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新生FCNTの「arrows We2 Plus」はカメラも親切 分かりやすいインタフェースでサクサク撮れる

ITmedia Mobile 2024年10月20日 12時5分

 久しぶりにFCNTのarrowsスマートフォンに触ったのだけど、これぞ日本のスマホって感じがしていいですな。「arrows We2 Plus」です。

 特に「お子様・シニア世代のスマホデビューにもぴったり」というくらいで、ハイテクや最新技術を前面に出したハイエンドな製品とは異なったテイストがいい。カメラ機能もそう。撮影モードを変えるとちゃんと撮り方を細かく教えてくれる。

 設定で「AIシーン認識説明文表示」をオンにするといろんなシーンで説明文が出てくる。

 カメラを使い慣れている人には不要だろうけど、arrowsを必要としているのはそうじゃない人で、カメラアプリに限らず全体にただよう日本的な親切さがこの端末のキモだよなと思ったわけである。

●すっきりした鮮やかさで好印象の写り

 アウトカメラは、ミドルクラスのスタンダードなものだ。広角カメラは約5000万画素の1/2.7型センサーで、画角は公表されてないようだが、35mm判換算で28mm相当くらい。レンズのF値はF1.8だ。

 例によって撮影時は4画素を1つにまとめるので、出力は約1250万画素相当になる。

 超広角カメラは1/4.0型で約800万画素となる。センサーサイズが小さいこともあり、広角カメラに比べると画素数はぐっと落としてある。画角としては14mm相当くらいか。F値はF2.2だ。

 カメラアプリを見ると、「マクロ」「0.5x」「1x」「2x」と4つの焦点距離が用意されている。ひとまず2xでも撮ってみた。

 画質についていえば、全体的にディテールが甘いのだけど、カメラ性能命のハイエンド機ならともかく、「スマホで撮ってスマホで見るカメラ」としては気にならないかと思う。スッキリした色と階調は悪くない。

 まあ楽しく撮りましょうってことで、ひまわり。

●ネコや料理など、AIのシーン検出を試す

 次はネコ。「動物」じゃなくて「犬猫」って言っちゃうところが、分かりやすくていい。

 シャッタースピードを速くするといっても、室内のように明るくない場所だと限界はあるが、犬猫と認識したらシャッタースピードを上げるってのは、他社のスマホもやってくれるとうれしい(今のところ、やってくれるスマホとやってくれないスマホがある)。

 ちなみに、後ろ姿でも犬猫と認識してくれました。

 AIがシーンを認識して解説してくれるシリーズ。次は料理を撮ってみよう。

 全体に室内の照明に結構影響されちゃうのが残念。室内でのAWB(オートホワイトバランス)の合わせ方もちょっと不安定だ。

 なお、通常のカメラモードでもメニューを開くと、ホワイトバランスの簡単な変更や露出補正はできる。

 そして夜。暗い場所へ行くと、いきなり選択肢が4つ出てくる。「夜景」に加えて、「花火」や「イルミネーション」。さらにもっと暗い時用の「SuperNightShot」だ。

 まず、通常の夜景モードで撮る。

 夜景モードでもちょっと時間がかかるが、SuperNightShotにするともっと撮影に時間をかける。手持ちの時は息を止めて動かないように。

 どう違うかは微妙。100%表示にすればSuperNightShotの方がノイズが少なくてキレイなのだけど、そこまでの差はないかな。

 むしろ、ガイドに表示されるように、夜景どころではない超暗い場所用か。

 基本的に高感度にはあまり強くないので、けっこうはやめに「夜景」モードで撮るように言ってくる。

●人物撮影は「背景ぼかし」と「ビューティー」をうまく使いたい

 インカメラのセンサーは、約1600万画素だ。

 もちろん、人物を撮るときにもAIによるガイドが出る。「顔を明るくし、肌の色がきれいに見えるように撮影します」だそう。

 こういうひとことって大事だと思う。

 面白いのは、人物を認識すると右下にビューティー効果のボタン、左下に背景ぼかしボタンが現れること。

 背景ぼかしボタンをタップすると「ポートレート」モードに切り替わる。ポートレートモードにしないにしても、その場で切り替えるスイッチが出るってのは親切だと思う。

 ビューティー効果のボタンも、人物を認識したときだけ現れる。内容は「美肌」「肌の明るさ」「目の大きさ」「輪郭補正」の4パターンだ。

 ただ、背景ぼかし時に2xを使えないのはちょっと残念だったりする。

 人物以外の被写体で背景ぼかしをかけたいときは、「モード」ボタンから「ポートレート」を選んでピントを合わせたいところをタップすればOk。

●ユニークな自撮りの「目線誘導」

 ユニークなのは自撮り時の「目線誘導」。セルフィーが当たり前の世代ならいいけれども、慣れてない世代だとどうしても撮るときに「画面」を見ちゃってカメラ目線をはずしがちだ。わざとやっているならいいけど、そうじゃないならちょっと恥ずかしい。

 で、arrowsにはこんなギミックがある。「インカメラ目線誘導」だ。

 撮影の直前、レンズの近くにアニメーションを表示してカメラ目線になるよう誘導してくれるのだ。

 これは面白い。アニメーションパターンは、4種類用意されている。

●超広角カメラを使った「マクロモード」を試す

 マクロモードにも触れておこう。

 マクロモードにすると、自動的に超広角カメラに切り替わり、広角カメラ相当の画角でクロップ(切り抜き)した写真になる。

●「Photoshop Expressモード」で凝った仕上がりを

 最後は、最近のarrowsではおなじみの「Photoshop Expressモード」を試そう。その名の通り、Adobeの「Adobe Photoshop Express」アプリとコラボした機能だ。

 これで撮ると、標準の写真とAdobe Photoshop Expressが自動処理した写真の2枚を撮影し、後者をその場でさらに編集することもできる。

 カメラアプリから「Ps」ボタンをタップしてPhotoshop Expressアプリを立ち上げて、後から編集することも可能だ。

 そこではより凝った編集ができ、人物の表情を変えたり不要なものを消したり、生成AIも使えるなど実に多彩だ。

 撮った写真をあれこれ編集して作品を作ったり、素材にしたりするなど、画像処理を楽しみたい人にとって、このアプリが標準で付いていると、試しに使ってみることでデジタル画像の楽しさにハマるかもしれない。

●「どういう人に使ってほしいか」が、はっきりしたスマホですな

 arrows We2 Plusは、主に中~高年齢層のITに慣れてない人たちを想定して「親しみやすく親切なスマホ」として開発されたわけで、カメラもその辺を考えて親切に作ってある。この点は好印象だ。

 使っていて気になったこととして、「撮影時や撮影後のレスポンスが遅い」ことと、「室内でのAWBが少し甘い」ことくらい。でも、そういうことが気になる人はターゲットじゃないよな……と思う。

 それより、カメラアプリの「ハイテクっぽさを感じない、親切なインタフェース」がいい。写真モードで人物を検出したらそこからワンタップでポートレートモードに切り替えられるとか、地味だけど大事。

 ハイテク系が不得手な高め年齢層のユーザーを支えるべきなのは、その辺の事情が分かっている日本発のブランドだよね。というわけで、そういう点では実に注目すべきスマホだと思っております。

モデル:長谷川実沙

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