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格安SIMの通信速度を測定【2024年8月】:IIJmioとmineoは昼の速度が大幅に向上

ITmedia Mobile 2024年8月27日 11時4分

 料金が安い格安SIMですが、中には昼や夕方に速度が遅くなるサービスもあります。特に大手キャリアの回線設備の一部を借りて運営するMVNOを契約する際には注意が必要です。そこで今回はMVNOを中心とした格安SIMについて、4Gの通信速度を測定しました。約1年ぶりの測定となりましたが、昼の通信速度が大幅に向上したサービスもありました。

●速度測定の条件

 今回は以下の条件で格安SIMの速度を測定しました。

・測定期間:8月5日(月)~8月9日(金)

・測定場所:福岡市内の筆者の自宅

・測定端末:AQUOS wish2

・測定アプリ:ドコモスピードテスト

 ドコモ回線の測定にはAQUOS wish2 SH-51C、au回線にはAQUOS wish2 SHG08、ソフトバンク回線にはAQUOS wish2 A204SHを用いています。測定したのは4Gのデータ通信速度です。

 なお、通信速度は測定タイミング、測定したエリアや環境などによって大きく変動します。あくまで参考としてお読みください。

●IIJmioの通信速度:昼のピーク時でも4~5Mbpsの速度が出るように

 まずはIIJmio(タイプD/タイプA)の通信速度です。

 タイプDもタイプAも、昼以外は常時15~20Mbps前後の速度が出ています。超高速というわけではありませんが、スマホの通信速度は3Mbpsもあれば快適に使えるので全く問題ない速度です。

 最も回線が混雑する昼12時30分は、タイプDは最も遅い日で5Mbps以上、タイプAは4Mbps以上の速度が出ていました。前後の時間よりは遅くなっていますが、4Mbpsも出ていれば使用にほとんど影響はないでしょう。筆者の運営サイトでは5年ほど前から毎月速度を測定しており、IIJmioの昼12時30分はほぼ1~2Mbpsほどでしたが、8月はいずれも過去最高の速度でした。

 なお、タイプDの夕方18時は8月9日(金)だけ10Mbps以下に落ち込んでいます。使用に影響が出るレベルでは全くないものの、格安SIM全体の傾向として金曜日や祝前日は速度の低下が大きいので注意が必要です。過去には2~3Mbps前後に遅くなる月もありました。

 IIJmioの特徴は何といっても料金の安さです。ギガプランは月2GBが月額850円(税込み、以下同)、月5GBが月額990円で使えますし、最大50GBまで容量が小刻みに選べるのも特徴です。さらに常時お得なキャンペーンを実施しており、9月2日までに申し込むと、月2GBが最大3カ月間、月額410円で使えます。

 通信速度は万全とはいえないものの、昼も最近はだんだん速くなっていますし、料金の安さやキャンペーンの豪華さを考えると少々は我慢できるという人も多いでしょう。ドコモ回線とau回線が選べるので、ドコモやauからの乗り換えならスマホがそのまま使えるというメリットもあります。

 IIJmioの特徴やデメリットはこちらにまとめています。

●mineoの速度:DプランとSプランは好調も、Aプランが苦戦

 続いてはmineoです。mineoはドコモ回線のDプラン、au回線のAプラン、ソフトバンク回線のSプランの3つが選べます。DプランとSプランは、IIJmioと同様に昼12時30分の速度が過去最高レベルでした。

 DプランもSプランも昼12時30分は最も遅い日で3.7Mbps以上出ており、どちらも筆者の測定では過去最高レベルの速度でした。この速度なら、高画質設定でYouTubeなどの動画を視聴しても快適でしょう。

 ただし、夕方に昼と同じレベルで速度が低下するので注意が必要です。どちらも3~4Mbpsほど出ているのでほぼ影響はないと思いますが、場合によっては速度の低下を感じるかもしれません。

