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Back Marketが中古スマホの買い取りを開始 既存事業者にない特徴とは? Belongと提携し「減額なし」「安心安全」を訴求

ITmedia Mobile 2024年11月22日 12時51分

 Back Marketが11月20日、中古デバイスの買い取りサービスの提供を開始した。

 フランス発のBack Marketは2021年から日本でリファービッシュ製品を販売しているが、買い取りサービスの開始により、ユーザーはBack MarketのWebサイトから整備済みスマートフォンの購入と買い取りの両方を行えるようになる。

●日本は諸外国と比べてスマートフォンの買い取りが遅れている

 Back Marketが扱うリファービッシュ製品は中古製品の一種だが、一定の品質基準にのっとって整備されており、「全ての機能が問題なく動作することを担保していること」が中古品との違いになる。Back Market自身は端末の在庫を持たず、同社に登録している中古業者や修理業者などがリファービッシュ製品を販売している。

 Back Market Japan取締役 アジア太平洋地域代表の山口亮氏は、日本は諸外国に比べて、買い取りのサービスが進んでいないことを指摘する。米国では使い終わったスマートフォンの約7割が、買い取りやリサイクルなどによって二次流通に戻っているが、日本ではその比率が4割程度という調査結果も出ている。

 Back Marketが20~60代の男女1000人に行った調査では、約6割のユーザーが古いスマートフォンを自宅に保管していると回答した。その理由として、データ消去や個人情報の流出を心配する声や、店舗に持って行くのが面倒といった声が挙がっている。一方で、7割強のユーザーが、不要なスマートフォンの買い取りに関心を示しており、市場の成長余地が大きいともいえる。山口氏は「(残りの)6割の人に買い取りを知ってもらい、買い取りを行ってもらえれば、もっとマーケットが活気づく」と期待を寄せる。

 ただしBack Marketはリファービッシュ製品のプラットフォームを提供する企業であり、買い取りの仕組みや検品のセンターを自社で持っているわけではない。そこで、伊藤忠グループのBelongと提携し、同社が持つ買い取りのソリューションをBack Marketに導入する。

 Belongは中古スマホサービス「にこスマ」を展開しており、自社で買い取りも行っているが、この買い取りのノウハウをホワイトレーベル化して外部に提供するビジネスも展開しており、その仕組みをBack Market向けにカスタマイズしている。

 Belongは神奈川県座間市にオペレーションセンターを保有しており、データ消去から機能検査、外観の確認まで、中古スマートフォンを商品化するまでのオペレーションを一手に担っている。整備しているスマートフォンは年間100万台に及び、「国内最大級の規模感」とBelongの井上大輔社長は話す。なお、BelongはBack Marketに登録している販売業者でもあり、同社が整備した中古端末でBack Marketの基準に合致するものは、Back Marketでも販売されている。

 井上氏はBack Marketとの協業について、「新古品やリファービッシュでより安心安全な世界を作っていくという考えに賛同している。中古品にまつわる不安な気持ちをいかに解消していくかが、この市場が伸びていくカギだと思っているので、お客さまに透明性や正直さを徹底することで、この市場をともに拡大していきたい」と意気込みを語った。

●オンライン買い取りは最短6営業日で完了 買い取りから購入につなげる仕掛けも

 買い取りはオンラインで見積もりから入金まで、最短6営業日で完了するという。まず、Webサイト上で簡単な質問に答えると買い取り価格の見積もりが出る。その後、免許証やマイナンバーカードなどを用いてeKYCで本人確認を行い、端末を着払いで発送する。到着した端末をBelong側で確認し、結果をメールで伝える。買い取り金額が確定したら、指定の銀行口座に入金される。ここまでが買い取り完了までに流れだ。

 査定価格は「Aグレード(良品)」「Bグレード(画面割れ品)」「Cグレード(機能不良品)」の3段階に分かれており、他に「ネットワーク利用制限があるか」「画面が割れているか」「機能不良があるか」をチェックしていく。端末の初期化が行われていない場合でも、データ消去ソフトを使って確実にデータを消去する。

 井上氏は、Belongの査定には「安心安全」「利便性の高さ」「減額がない」という3つの特徴があることを示す。

 安心安全については、「データ消去を誰がやっているのかが不安だと思うので、伊藤忠グループという点と、業界標準の国際的な認可を得ているデータ消去ツールを使っていること」を井上氏は挙げる。

 利便性については、eKYCでスムーズに本人確認ができること、端末の発送についてはヤマト運輸と連携してファミリーマートやPUDOステーション(宅配便ロッカー)を使えることを挙げ、「メルカリと変わらないような回収のスキーム」と説明する。

