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「AQUOS sense9」はココが進化した 選べる6色の「ちょっとアガる、どまんなかスマホ」を実機で確認

ITmedia Mobile 2024年10月29日 20時30分

 シャープは11月7日にスマートフォンのミッドレンジモデル「AQUOS sense9」を発売する。豊富なカラーバリエーションやディスプレイ性能の向上など、先代「AQUOS sense8」から大幅なアップデートがあった。

 発表日の10月29日時点における販路はNTTドコモ、KDDI(au/UQ mobile)、ソフトバンク、楽天モバイル、J:COM MOBILE、mineoとなっており、価格や発売日は各社が順次案内している。家電量販店などが販売するSIMフリーモデル(オープンマーケット向けモデル)の市場想定価格(税込み)は6GB/128GBが6万円程度、同8GB/256GBが6万円台後半だ。

 10月29日、シャープ ユニバーサルネットワーク ビジネスグループ長 兼 通信事業本部 本部長の小林繁氏が販売戦略を、通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 課長の清水寛幸氏がAQUOS sense9の特徴を語った。この記事では両氏の発言をもとに、AQUOS sense9のコンセプトや進化点を深掘りする。

●「ちょっとアガる、どまんなかスマホ」で、スマホへのワクワク感を抱かせる

 AQUOS sense9の最大の特徴は豊富なカラーバリエーションと見た目だ。常日頃から肌身離さずに持つスマートフォンで、カラーと見た目はまず目を引く要素であり、買うか否かの判断基準の1つにもなり得る。

 ボディーカラーはカメラ台座の色がアクセントとなるコーラル、グレージュ、ブルーと、カメラ台座と背面パネルが同色のブラック、ホワイト、グリーンの全6色から選べる。カラーコンセプトは、1つの商品で2つの色を使うバイカラー、同じ色調(トーン)を保ちつつ色相を変えるトーンオントーン、中立的なニュートラルの3つだ。

 「洋服のコーディネートのように、日常の中に少しの遊び心を加えるカラーリングのグレージュとブルーはカメラパネル(台座)とアルミボディーに異なる色相を採用。トーンオントーンのグリーンとコーラル、中立的なホワイトとブラックはカメラとボディーの色相は合わせながら、明度と彩度を付けている」(清水氏)

 ボディーカラーに合わせたカラーで、シリコン素材を使用した純正ケースも登場した。「一般的にはボディーの色と同じ色のケースが選ばれるが、カメラパネルの色を生かし、ボディーの色と異なる色のケースと組み合わせても美しくコーディネートできるようにそれぞれのカラーをデザインしている」(清水氏)そうだ。ボディーと純正ケースの組み合わせは計36通りに及ぶ。

 カラーだけでなく、カメラの台座も特徴的だ。円でも楕円(だえん)でもない自由曲線の台座にカメラレンズ、フラッシュが収まる、ハイエンドモデル「AQUOS R9」のデザインを踏襲。三宅一成氏が設立したデザイン事務所「miyake design」がデザイン監修を行った。

 カラーのバリエーションを増やし、仮に特定の色に人気が集中すると、他の色が売れ残るリスクが高まり、製造、在庫管理、流通におけるコストの増加にもつながる。そうしたことを覚悟の上で、カラーバリエーションを豊富にしたシャープの意図は何だろうか。

 清水氏は「スマホが登場して約15年がたった最近では、買い換えの度に電池持ちやカメラ機能の不満は解決している一方で、最初にスマートフォンを手にしたときほど、スマートフォンそのものにワクワクしなくなっているのではないか? スマートフォンへの期待が落ち着いているように思う」と話す。

 そのため、シャープはAQUOS sense9のコンセプトを「ちょっとアガる、どまんなかスマホ」(清水氏)と定め、「生活の道具としての間違いない性能をしっかりと持ちながらも、ふとしたときに心が潤うようなワクワクを提供し、スマートフォンが提供できる楽しさの真ん中をもう一歩前に進めたい」(清水氏)と考えた。

