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「Xiaomi 14 Ultra」と「AQUOS R9」のカメラを比較 ライカ監修カメラの実力はどれほど違うのか

ITmedia Mobile 2024年9月9日 6時5分

 日本では「ライカ」を冠するスマートフォンが複数発売される世界的に見ても異例の地域だ。今回は2024年5月に発売された「Xiaomi 14 Ultra」と、7月に発売された「AQUOS R9」を比較し、両者のカメラについて比較してみた。

●2つの「ライカ監修スマホ」のスペックをチェック

 まず、両者のスペックやカメラを中心にチェックしていこう。

 Xiaomi 14 Ultraは中国Xiaomiのフラグシップスマートフォンだ。本機種は広角カメラ、超広角カメラ、2つの望遠カメラを合わせた計4つのカメラを備え、全て5000万画素のものを採用する。レンズはライカの「ズミルックス」を冠する高品質なものを採用する。

 広角カメラには1型の大型イメージセンサーを採用し、スマートフォンでは珍しい可変絞り機構を備える。絞りをF1.9~4.0に可変させることで、自然なボケ表現の他、光芒の演出もできる。

 望遠カメラも3.2倍(35mm換算で75mm相当)と5倍(35mm換算で120mm相当)の2つを備え、前者はレンズがF2.0と明るく最短撮影距離が10センチと寄れる。いわゆるテレマクロの撮影が可能だ。

 この他に純正アクセサリーとして「Photography Kit」というカメラグリップが日本向けモデルに付属する。USB接続できるこのグリップは拡張バッテリーとシャッターボタン、ダイヤルキーを備え、カメラさながらの撮影体験が可能だ。

 カメラ以外のポイントはSnapdragon 8 Gen 3を採用し、512GBのストレージを備える。画面は6.8型の2K+解像度、ピーク輝度3000ニトと明るい。他にIP68等級の防水性能や90Wの急速充電機能を備えるなど、フラグシップにふさわしいスペックを持つ。Xiaomiオンラインストアでの価格は19万9900円(税込み、以下同)だ。

 AQUOS R9はシャープが5月に発表したスマートフォンの最新モデルだ。本機種は広角カメラ、超広角カメラの2つを備える。レンズはライカの「ヘクトール」を冠する高品質なものを採用する。

 広角カメラには1/1.55型のイメージセンサーを採用し、熱望された光学式手ブレ補正も備えた。AQUOS R8の後継にあたる存在なので、1型センサーの代わりに超広角カメラも備える。どちらも5030万画素のものを採用している。

 Snapdragon 7+ Gen 3を採用し、256GBのストレージを備えており、昨今のハイエンド機では珍しくなったmicroSDスロットも備えている。画面は6.5型のフルHD+解像度、ピーク輝度2000ニトだ。AQUOSらしい240Hzの「なめらかスクロール」にも対応する。

 これ以外にもIP68等級の防水性能に加え、MIL-STD810Hも取得するなど備えるなど、安心して使えるスマートフォンだ。ドコモとソフトバンクでの価格は11万円~12万円台となっている。

●ハードウェアの差は出るが、両者の雰囲気は意外と似ている

 ここからはXiaomi 14 UltraとAQUOS R9で撮影した写真を見比べていこう。両者ともオートで撮影しているが、Xiaomi 14 Ultraには多彩な撮影モードがあるため、今回は「Leica Authentic」の設定で撮影している。

 両社のスマートフォンは同じライカ監修のカメラであるが、Xiaomi 14 Ultraはやや色の濃いビビッドなチューニングだ。こうしてAQUOS R9と比較すると、より「映え」を意識させるものの、意外にも撮影した際の雰囲気は近いものを感じられる。

 こうして比較するとXiaomi 14 Ultraの方がややふんわりとしており、大型センサーのおかげか描写に余裕を感じさせる。一方でAQUOS R9は雰囲気こそエモいが、全体的に「カチッ」とした印象を持つ。どちらかといえば昨今のスマートフォンで多いチューニングだ。そのため、いい意味でスマホらしからぬ表現が可能なのはハードウェア的にも高性能なXiaomi 14 Ultraだ。

 また、Xiaomi 14 UltraでAQUOS R9のような色や質感で撮影したい場合は「Leica ナチュラルフィルター」を利用すると近い感覚で撮影できる。

 超広角カメラはどちらも5000万画素だが、AQUOSが換算13mmに対してXiaomiの方が換算12mmとより広角になる。基本性能の差もあるため、より広くきれいに収めたい場合はXiaomiの方が優位だ。

 花の写真では両者のハードウェアスペックの差が明確に現れる。「自然なボケ感」では1型センサーを採用するXiaomi 14 Ultraが優位だ。AQUOS R9の方がやや寄り気味だが、それでもXiaomi 14 Ultraよりも背景ボケは少ない。

