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「Galaxy Z Fold6」をカメラ視点で検証 閉じても開いても半開きでも安定感抜群 AIフォンならではのワザも

ITmedia Mobile 2024年9月2日 18時50分

 気が付いたら、サムスン電子のフォルダブル(折りたたみ)スマートフォン「Galaxy Z Foldシリーズ」も、初代(当時は「Z」が付かなかった)から数えて6代目。2019年から毎年リリースされ、性能のみならずディスプレイはもちろん、ヒンジやサイズ感も改良され続けてきた。

 カメラ機能も例外じゃない。カメラユニット自体は他のGalaxy(特に「Galayx Sシリーズ」)と比べて優れているわけではないが、フォルダブルだからこそ可能なさまざまな撮影バリエーションにどんどん対応してきた。自撮り用カメラは、メインディスプレイにあるインカメラとカバー画面(サブディスプレイ)にあるカバーカメラも合わせると、全部で“5つ”もある。面白いものである。

 個人的に本シリーズで推したいポイントは、オーソドックスなスマホでは難しい、いろんな撮り方を駆使できること。閉じても開いても半開きでも撮れるのは、ややこしくも楽しいのである。

 そして、今までのGalaxy Z Foldシリーズのカメラは、最新のGalaxy Sシリーズと同等……とまでは行かなかったけど、今回の「Galaxy Z Fold6」は、Galaxy S24と(広角と望遠は)同じカメラということでクオリティ的にも安心できるし、さらに撮影後に生成AIを駆使した、いろんな機能を使える。

 そんな視点を踏まえて、今回はGalaxy Z Fold6をザクっと使ってみたい。

●アウトカメラの素性をガスタンクでおさらい

 一応、Galaxy Z Fold6のカメラを基本からチェックしよう。3つ縦に並んだアウトカメラは上から順に「超広角」「広角」「3x望遠」と、きれいに並んでいる(3xは、広角カメラと比べた倍率)。

 超広角カメラは1/3.2型センサーで約1200万画素、レンズは13mm相当でF2.2だ。Galaxy S24よりセンサーサイズがちょっと小さい。

 メインとなる広角カメラは1/1.5型センサーで約5000万画素、レンズは23mm相当でF1.8だ。Galaxy S24と同等である。

 3x望遠カメラは1/3.9型センサーで約1000万画素、レンズは69mm相当でF2.4だ。Galaxy S24とスペックは同じで、センサーサイズはちょっと小さい。

 こうして見ると望遠カメラがちょっと弱いのだけど、Galaxy S24相当なのでしょうがない。さすがにこれをGalaxy S24 Ultra相当(≒5x望遠カメラ搭載)にしたら……価格もさらに上がるだろうし、このサイズ感は難しかっただろう。

●閉じて撮る、開いて撮る

 Galaxy Z Fold6は、何しろ従来モデル比で薄くなり、ヒンジも改良されてしっかりしたものになり、少し丸かった角もカシッとした。そのことで、畳んだ状態での使い勝手がよくなった。

 もうカメラとして使うときは、畳んだままが最高にいい。カメラをすぐに起動できるし、持ちやすいし、画面の大きさも写真を撮る分には申し分ない。

 暗いときは、自動的に「ナイトモード」に切り替わる。この辺のクオリティは、今更いうまでもないな。

 続いて、端末を開いて撮ってみる。

 開くと大画面になるわけだが、カメラとしては扱いづらいサイズになる。でも、シャッターボタンがちゃんと右端に移動して、両手で横向きで持つとちょうどいい感じになるのがよく考えられている。

 ここで左上にある画面分割ボタンをタップすると、画面が2分割され、片方は撮影画面に、もう片方は直前に撮った写真の表示となる。こっちの方が一目で構図全体を把握できるし、ボタン類が隠れないし、直前のカットを見ながら調整できるので、おすすめだ。

 端末を横向きにすると、画面上半分がプレビューに、下半分が各種操作系と直前に撮ったカットの表示となる。

 面白いのは開いた状態で「カバー画面プレビュー」をオンにすると、前後両方の画面に画像が表示できること。これなら、撮られる方もどんな感じなのか画面で確認できるから、ポーズや表情を作りやすい。

 この状態で自撮りに切り替えると、メインカメラで自撮りできる。カバー画面についている小さなカメラに比べると、画質はずっといいし、ポートレートモード時のクオリティも高いし、0.6xの超広角で自撮りできるので、背景をより広く入れたいときにもいい。フォルダブルスマホならではの技だ。

 このときに、メインディスプレイには「端末を裏返してリアカメラで自撮り」と表示されてタッチパネルはロックされるので、不用意に触って操作しちゃうこともない。

 自撮り時は、Galaxyではおなじみの「手のひらシャッター」も使える。ポートレートモードでアウトカメラ自撮りしてもらった。

●“半開き”撮影が楽しい!!

