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TORQUE G06の激レア新色「オリーブグリーン」の実機を見てきた 発売せずに出した苦肉の策とは?

ITmedia Mobile 2024年10月16日 6時5分

 京セラは10月12日、「京セラみなとみらいリサーチセンター」(横浜・みなとみらい)にて、TORQUEユーザーを対象としたイベントを開催した。会場では、日頃は聞けないTORQUE G06開発の裏話を聞いたり、TORQUE G06の外装を10周年記念カラーに組み換えたり、記念ロゴを用いたオリジナルTシャツを作成したりできた。この記事では、10周年特別カラーの「オリーブグリーン」を中心に、イベントの内容を紹介する。

 TORQUE G06は、IP68の防水・防塵(じん)だけでなく、高さ約2mからローレット加工の金属板に落下させる試験をクリアし、荒道の振動にも耐えられる。さらに、43度以下の温水や泡ハンドソープで本体の汚れなどを洗い流せる他、耐氷結、耐海水、耐荷重、耐薬品もアピールされている。TORQUE G06がクリアした試験項目数は、TORQUE史上最多の29項目となっている。

 10周年特別カラーのオリーブグリーンは、TORQUE G06をベースにミリタリー柄のベース色となるような深みのあるグリーンを塗装したもの。ファンサイト「TORQUE STYLE」での10周年記念カラー投票の企画で、新色として1位に輝いたカラーだ。なお、現時点で発売の予定はない。

 TORQUE STYLEの告知画像では、背面カバーだけを交換する手法を想起したが、実物を見ると、側面の一部までオリーブグリーンに染まり、より一体感のある見た目だった。同じく京セラが製造を担当した4G LTEケータイ「G'zOne TYPE-XX」のリキッドグリーンと比べると、オリーブグリーンはより落ち着いたトーンで、光の当たり具合や光量によっては黒に近い色ともいえる。

 オリーブグリーンは背面と側面の一部が同じ色で統一されている。黄色い数字の「10th」はTORQUEシリーズ10周年を意味するもので、ベースとなる濃い緑色のアクセントとなっている。一方、衝撃からボディーを保護するためのバンパーやカメラバーは黒色だ。背面カバーを外すためのネジがあるパーツもオリーブグリーンではなく、黒色となっている。

 パーツの組み替えを体験できるブースでは、手持ちのTORQUE G06の外装を交換でき、それを持ち帰ることができた。オリーブグリーンは、「ご愛用感謝キャンペーン」(10月9日~12月1日)の中で、たった3人に抽選で当たるという極めて限定的な商品となった。そこで、これとは別にイベント参加者用にオリーブグリーンのパーツを用意し、TORQUE G06ユーザーが限定色と同様のオリーブグリーンに変更できる機会を設けた。

 交換できるのは、TORQUE G06の電源ボタンなど一部のパーツを除く側面と、バッテリーを保護するための背面カバーのみ。交換はイベント参加者ではなく、専門知識を持つスタッフが行った。スタッフは、ネジで側面のパーツを取り外し、オリーブグリーンのパーツに付け替え、背面カバーも交換した。背面カバーはユーザー自身でも交換できるが、側面のパーツはドライバーやギターピックのような道具がなければ交換できない。

●自ら部材を購入して塗装する人も カラーに対する熱視線に京セラとKDDIが出した苦肉の策

 そもそもオリーブグリーンの誕生に至ったのには、TORQUEシリーズに根強いファンがいるだけでなく、ユーザーからの強い熱視線や要望があるようだ。京セラ 通信機器事業本部 通信技術部 プロダクト戦略部 責任者 伊藤恭弘氏は「カラーをユーザー自身で変えるという発想は、ユーザーによる発信が多いと思う。中には自ら部材を購入して塗装する人もいる」と語る。

 KDDIで、2005年から最新のTORQUE G06に至るまで、KDDIとして販売してきたタフネスモデルに関わっている、パーソナル企画統括本部 プロダクト企画部の近藤隆行氏は「このプロダクト(TORQUEシリーズ)を趣味嗜好(しこう)で使う人もいれば、仕事で使われる人もいる。性能や価格が重視される一方で、カラーの要望もあるため、今回は、外装交換だけでなく、シールでカスタマイズできるようにした。皆さんからのご要望に少しずつお応えできるよう、手探りでイベントの内容を企画した」とイベントの企画意図を述べた。

 こうしたファンの熱量の高さから、京セラは以前、「WebページでTORQUE G06のサイズを公開し、それをもとに型取りをして、シールを貼り付けられるようにするトライアルも行った」(伊藤氏)ことがあるという。

 京セラが、TORQUE STYLEでの10周年記念カラー投票で、オリーブグリーンだけでなく、イエローやブルー、近年では類をあまり見ないベージュも用意した。

・A色:イエロー……20%

・B色:ブルー……18%

・C色:ホワイト……8%

・D色:ベージュ……8%

・E色:オリーブグリーン……37%

・F色:グレー……9%

 会場の隅に置かれたクリアケースの中には、実物には至らないものの、モックアップとして作られたレアカラーが展示されていた。これらは、TORQUE STYLEでの10周年記念カラー投票企画の候補色。「TORQUEシリーズの過去モデルに近いカラーはイエロー、ホワイト、ブルーで、最近のトレンドカラーであるアースやミリタリーの系統として用意したのがベージュ、オリーブグリーン、グレー」(伊藤氏)という。

 これらは発売には至らないのだろうか? ズバリな質問をぶつけたところ、伊藤氏は「新色の台数をあまり作れないと、販売価格が高くなってしまう」とした上で、「京セラとして限定的に作れる数を、イベントで展開していくのが実情」だと話した。KDDIの近藤氏も、「提供方法を変えていくことを考えなければ、ここから先は難しい。行き詰まっているところにまできているのかもしれない」と続けた。

 とはいえ、このような事情がある中で、京セラが「TORQUEシリーズで重視する一体感」(伊藤氏)を壊さないようにと、考え抜いた苦肉の策が「外装交換」だったようだ。京セラとKDDIは3月16日のファンイベントで、背面カバー「スプリット」を発表し、auオンラインショップにて5500円(税込み)で販売している。ベースカラーはレッドだが、「風を切るスピード感や、泥水を弾き飛ばす打撃を表現した柄」となっている。

 タフさだけでなく色やカバーなどのアクセサリーに至るまで、京セラとKDDIだけでなくユーザーによる強いこだわりが伝わってくるTORQUEシリーズ。他のモデルにはない熱量の高さがうかがえるだけに、新色の製品化には至りづらい現状には切なさがある。TORQUE G07(仮)が出るかどうかも定かではないが、ユーザーの声が反映されたカラーが採用され、実際に店頭に並ぶ日を楽しみに待ちたい。

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