 夕焼けや夜景のシーンではAQUOS R9が思った以上に健闘している。都市夜景のシーンではXiaomi 14 Ultraはオートフォーカスの測光がガラス面にピンク色に反射するのに対して、AQUOS R9ではこれが見られない。それでも、ここまできれいに撮影できれば満足する人も多いだろう。

 望遠やテレマクロといったシチュエーションは、望遠カメラを備えるXiaomi 14 Ultraが優れている。AQUOS R9では物理的に撮影が難しいシチュエーションなだけあって、ここに引かれる方は迷わずXiaomi 14 Ultraを検討した方がいいだろう。

 多彩な撮影モードを求めるならXiaomi 14 Ultraに軍配が上がる。Leica VibrantとLeica Authenticの2つのモードに加え、多種多様なフィルターを利用できる。可変絞りによる光芒の表現をはじめ、撮影表現をより広げられる。

●カメラ性能なら圧巻のXiaomi 普段使いとのバランスを取るならAQUOSか

 今回、Xiaomi 14 UltraとAQUOS R9の両者を使用してきたが、やはりカメラ性能のハードウェア的な部分から埋められない大きな差があった。一方、筆者としては、スマートフォンで「ライカを体験したい」だけなら、いきなりカメラ特化のXiaomi 14 Ultraを選ぶ必要はないと考えている。ここまで見てきた通り、ズーム性能や細かい表現では劣るものの、AQUOS R9もかなり健闘している。

 Xiaomi 14 Ultraの利点は卓越したカメラ性能はもちろん、フラグシップのスペックを備える「最上位」のスマートフォンだ。専用のPhotography Kitなどをはじめ、カメラ機能だけでなく「撮影体験」にも特化している。

 どちらか、例えばスマートフォンよりもスマホ機能の付いたカメラに近い感覚で、かつてパナソニックがLUMIX センチ1をカテゴライズした「コミュニケーションカメラ」の立ち位置が最も近いと考える。

 難点は、カメラ以外の使い勝手で普段使いでは不満に感じること。例えば電池持ちが競合機種と比較してやや悪い点、FeliCa(おサイフケータイ)に対応しない点といったスマホとしての使い勝手の悪さが目につく。実機の体験や購入できる販路も限られており、AQUOS R9に比べると入手性やケースなどのアクセサリーも乏しい。

 AQUOS R9の利点は「普段使い」にもきっちり対応できるところだ。おサイフケータイ(FeliCa)の対応はもちろん、microSDが使えるといったハードウェア的な利点を持つ。IP6X、IPX5/IPX8の防水・防塵だけでなく、MIL-STD 810-H(16項目)の取得をはじめとした耐久面も安心できる。

 ソフトウェア面でも「かんたんモード」をはじめとした利用者のニーズにこたえる機能を多く備えている。ドコモ、ソフトバンクでも取り扱いのあるため、購入後のサポート面でAQUOS R9を狙うのもアリだ。

 ここで価格を見ていこう。Xiaomi 14 Ultraはストレージ512GB、Photography Kit付属で価格は19万9900円。これに対しAQUOS R9は10万円前後、キャリアモデルも11~12万円前後の設定だ。

 本来AQUOS R9の比較はXiaomi 14 Ultraではなく、Xiaomi 14(日本未発売)やXiaomi 13T Pro(日本版はライカなし)が価格帯を考えると適切だ。今回は「日本で販売されているライカ監修のスマートフォン」としてこの2つを選定した。

 基本性能やカメラ性能を加味すれば、この価格差は納得できる。Xiaomi 14 Ultraのカメラ性能は、現在世に出ているスマートフォンの中でも5本の指に入る高いレベルにいる。基本性能、撮影時の操作性をはじめ「カメラスマホ」としてみた時はAQUOS R9を大きく引き離す。

  一方で「日本で使うスマートフォン」として見た際の満足感はシャープの方が好印象だ。FeliCa対応などをはじめとした日本向けの機能がかなり充実しており、単純にスマートフォンとして使いやすい。

 Xiaomi 14 Ultraを愛用している筆者も、本機はあくまで「カメラフォン」という2台目スマホのポジションで使っている。持ち出すうちの1台には入るが、普段は他のスマートフォンを利用することが多い。

 仮に「どちらか1台しか持てない」と言われたら、トータルのバランスのよさでAQUOS R9を選択する。2台持ちが許されるのなら迷わずXiaomi 14 Ultraを選ぶ。

 そんなライカのカメラを冠するこの2機種は予算はもちろん、スマートフォンにおいて重視するものがカメラなのか、普段使いのバランスなのかで大きく変わってくる。筆者としては、妥協のないカメラ性能を求めるのならXiaomi 14 Ultra、カメラ性能と普段使いの勝手の良さを両立させたスマートフォンならAQUOS R9を選択するとよさそうだ。

●著者プロフィール

佐藤颯

 生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。

 スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。

・X:https://twitter.com/Hayaponlog

・Webサイト:https://www.hayaponlog.site/

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