 余談だが、小林氏によると、「AQUOS R9もAQUOS wish4も絶好調に売れている」そうだ。シャープが「機能や性能だけを追求せず、手にしたときに感じられるモダンな日本らしさやたたずまいを意識した」結果、グッドデザイン賞受賞につながり、ユーザーにも評価されたのだろう。

●ディスプレイは省エネに貢献、スピーカーはステレオに sense8からアップデートした体験

 ディスプレイやカメラはどう進化したのだろうか。

 ディスプレイは約6.1型で解像度が1080×2340ピクセルとなっており、senseシリーズとしては初めてPro IGZO OLEDを搭載する。可変式のリフレッシュレートはAQUOS sense8が1~90Hzだったのに対し、AQUOS sense9では1~120Hzとなっている。さらに、黒いフレームを挟んで残像感を減らす技術により、最大240Hz相当の表示に対応。より滑らかな映像を楽しめるという。

 輝度はAQUOS sense8の4倍向上し、「日光の下でも写真や動画を見やすくなった。発光輝度効率はAQUOS sense8から40%向上しており、「5000mAhのバッテリーと合わせて1日10時間使っても2日ガッツリ楽しめる」(清水氏)という。

 あまり大々的にアピールはされていないが、AQUOS sense9はスピーカーも進化している。AQUOS sense8はモノラルスピーカーだったのに対し、AQUOS sense9ではボックススピーカーを片側(USB Type-Cポートのすぐ隣)のみに採用。AQUOS sense8と比べて「音圧は2.4倍、低音は2.8倍向上」(清水氏)した。清水氏は「先のハイエンドモデルに匹敵するディスプレイ性能と合わせて、上がる映像体験を提供できる」と自信を見せる。

 短時間ながら聞き比べる機会を得たので少しレポートをお伝えすると、AQUOS sense8は全体的に音がこもり気味でスマートフォンではなく、携帯音楽プレイヤーの小型スピーカーから音が鳴っているように聞こえるが、AQUOS sense9ではこもり気味だった音が左右にやや広がり、低音がより聞きやすくなっていた。一方でボディーサイズの制約上などから、AQUOS sense8にあったイヤフォンジャックは廃止となった。

 カメラもアップデートした。アウトカメラは標準カメラと広角カメラで構成される。どちらも有効約5030万画素だが、標準カメラはF1.9で画角が84度のレンズ、広角カメラはF2.2で画角が122度のレンズとなる。イメージセンサーのサイズは1/1.55型で、スペックとしてはAQUOS R9と同じだ。インカメラは有効約3200万画素でF値が2.2、画角が78度のレンズを搭載する。

 特にアウトカメラのうち、広角カメラは画素数がAQUOS sense8の有効約800万画素から有効約5030万画素へと向上し、センサーサイズは2.5倍大きくなり、ノイズを抑えて高精細に撮影できるようになったという。AFにも対応した広角カメラでは被写体に約2.5mまで寄って撮影でき、「花の質感や水滴に写っているものまでを表現できる」としている。

 画質エンジンにはAQUOS R proシリーズの高画質化技術を応用した画質エンジン「ProPix」を採用。シーンに応じて合成枚数を自動で調整し、豊かな階調表現で細部の質感まできれいに表現できるようになっている。

●AQUOS sense9はグローバル向けモデル 現地の反応も気になる

 このように、AQUOS sense9は豊富なカラーバリエーションにより自分好みの1台を求められ、省電力性と滑らかな表示に寄与するPro IGZO OLEDディスプレイを搭載し、広角から接写までのあらゆる画角を高画質な写真で残せる1台といえる。

 シャープはAQUOS sense9を日本だけでなく、台湾、インドネシア、シンガポールでも順次発売する。小林氏は「台湾、インドネシア、シンガポールへも引き続き積極的に販売を仕掛けている。各国のニーズに合わせてロータライゼーションを行うこともあり、順調に(販売)数が伸びている」と手応えを見せる。その上で、「日本のお客さまだけでなく、アジアパシフィックのお客さまにも喜んでもらえるようなものづくりをしていきたい」とした。

 AQUOS sense9のアップデートや次期モデルへの進化はもちろん、シャープによるグローバルへの挑戦と現地の反応は、AQUOS sense9でどう変わるのかにも期待したい。

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