 DプランとSプランの速度が速くなったのに対し、au回線のAプランはこれまでと似たような速度でした。昼は1Mbpsを割り込むことも多く、WebサイトやSNSの画像表示が遅れたり、動画が詰まったりするかもしれません。夕方も1Mbps台の日があり、8月は3回線の中で最も遅くなりました。

 ここ最近の筆者の測定では、mineoの中ではSプランが最も速いことが多いです。ただ、Sプランは昼より夕方に遅くなることが多く、夕方はD/Aプランの方が速いことも多いです。どのプランも差はわずかなので、好みで選んでいいでしょう。

 mineoは大手3キャリアの回線が選べるのがメリットです。特にソフトバンク回線が選べる格安SIMは少ないので貴重ですね。「パケットシェア」「パケットギフト」や「ゆずるね。」「フリータンク」など、データ容量に関するサービスが豊富で、筆者の周りのmineo契約者も満足度が高いようです。また、上級者には使い放題プランのマイそくもオススメです。

 mineoの特徴やデメリットはこちらにまとめています。

●サブブランド/オンライン専用プランは速い

 筆者はIIJmioとmineoの他にもahamo/povo2.0/LINEMOやY!mobile、UQ mobileの速度も毎月測定しています。これらのキャリアはMVNOとは異なり、キャリア本家と同じ回線設備をそのまま使っています。どこも1日中速いので、速度面の心配は不要です。

 筆者の環境で特に速いのがY!mobileとLINEMOです。月による速度の変動が少なく、常時数十Mbps出ていて安定感抜群です。筆者が借りているオフィスでもつながりにくい場所があり、楽天モバイルはほぼ圏外、ドコモ回線とau回線も速度が顕著に低下しますが、ソフトバンク回線だけは常時快適に使えます。各種調査でもソフトバンク回線の評価が高く、SNSなどの口コミでも評判がよいです。

 といっても、スマホの通信速度はエリアや環境によって大きく異なります。特に2023年には「パケ詰まり」と呼ばれる通信速度の低下が話題になりました。パケ詰まりとは、駅周辺、繁華街やオフィス街などの人口集中エリアで通信がプラチナバンドなどの特定の周波数帯に偏ることで、通信できなかったり速度が低下したりする現象です。最も話題になったのはドコモですが、au、ソフトバンク、楽天モバイルでも起こる可能性があります。

 人口が多いエリアで、ドコモ/au/ソフトバンクやそのサブブランド、オンライン専用プランを使っているのに速度の低下が大きい場合は、パケ詰まりの可能性もあります。その場合、4G端末を使っている場合は5G対応機種に機種変更すれば解決するかもしれません。パケ詰まりは4G通信で起きることが多く、帯域幅の広い5Gで通信すれば快適な場合もあります。現行の5Gスマートフォンでも安価な機種はあるので、4G機種を使っている人はまずは機種変更してみましょう。

 5Gスマホを使っているのにつながりにくい/遅い場合は他社への乗り換えを検討しましょう。その際、同じ回線を使うキャリアに乗り換えても解消しないので注意が必要です。eximoや5Gギガホプレミアを契約中の人がahamoに乗り換えたり、auの使い放題MAXからUQ mobileに乗り換えても効果がありません。例えば勤務先のオフィスビル内でつながりにくい場合は、同僚などに通信状況を聞き、快適に使えそうなキャリアを聞いてから乗り換えるのがよいでしょう。

 以上、格安SIMの通信速度の測定結果でした。8月はIIJmioやmineoの昼の速度が大幅に向上しましたが、9月以降もこの速度がキープできるか注目です。繰り返しになりますが、スマホの通信速度はエリアや環境によって大きく変動するので、あくまで参考情報として読んでください。

著者プロフィール

シムラボ

 「シムラボ」は、スマホ料金や端末に関するお役立ち情報を発信する個人サイトです。Y!mobileに乗り換えたことをきっかけに格安SIMのよさに気付き、今では主要な格安SIMは全て契約してレビューしています。モットーは「自分に合うものを、より安く」。

・Twitter(現X):@simlabo_jp

・サイト:https://www.simlabo.jp/

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