 閉じる/全開の次は“半開き”。これは、フォルダブルスマホならではの技だ。

 こんな風に山にしたり、こんな風にぺたっと置いたり――けっこう微妙な角度でもぴたっと止まるのでありがたい。

 で、オンライン会議なんかのときはインカメラを使えばいいし、机の上に置いてメモ代わりに写真を撮りながら作業してもいいし、フォルダブルスマホの醍醐味(だいごみ)だよね。

 このときは、プレビュー画面を上のディスプレイに置くか下のディスプレイに置くかを切り替えられる。これは下をプレビュー、上を最後に撮影したカットとした場合。

 それぞれのスクリーンショットを撮ると、こうなる。

 この多彩な撮り方こそが、Galaxy Z Foldシリーズの面白さだ。

 カメラ性能自体はGalaxy S24と変わらないけど、ブラウジングや編集で大きな画面を使えることや、折り畳んだ状態でのカメラはスリムで扱いやすいこと、そして折り畳みならではの自由な撮り方ができるのは素晴らしい。

 画質もGalaxyならではの安定感があるので、めちゃ魅力的だ。

●「AIフォン」ならではの技を駆使してみる

 カメラに関しては十分な画質だよね――ってことで、ここからはAI(人工知能)を駆使した機能で遊んでみたい。

 撮影後のAI駆使機能の充実が、Galaxy Z Fold6を含む最近のハイエンドなGalaxyのウリなのだ。

インスタントスローモーション

 最初は動画から。動画は最高で8K(7680×4320ピクセル)まで撮れるが、ここではフルHD(1920×1080ピクセル)で撮った、何てことない動画を使う。縦位置で撮った動画だ。

 使うのは「インスタントスローモーション」。ここぞという場面だけで画面の長押しでスローモーション表示してくれる。

 ジャンプしたところで長押しすると、スローモーションで表示できる。それを「スロー動画」として保存可能だ。スローモーションに足りないコマは、AIが自動的に補完してくれるのがミソ。

 作成された動画は見事にスローモーションになっている……のだが、コマ送りでよく見ると、手下や足が消えているコマがあって、完璧ではない。残念。せっかくキレイに飛んでくれたのに。

 AIのやることだからまだまだこれからってところか。

AI消しゴム

 次は編集機能。AIを使った画像の編集は、2カ所に分かれているので注意。

 1つは、以前のモデルでも使える「AI消しゴム」。ちょっとわざとらしいけど「料理を撮ったらスマホの影が映ってしまったー」というカットを用意してみた。

 AI消しゴムは、そんな時に活躍する。AI消しゴムから「影を消す」を実行してみよう。

 すると、無事影が消えました。これは実用的だ。

生成AIを使ったオブジェクトの削除/追加

 もう1つは「生成AI」を使った機能。いろんなとこでデモされているから、ある意味でおなじみのヤツだ。

 ここに銀座四丁目の交差点を撮った写真がある。でも、人が多く行き来するので、どうしてもあれこれ写り込んでしまいがち。

 そんなとき、生成AIの出番。消したいものをタップして選択してから「生成」ボタンをタップしてみよう。

 よく見ると微妙な所はあるけど、見事に消えました。

 逆に、写真に要素を追加することも可能だ。

 ふと、人を消した写真の空に、飛行機を飛ばしてみたくなったのである。そこで「AIスケッチ」を使って、適当に飛行機っぽいものを描いてみた。

 すると、AIが見事に飛行機を飛ばしてくれたのだった。複数の候補が出てくるので、一番意図に近いものを選んでみた。

 ちなみに「生成AI」機能を使うと、左下に「AIが生成したコンテンツ」とウォーターマークが入る。

 このAIスケッチ、写真に加える手書きのイラスト……というか殴り書きは、どれだけラフであっても、勝手にAIが想像してリアルな画を描いてくれるのが面白い。

 候補はいくつも出てくるのでイメージにあうものを選べばいいのだ。

自撮りでも生成AIは効果的

 もう1つ行ってみよう。まず、インカメラで撮った自撮りの写真を用意した。

 撮った後、後ろの池が何もなくてさみしい「鳥でも飛ばしてみようかな」と思ったのである。

 そこで描いたのがこれ。単なる線だけれど、人間が見ると「あ、鳥だといいたいんだな」って分かるよね?

 漠然としたイメージでざっくり落書きをして、「これをいい感じに仕上げて」「おまかせあれ!」って感じで作ってくれるのは分かった。すごい。

 ただし、現状では使いどころは難しいかもしれない。特に仕上がりのイメージを具体的に持っている人には「違う、そうじゃない」となるケースが多そうだ。

ポートレートスタジオ

 そして最後は「ポートレートスタジオ」。選ぶと自動的に顔を検出して、4つの“画風”からどんな感じに仕上げるか選ぶ。

 そして結果はこれだ。

 いろいろと考えちゃうよね。「コミック」といわれたときに想像する画風とちょっと違うよなとか、マンガというよりWebToon風だよなとか、「水彩画」も水彩画というよりも水彩風イラストレーションだよなとか……。

 こういうのって、各国の文化的側面も絡んでくるから、難しいよなと感じる。

 「顔がその人にどのくらい似ているか?」というのも、確かに似てるけれども顔の特徴が薄まってちょっと画一化されている気もする。

 画像の生成AIに関しては非常に興味深くてハイレベルだけど(AIスケッチなんか、あそこまでラフに描いても通じるのかって驚きがある)、実用的かというと「まだまだこれからかな」「今のところ、AIは翻訳やリアルタイム文字起こし系の方がすぐ活躍できそうだな」というところだ。

 でも、今後のスマホの差別化にはAIがかなり重要になるので、いち早くさまざまな方面からアプローチしてきているのはさすがといったところだろう。

(モデル:長谷川未紗)

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