申し込み実績は「発表会開催日の6月6日以降、申し込みは増加傾向にあり、好調に推移している」(東氏)そうだ。発表後にX(旧Twitter)を見ると、10GBに注目する人もいて、ニーズのあった中間容量を補えたように思う。東氏も「SNSにおけるポジティブな声は発表会前後で2.4倍に増加した」と反響を話す。

 サービス提供元のソフトバンクとしては、LINEMOユーザーを招くイベントを今回初めて開催する。LINEMOの満足度が高い理由や、ユーザーから見たLINEMOの魅力を可視化することで、より選ばれやすい料金プランにしたいようだ。東氏はイベント開催の意図をこう説明する。

 「本当に生の声を聞きたい。どういったユーザーさんが何を求めているのかを深掘りして、さらなるサービス改善に役立てていきたいという思いがあり、MMD研究所と調査を実施し、その発表の場とともにユーザーを招いたイベントの開始に至った」

●LINEMOユーザーは何に魅力を感じているのか

 では、LINEMOユーザーは何に魅力を感じているのだろうか? 逆に改善点はあるのだろうか? ここからはMMD研究所の調査を交えつつ、イベントで見えたLINEMOの課題感も見ていきたい。

 MMD研究所は「LINEMOのユーザーのうち、他社からLINEMOに乗り換えた人を対象に、乗り換えを検討したきっかけを尋ねたところ、「通信料金の見直し」が69.7%と最も多い。現在契約している料金プランよりも出費を抑えたい、という動機からLINEMOへ変更していることがうかがえる。

 「LINEMOに乗り換えて、支払っている通信料金は安くなったのか」を質問したところ、全体のうちの79.1%が「安くなった」と実感していることが分かった。

 「なぜLINEMOを契約したのか?」という質問に対しては、36.7%が「料金プランが自分に合っているから」と回答した。次に多かったのが「コストパフォーマンスがよいから」で26%となった。他にも「LINEのデータ消費ゼロで使えるから」が8.7%、「PayPayキャンペーンなどのキャッシュバック特典がよかったから」が6.3%、「通信速度が速そう、つながりやすそうだから」が4.2%という結果となった。

 この結果について、MMD研究所代表の吉本浩司氏は「ベストプランの容量としてはスイートスポットをしっかり押さえられたと感じた。コストがしっかりと下がっているのにつながりやすい――この点が評価された結果ではないか」と分析する。

 東氏は「通信速度、ひいてはつながりやすさという観点でいえば、LINEMOもソフトバンク、Y!mobileと同じネットワークを利用しているため、そこは今後も訴求しつつ、ユーザーさんが利用している容量にマッチするコスパのよさを意識して、今後もサービスを提供していきたい」と続ける。

●LINEMOユーザーのうちの9割以上が満足 LINEMOを選んだ決め手や課題感も浮き彫りに

 MMD研究所の調査では、LINEMOユーザーのうちの9割以上がLINEMOのサービスに満足していることも分かった。LINEMOならではの魅力である「LINEギガフリー」にひかれて、LINEMOを利用しているそうだ。LINEギガフリーはLINEを利用した場合にデータ通信料を消費(使用量としてカウント)せず、契約プランの月間データ通信量を超過しても、LINE利用時のみ速度制限がかからない。

 もともとSoftBankを利用していたモリヤさん(女性)は「他の大手キャリアのブランドも見たが、LINEギガフリーがLINEMOを選ぶ一番の決め手となった」と話す。イワサワさん(女性)もLINEMOを約1年使っており、「LINEギガフリーを活用して、家族と連絡を取っている」と明かした。

 ベストプランについて「魅力的だと思う」と回答したユーザーは何に魅力を感じたのか。MMD研究所の調査結果、約半数(49.7%)が「LINEMOベストプランは10GB以下が最安だから」と回答した。ベストプランの10GBまで月額2090円という料金はMNOが提供している10GB以下の料金プランの割引前価格で「最安」をうたう。ユーザーにとっては複雑な割引条件を満たさずに、通信費の出費を抑えやすくなっている。

 3~10GBのベストプランを選んだトヤマさん(女性)は「SNS閲覧や動画視聴にLINEMOを活用している。毎月10GBくらいのデータ容量を消費している」とベストプランの魅力を話した。一方、イワサワさんは「旧料金プランの20GBのプランを利用していたが、実際は20GBを少し上回ってしまったため、30GBまでが月額3960円のベストプランVに変更した」と語った。

 LINEMOを約1年使っているシノハラさん(女性)は「LINEMOを選ぶ前にドコモのガラケー(フィーチャーフォン)を10~20年ほど利用していた。乗り換え先にLINEMOだけでなくahamo、楽天モバイルも検討したが、LINEが使いやすいLINEMOを選んだ」と話す一方で、「この会でLINEスタンプ無料を初めて知ったため、情報弱者である自分にもお得な使い方が分かる仕組みや機会が欲しい」とLINEMOの課題感を示した。

 MMD研究所は8月初頭にLINEMOベストプランの認知度を調査した。59.4%が「LINEMOベストプランに魅力を感じている」と回答した一方、LINEMOベストプランの認知率は39.2%であることが分かった。提供が始まったばかりの料金プランであるため、このような結果となったのだろうが、お得な使い方が分かる手段の拡充を含め、テコ入れが必要な部分といえそうだ。

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