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ネコをキレイに撮れるスマホは? “猫島”で「Xperia 1 VI」と「Xiaomi 14 Ultra」のカメラを検証

ITmedia Mobile 2024年10月14日 10時9分

 さまざまある被写体の中で、動物というのは難易度の高いものです。

 すばしっこく動き、下手に近づくと逃げてしまう動物をきれいに撮るには、どんな距離でも撮影できるズーム性能と最短撮影距離、被写体を捉え続けるオートフォーカス、被写体をぶらさない明るいレンズとソフトウェア処理、決定的なシーンを逃さない連写など、さまざまなカメラスペックが求められます。そのため、今まではスマホで動物を撮るのは難しいといわれてきました。

 とはいえ、最新スマホの進化も著しく、筆者もスマホ1台でお出かけすることが増えてきました。今回はスマホで動物写真はどこまで撮れるのかを、ネコたちで検証します。

 今回撮影に利用したスマホは「Xiaomi 14 Ultra」と「Xperia 1 VI」の2台。Xiaomi 14 Ultraは現在日本で入手しやすいスマホで最強クラスのカメラ機能を持つ機種として、そしてXperia 1 VIはソニーのミラーレス一眼の技術が詰め込まれ動体撮影に強いスマホとして選びました。

 舞台は岡山県笠岡市、瀬戸内海に位置する真鍋島とその隣にある六島。特に真鍋島は日本にいくつかあるネコの島として知られる小さな離島です。島を歩き、さまざまなシーンでネコを撮ってきましたのでご紹介していきます。

●画質はXiaomi 14 Ultraが圧倒的、暗所・近接などどんなシーンでも対応可能

 Xiaomi 14 Ultraは画質・使いやすさ・ヒット率どれも高水準でした。

 今回の旅でのベストショットがこちら。子猫たちが集まってわれわれに興味を示しているシーンです。

 好奇心旺盛で落ち着きがない子たちでなかなか思い通り集まってくれませんでしたが、そんな被写体でもPhotography Kitのシャッターボタンを活用することで、すぐにカメラを起動し、タイミングよく撮ることができました。

 野良猫らしい乱れた毛並みですが、ヒゲの1本1本をきれいに捉えられています。また、センサーサイズが大きくボケ量が大きいため、ポートレートモードでなくとも背景ボケが楽しめるのもポイント。普通のポートレートモードならソフトウェア処理で消えてしまうようなヒゲが残っているところが好きなところです。

 空の青色が反射している大きな瞳の透明感もうまく捉えられており、子猫の愛らしさが伝わった1枚になったと思います。

 ほとんど同じシーンでXperiaと比較すると画質の差は一目瞭然です。Xiaomiは3.2倍望遠、Xperiaは3.1倍望遠を利用しましたが、望遠を多用するネコ撮影ではメインカメラ以外も妥協しないXiaomiの画質が非常に強力でした。

 1型センサーを採用したメインカメラを使えばより安定した画質になります。

 例えばこの写真はほぼ日が沈みかけている状態でしたが、それでも顔の毛1本1本がしっかり描写されています。ノイズ感もなく、(特に床が)なだらかなボケ感があり美しいです。暗い環境の中同じ目線で撮ろうと無理な体勢を取っていましたが、それでもブレることなく明るく撮影できました。

 Xiaomi 14 Ultraは望遠カメラの最短撮影距離が短く、いわゆるテレマクロが使えるのもポイントです。

 動きが多いネコだとピントがなかなか合いにくく苦戦しますが、動きが少ないネコであれば毛並みだけでなく網膜までバッチリ映すことができます。

 オートフォーカス性能も悪くありません。こちらに寄ってくるネコを撮ろうとするとピントを合わせるのに苦労しますが、Photography Kitのシャッターボタン半押しでピントを継続的に合わせてくれます。センサーサイズが大きい分ボケやすいものの、ピント打率は9割以上あり、シャッターボタンがない普通のスマホと比べればはるかに安心して撮影できました。

●Xperia 1 VIは動物瞳AFと連写が強力

 対するXperiaは、人間だけでなく動物にも対応した瞳AFが非常に心強い味方でした。 

 何となくゾーンで合わせるXiaomi 14 Ultraに対して、Xperiaは確実に瞳にピントを合わせてくれます。

 この精度が非常に高く、超広角から望遠まで全てのカメラで、暗所でもしっかり対応してくれるため、ピントの心配はまったくなく信頼して撮影に臨めました。

 また、Xperiaは秒間30コマの連写も特徴的。シャッターボタンを長押しすることで連写できるように設定しておけば、常にシャッターボタン半押しで瞳にAFを合わせ続け、自分が狙ったタイミングで押し込むだけで連写が可能です。これは、他のスマホだと専用メニューに潜る必要がある4Kフォトを、それ以上の解像度でいつでも撮れる状態にできるということでもあります。

