iPhone 16シリーズ4機種には、本体の側面に「カメラコントロール」というボタンが新設された。文字通り、これ1つでカメラの機能をコントロールできるボタンとなる。ただ、カメラ関連のボタンとしてはソニーの「Xperia」シリーズが先行搭載しているだけに、使い勝手がどう違うのか気になるところ。そこで、「iPhone 16 Pro Max」「Xperia 1 VI」の最新2機種で、カメラボタンの使い勝手を比較した。
まずは両モデルのカメラボタンで何ができるのかを説明する。iPhone 16シリーズのカメラコントロールは、感圧センサーやハプティックフィードバックを活用し、まるでボタンを押し込むかのような感触を再現しており、カメラを起動したり、ズームしたり、シャッターを切ったり……と、さまざまなことができる。
Xperia 1 VIのカメラボタンは半押しでフォーカスを合わせて、長押し(より強く押し込む)するとシャッターを切れる。物理ボタンのため、iPhone 16シリーズのカメラコントロールの感圧センサーはない。
●iPhoneのカメラコントロール、Xperiaのシャッターキー、それぞれでできることは?
さて、実際の使い勝手はどうだろうか? ボタン1つでできることが多いのは、iPhoneシリーズのカメラコントロールだ。半押しするとディスプレイのボタンに最も近い部分に何をコントロールしているのかが表示される。デフォルトではズームのコントロールを半押しで決定でき、さらに、左右にスワイプしてズームの倍率を切り替えられる。ズームのコントロールではなく、他のコントロールを行う場合は、ダブルクリックすれば切り替わる。
ズームではなく露出、被写界深度、スタイルなどをコントロールしたい場合は、ダブルクリックした後、左右にスワイプしてコントロールしたい機能を切り替え、1回軽く押すと決定できる。新しくなった「フォトグラフスタイルの効果」を切り替えるのにも、このカメラコントロールが役立つ。
これらは横位置で持ったときに便利だと感じるボタンだが、縦位置で持ったときには適していない。右手で握ると親指、左手で握ると中指がカメラコントロールに位置するのだが、ボディーを握るのに精いっぱいでカメラコントロールを利用するための力を入れづらい。もちろん、これ自体は問題ない。
●Xperia 1 VIのシャッターキーはカメラコントロールより押しやすい
ただ、カメラコントロールはとても使いやすいか? といわれると、実はそうでもない。筆者の場合は横位置だと人差し指がカメラコントロールに触れるが、半押しで何ができるのかを忘れてしまいそうになるし、両手でボディーを支えながらダブルクリックをしづらい。
Xperia 1 VIのシャッターキーも縦位置よりも横位置の方が使いやすい、と感じる。できることはiPhone 16シリーズのカメラコントロールより少ないが、それでも半押しでフォーカスを合わせられ、より強く押し込めばシャッターを切れるため、カメラをコントロールするボタンとしてはこれでも十分だと感じる。
Xperia 1 VIのシャッターキーで必要十分だと感じるということは、裏を返せばiPhone 16シリーズのカメラコントロールでできることは多く、使いこなせないと宝の持ち腐れになってしまう。シャッターを切る以外の操作はこれまでディスプレイで行っていたせいか、ディスプレイを操作して呼び出した方が早いと感じる。
なお、カメラコントロールは2024年10月の時点では半押しでフォーカスを合わせることはできない。フラットなカメラコントロールに比べて、Xperia 1 VIは盛り上がっているシャッターキーで、フォーカスを合わせてその流れでさらに押し込み、シャッターを切りやすいのは、Xperia 1 VIだとより実感できた。
カメラ起動の仕様についても気になった。Xperia 1 VIはシャッターキーの長押しでカメラアプリが起動する仕様なのに対し、iPhone 16 Pro Maxのカメラコントロールはデフォルトだと1度押せばカメラが起動する。ただ、ふとした拍子に意図せずカメラが起動してしまうため、「設定」→「カメラ」→「カメラコントロール」の順に進み、「カメラを起動」の項目を「シングルクリック」から「ダブルクリック」に変更したい。
余談だが、カメラコントロールを1度クリックしたときに呼び出せるアプリを、カメラアプリから「Instagram」「コードスキャナー」「拡大鏡」「なし」に変更できるため、いわゆるショートカットのカスタマイズ性が高いといえる。
iPhone 16 Pro MaxもXperia 1 VIもデジタルカメラのように扱える面があり、特にiPhone 16 シリーズは将来、ソフトウェアアップデートによりカメラコントロールを押し続けてフォーカスをロックできるようになる。長期的に使い続けると、両モデルに抱く印象が変わるかもしれない。