Infoseek 楽天

中国EVメーカーが“謎のスマホ”を出している理由 レアな「NIO Phone EXPedition」の実機に遭遇できた

ITmedia Mobile 2024年9月2日 16時55分

 3月にXiaomiが電気自動車(EV)を発売して世界中を驚かせましたが、中国では逆に自動車メーカーがスマートフォンを作る時代になっています。新興EVメーカーのNIO(上海蔚来汽車)は、2023年9月に「NIO Phone」を発売しました。しかし、家電量販店や通信キャリアの店舗では販売されず、NIOの自動車ディーラーにも展示されず、そのベールは謎に包まれたままでした。

 中国の自動車関連展示会で、NIOの出展ブースにNIO Phoneが展示されることもありますが、NIO Phoneの実機に触れる機会はほとんどありません。

 今回は6月に上海で開催された「MWC上海2024」にNIOが初出展しており、NIO Phoneの実機に触れることができました。

●自動車メーカーが作るスマホとは?

 自動車メーカーが作るスマホはどのような製品になるのでしょうか。NIO PhoneはチップセットにQualcommのSnapdragon 8 Gen 2を採用しており、2023年の発売時点では最高スペックともいえるモデルです。

 ディスプレイは6.81型(3200×1440ピクセル)で解像度も高く、表面のガラスにはGorilla Glass Victusが採用されています。フロントカメラは1200万画素です。側面は丸みのあるエッジ形状となっています。

 5000万画素のアウトカメラは3つのレンズ(広角、超広角、2.8倍望遠)を搭載しており、なかなかの高スペックです。NIO Phoneには本体のカラーバリエーションが7色あり、以下の「EPedition」は、背面をヴィーガンレザーで覆った高級モデルに位置付けられています。価格は標準モデル(メモリ12GB+ストレージ512GB)が6499元(約13万7000円)、EPeditionはメモリ16GB+ストレージ1TBで7499元(約15万8000円)です。

 本体を側面から見ると、カメラ部分が出っ張っている独特の形状をしています。手に持ったとき、カメラの台座の下部がちょうど人差し指に当たるので持ちやすい形状ともいえます。

 本体背面はディスプレイのカーブに合わせて丸めてあります。重量は標準モデルが約212g、EPeditionは約216gと、ほどよい重さでした。

 左が標準モデル、右がEPeditionです。標準モデルも色合いは悪くなく、背面にあるNIOのロゴがいいアクセントになっています。

 OSは自社開発したAndroidベースの「SkyUI」を搭載しています。100%広告無しで高度なセキュリティなどが売りで、ユーザーインタフェースはNIOのEVで使われているインフォテイメントシステムのOS「SkyOS」と同じデザインを採用しています。

 AI機能も搭載しています。ユニークな機能として、カメラで自動車を撮影するとナンバープレートに自動的にぼかしを入れ、SNSにアップするときに個人情報を守るといった自動車メーカーならではの工夫も見られます。

 NIOのEVとの連携も可能ですが、EVで採用されているAIアシスタント「NOMI」がNIO Phoneにも搭載されています。NIOは先にEVのスマート化を進めており、その拡張として自社でスマホも開発し、NIO EVユーザーがシームレスに使えるスマホとしてNIO Phoneを販売しています。そのため、NIO Phoneは一般の家電量販店では販売されていないというわけです。

 NIOのEVのダッシュボードを見ると、小さな球形でディスプレイに顔の表情が表示されている物体が取り付けられていますが、これがAIアシスタントのNOMIを表現しています。

 話しかけると話者の方向を向いて、顔の表情も変えてくれます。そして下の大型ディスプレイに各種情報の表示も可能です。

 このようにNIOは自動車の車内では車内搭載のAIアシスタントを、自動車を降りてからはNIO Phoneで引き続きNIOのAIシステムを使えるようにしているわけです。なお、7月にはNIO Phoneの後継モデルも登場しており、引き続きスマホの開発にも力を入れています。

この記事の関連ニュース