 買い取り金額については、見積もり金額から減額をしないことを特徴としている。「既存の買い取りサービスでは、最大でいくら、とお見積もりをしており、減額される(場合がある)のが一般的。しかしBack Marketと連携した買い取りサービスでは減額をしない」と井上氏。これはにこスマでも同様のポリシーで、例えば付属品やパッケージがないからといって減額はしない。見積もりが出てから14日以内に発送すると、減額しないことをコミットするとのこと。

 買い取りのスキームは盤石といえるが、既に多様な中古業者が買い取りサービスを展開している中で、Back Marketで買い取ってもらうメリットはどこにあるのか。山口氏は「オンラインで完結すること」「Belongのすばらしい技術でデータ消去をしていること」を挙げるが、ここまでだとBelongがにこスマで行っていることと変わらない。

 山口氏は3つ目のメリットとして「シームレスな体験」を挙げる。例えば買い取りに出したユーザーに対してクーポンを発行し、Back Marketでのリファービッシュ品の購入につなげることができる。実際、Back Marketでは11月20日から2024年12月31日までに買い取りを完了させると、Back Marketで5万円(税込み)以上の購入に使える5000円割引きのプロモーションコードを配布する。買い取りから購入につなげるための導線も強化していくようだ。

●販売と買い取りの両輪でサービス強化 2025年にはBack Marketアプリの提供も

 Back Marketでスマートフォンを購入し、使い終えたらBack Marketで買い取ってもらう。それを再び整備してBack Marketで販売する。買い取りサービスを導入することで、そうした循環、いわゆる「サーキュラーエコノミー」が生まれる。「売るだけの一方通行流れではなく、お客さまから(デバイスが)戻っていくサイクルを作っていくことが大事」と山口氏は言う。

 Back Marketは2014年の創業当初から、リファービッシュ品を普及させることで電子廃棄物や二酸化炭素排出量を抑え、環境保護に貢献することを基本理念に掲げている。買い取りによってBack Market上で流通する端末が増えれば、販売量が増える。ユーザーが新品ではなくリファービッシュ品を選ぶことで、間接的に環境保護に貢献することになるというわけだ。Back Marketではそうした考えのもと、山口氏は「販売」と「買い取り」の両輪で事業を進めていくことを示した。

 海外では既に5カ国で買い取りサービスを展開しており、150万台以上を買い取った実績もある。また米国では、Back Marketアプリを入れた端末を振ると、その機種の情報を参考に、暫定の買い取り金額が画面上に表示される取り組みを行っている。山口氏によると、日本でも2025年をめどにBack Marketアプリを展開することを検討しているとのこと。海外で展開しているアプリでは、端末を購入したり、端末の状態をチェックしたりする機能があるという。端末を振って査定金額を出す機能もアプリが出れば搭載される見込み。

●スマホを買い取ってもらえて高級フレンチを堪能できる企画も

 Back Marketはスマホの買い取りを訴求する企画として、東京都渋谷区のフレンチレストラン「Sincere(シンシア)」にて、「スマホ買取レストラン」を、11月28日~30日の期間限定で開催する。これは、家の中に眠るスマートフォンの価値を、高級フレンチのコース料理で堪能してもらうというもの。Sincereはミシュラン1つ星を獲得したことに加え、健康や環境に配慮した食の取り組みを推進している。オーナーシェフの石井真介氏がBack Marketの環境に配慮した取り組みに共感し、この企画が実現した。

 石井氏は、海洋資源と食文化を守る料理人チーム、Chefs for the Blueの中心メンバーでもあり、水産資源問題にも取り組んでいる。「サステナブルシーフード、水産資源の観点から、日本はまだまだ遅れている」と指摘する石井氏は、市場に流通せず価値の低い魚とされている「未利用魚」を例に出し、Sincereでもこうした魚の価値を見いだせるよう調理しているという。「スマートフォンでも、どうしても新しいものに目が移ってしまう部分があるが、古くてもまだ使えるものをリサイクルするのは未利用魚も同様で、価値を生み出せる魚もある。Back Marketさんの活動に共感し、ぜひご一緒させていただきたいと思った」(石井氏)

 スマホ買取レストランへの参加条件は、古いスマートフォンをレストランに持参し、買い取りに出してもらうこと(入店時に事前審査や本人確認を行う)。希望するユーザーは、11月24日13時までにBack MarketのWebサイトで抽選予約の受付を行う。当選者には24日13時以降、順次招待の連絡をする。席数は1日7組(14人)で、3日間で合計21組(42人)を招待する。不要なスマホを買い取りに出すだけで高級フレンチを堪能できるチャンスなので、自宅に眠っているスマホがある人は、応募してみてはいかがだろう。

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