 例えば毛づくろいをしているシーンで連写すれば一番いい表情を撮影できます。この機能はネコに限らず、子供やスポーツなど動きものを撮るのであれば重宝するでしょう。

 画質はXiaomi 14 Ultraに劣るものの、メインカメラは負けていません。ネコの目から見ても分かるように、日が沈みかけている状態なおかつ日陰という暗いシーンですが、ピクセルビニングが効いているのか、顔の毛がしっかり描写されています。

 また、Xperia 1 VIもXiaomi 14 Ultra同様、ある程度のテレマクロに対応しています。こちらは日が昇っているときに撮影したものですが、十分な光量があれば望遠カメラでも解像感のある写真を撮ることができます。

 もちろんこのシーンでも動物瞳AFは動いているので、ピントの心配はありません。普通のスマホや一眼カメラでさえも一番手前の鼻にピントが合いがちなシーンですが、Xperiaの場合はただシャッターを押すだけで確実に目にピントを合わせて撮影できます。

 難しいと感じたのが望遠カメラをつかった撮影全般です。

 オートモードだとXiaomiが1/300秒で撮影されるようなシーンをXperiaの場合は1/125秒で撮影しているため、あとから見返すとブレてしまっている写真がかなりありました。Xiaomiの場合はブレてる写真はほとんどなかったため、このあたりはさらなるチューニングが欲しいところです。

 ボケが美しくないのも要注意。左上の船に注目してほしいのですが、ペリスコープ特有の特徴的な四角いボケとなっています。こちらはXiaomiの5倍望遠であれば同様の問題は起きますので、一眼にはないスマホならではの問題ですね。

 また、単純に望遠カメラの性能がイマイチです。センサーサイズが小さいためか、かなり明るいシーンでも黒1色のネコを撮ろうとすると毛並みがよく写りません。先述の通りブレも起きやすく、せっかくAFと連写が強いのに、それを活用したい望遠カメラの性能が悪いようでは、性能不足だといわざるを得ません。フィーリングがいいだけにそこは残念でした。

●シャッターボタンで決定的なシーンを逃さず、自然な撮影が可能に

 XiaomiとXperiaに共通していえるのが、シャッターボタンの存在が偉大なことです。

 ネコ撮影はオートフォーカスが肝心で、一般的なスマホではよく動くネコにピントが合わせ続けられないことがありますが、2機種どちらもシャッターボタン半押しでどこにピントが合っているのかが見られる形で追従(いわゆるコンティニュアスAF)してくれます。

 これがあるのとないのとでは大違い。とにかく動き回る被写体に対してどこにピントを合わせているかが見られると安心して撮影できます。特に最近のスマホはセンサーサイズが大きくなってボケやすくなっているので、打率を上げるという意味でも動物・子供・スポーツなど動きものを撮るときにシャッターボタンはあるべきです。

 また、自由に構図が撮れるのもいいところです。ローアングルハイアングルどちらでも安定してシャッターを切れるので、パシャパシャ小気味よくスナップ的な撮影が可能です。いいフィーリングでテンポよく撮影できるのは実に心地よいです。

 また、シャッターボタン1つで起動→撮影を1秒以内にできるため、散歩中にふとしたシャッターチャンスを逃しません。この点はどちらも私がメインスマホとして使っているiPhone 15 Proよりも優れています。

 余談ですが、iPhoneシリーズは最新の16世代からシャッターボタンがついたものの、指の位置は決していいとはいえず、半押しでAFエリアが表示されることもありません。個人的にはシャッターボタンに関しては今回利用した2機種の方が確実に洗練されていると思います。

 加えて、両機種ともシャッター音が静かなのもいいところでした。

 実は今回iPhone 15 Proも持っていたのですが、シャッター音が大きすぎてネコがびっくりしてしまうことが何度かありました。一眼カメラでもカメラの大きさと音にびっくりすることがあるため、無音のXiaomi、極小音のXperiaはネコ撮影では自然な表情が引き出せて重宝します。先述のシャッターボタンがないこともあり、iPhoneでは撮影しようとは思えず、ほとんど撮ることはありませんでした。

●スマホで映えるネコ写真は撮れる!

 一般にスマホで動き者は難しいといわれますが、SNSで映えるかわいらしいネコの写真を撮ることは十分可能だと感じました。

 ネコの写真を撮るのであれば最低限望遠カメラがあり、できればチャンスを逃さないようにシャッターボタンがあるスマホなら快適に撮影できるでしょう。

 また、撮影のコツとしては、

・人に慣れている子を見つける

・しゃがむ、寝そべるなど、できるだけ同じ目線で撮影する

・まずは望遠カメラで遠くから刺激しないように撮影し、仲よくなれそうなら近くで広角カメラを使ったり、マクロ撮影にも挑戦したりする

・毛繕いなどの動きに備えていつでもシャッターを切れる構え方(シャッターボタンや音量ボタンに指をかける等)をする

・ねこじゃらしなど道草を使って遊んであげる

 といったポイントを押さえられると、いろいろな角度でネコと戯れながら写真を撮ることができます。筆者は(ネコアレルギーが若干悪化した気がしますが)かわいい写真がたくさん撮れたので、みなさんもぜひ試してみてください。

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