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1380円の激安ワイヤレスイヤフォン「Redmi Buds 6 Play」を試す ダイソー製品と比べても“圧倒的”だった

ITmedia Mobile 2024年10月4日 11時51分

 あまりの安さに注目を集めるワイヤレスイヤフォンがXiaomiの「Redmi Buds 6 Play」だ。税込み1380円という破格の安さでネットユーザーを中心に注目を集めている。今回はこの製品に対して価格の近い「ライバル製品」と評価される、ダイソーの税込み1100円ワイヤレスイヤフォンと比較してみて、どのような差があるのかチェックした。

●廉価な1000円クラスのイヤフォンの性能を比較

まずは、両者の性能をおさらいしよう。両者の性能は以下にまとめる。

 Redmi Buds 6 Playは10mm径のダイナミックドライバーを採用。音はXiaomi Acoustic Labsでチューニングされたものとしている。これによって上位機種で採用したチューニングを可能な限り廉価モデルにも反映させており、安い機種でも「音がいい」という評価につなげている。

 Xiaomi自体も有線イヤフォンの「Pistonシリーズ」を展開しており、ワイヤレスイヤフォンは日本でも複数機種を展開している。イヤフォンのサウンドチューニングは10年以上のノウハウがあるのだ。

 一方でダイソーの1100円イヤフォンは「DG036-02」を選択した。こちらは8mm径のダイナミックドライバーを採用。サウンドについては「日本人技術者がチューニングした日本人向けの音質」としている。この手の製品はコストを抑えるため、中国などで販売されている廉価な機種をそのまま持ってくることも多いが、今回の製品は日本向けにローカライズが図られている。

 チューニングの意図も「高音域、演奏、ボーカルの解像度を高め、音のつややかさを強調しながらバランスを取りつつ中低音域の力強さと切れのいいリズム感を演出しました」とある。これに加えて「ボーカルの伸びを意識し、高音の余韻に浸れるように調整いたしました」と続いている。

 正直なところ、ダイソーのイヤフォンでここまでチューニングの意図が記載されているものはなく、ただ安いだけの商品ではないことが伝わってくる。

 両者共にコーデックはSBCのみ対応だ。こちらは音声の基本コーデックなので、スマートフォンに限らず、多くの機種で利用できる。ある意味で接続機器を選ばずに使用できるのだ。

●実際に聴いてみる 音はRedmi Buds 6 Playがよさそう

 さて、両者の音を聞いてみよう。まずはダイソーのイヤフォンからチェックしたところ、アピールしている文言通り高域に抜けがありつつ、ボーカルの解像感もしっかり備えるサウンドだ。廉価な機種では抜けてしまう低域も量感がしっかりとある。

 ひと昔前のダイソーイヤフォンに多い「聴けるだけ」からしっかり進化している。いい意味でダイソーの製品とは思えないくらい「ちゃんとチューニングされたサウンド」だった。特段こだわりのない方なら「これで十分」と思えるくらいだ。

 続いてXiaomiのRedmi Buds 6 Playを聴いてみる。高域の抜けのよさ、ボーカルの解像感、低音の量や質感をはじめ、あらゆる部分がダイソーのイヤフォンよりもワンランク上にアップデートされた印象だ。正直この価格のイヤフォンとは思えないサウンドで、3000円前後の機種とも対等レベルなのかと思うくらいだ。

 ワイヤレスイヤフォンの場合、信号を処理するプロセッサと音響ユニットのアナログ部をあわせ持つことから、耳に収まる単一のオーディオシステムと評価することができる。ドライバーユニットや音響空間といったハードウェアはもちろん、ソフトウェアによる音響チューニング(DSP処理)も聴感的な「音のよさ」に占めてくる割合も大きいのだ。

 今回のRedmi Buds 6 PlayもXiaomi Acoustic Labで研究されたサウンドチューニングだ。このあたりのソフトウェアチューニングは、スマホメーカーとしての知見がふんだんに生かされていると感じた。イヤフォンの価格差は280円だが、筆者としては金額の数字以上にサウンドクオリティーには差があるように感じた。

 音切れや遅延については両者同等クラスと感じた。コーデックもSBCのみで昨今の高音質伝送を行う高級機と比較すると、伝送するデータ量が少ないので音切れは少なかった。

 Redmi Buds 6 Playの優位性として、サイズの異なるイヤーピースが3サイズ付属していることを挙げたい。これによって幅広い利用者の耳に応えることができる。ダイソーのイヤフォンでは1サイズしか付属していないため、うまくフィッティングできない場合は別途購入する必要がある。

 ワイヤレスイヤフォンの場合、ケースに収容する関係で通常のイヤーピースよりも軸の短いものが必要な場合がある。その場合は一般的な製品が流用できず、ワイヤレスイヤフォン向けのものを選ぶ必要がある。そのようなものは高価なこともあり、ダイソーの持つ「コストパフォーマンスの高さ」を相殺してしまう可能性がある。

●機能も充実のXiaomi、低遅延モードはダイソーも負けていない

 音以外のイヤフォンに備わる機能面でチェックすると、やはりXiaomi Redmi Buds 6 Playが圧倒的な充実度を誇る。特にGoogle Fast Pair、専用アプリへの対応は大きな差と評価したい。

 Google Fast Pairは、Androidスマートフォンにて、Googleアカウントと連携して簡単にイヤフォンを接続できる機能だ。面倒な接続設定などがなく、ケースのふたを開けたら自動で接続されるのだ。

 通話ではAIノイズリダイレクション機能も備える。これは通話時にマイクから入るノイズや風切り音を軽減する機能で、よりクリアな通話が可能だ。実際に使ってみたところ、効果は絶大で、ダイソーのイヤフォンよりもクリアに相手へ音声を届けることができた。

 イヤフォンの設定変更ができる専用アプリを備えるのも大きな利点だ。Redmi Buds 6 Playは「Xiaomi EarBuds」というアプリを使用する。Android向けとiOS向けの両方が用意されており、イコライザの変更、操作方法の変更、音を流してイヤフォンを探すことができる。1380円のイヤフォンでここまで機能を備えるものはなく、衝撃を受けた。

 この他、10分の充電で120分利用できる急速充電やIPX4の防滴もRedmi Buds 6 Playの利点だ。1500円以下の廉価な機種とは思えないほど充実している。

 ダイソーのイヤフォン DG036-02は残念ながら上記のような機能は備えない。その一方で、ゲームや動画視聴に向けた低遅延モードを備える。遅延は公称値で60msとしており、動画の視聴では違和感を少なくすることができる。

 Redmi Buds 6 Playも低遅延モードを備えているが、自社製品向けの対応だ。加えて日本向けにはXiaomi 14 UltraとPOCO F6 Proの2機種しか対応していない。この機能に関しては、どんな機種でも低遅延モードが利用できるダイソーのイヤフォンの方が優位だ。

 連続再生時間はDG036-02が7時間、Redmi Buds 6 Playが7.5時間だ。ケース併用時は前者が18時間、後者が36時間とRedmi Buds 6 Playの方がより長時間のバッテリー持ちを誇る。イヤフォン単独で利用した際は特段大きな差はなかったが、ケースを併用すると再生時間は倍となるので、ハッキリと差が現れる。

 本体カラーはRedmi Buds 6 Playがブラックとホワイトの2色展開。ダイソーのDG036-02はパープル、イエロー、ピンクの3色展開。過去には同じ型で東京ガールズコレクションとコラボしたツートンカラーが展開されるなど、廉価ながらカラーバリエーションが豊富だ。

 ケースのサイズはDG036-02の方がコンパクトだ。ストラップホールを備えるため、キーホルダーなどを付けたり、イヤフォンそのものをキーホルダーとしたりでき、「ファッショナブルなアイテム」としても利用できる。

●まとめ:Redmi Buds 6 Playの驚異的なコストパフォーマンスに驚く

 今回、廉価なワイヤレスイヤフォンを比較してみたところ、XiaomiのRedmi Buds 6 Playのコストパフォーマンスの高さが圧倒的だと感じた。ダイソーのイヤフォンも一昔前に比べたらかなり進化したように感じるが、サウンド面、アプリ連携性、急速充電機能では劣る。

 むしろ、Redmi Buds 6 Playがこれだけの機能を詰め込んで日本向けに税込1380円で販売できていることが驚異的だ。販路がネット通販やXiaomiの実店舗に限られる点は惜しいが、Xiaomiらしい高いコスパは廉価な商品でも健在だと感じた。

 ダイソーのイヤフォンが優れているのは、汎用(はんよう)性の高い低遅延モードと、全国のダイソーの実店舗にて1100円で買える入手性の高さだ。低遅延モードは動画の視聴などでは効果がハッキリと分かる機能だ。

 また、入手性の高さは「今すぐに欲しい」「実物を確認したい」という利用者の声に応えられる。全国のダイソー実店舗という購入できる店舗数の多さも魅力の1つだ。

 高いコスパか、どこでも買える入手性の高さか。どちらを選んでも価格相応のワイヤレスイヤフォンとして満足できると思うが、Redmi Buds 6 Playの方がワンランク上の体験ができると感じた。

●著者プロフィール

佐藤颯

 生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。

 スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。

・X:https://twitter.com/Hayaponlog

・Webサイト:https://www.hayaponlog.site/

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