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冬でもスマホは発火、そのワケは? 意外と知らないバッテリーの「トリセツ」、消費者庁が公開

ITmedia Mobile 2024年12月5日 17時31分

 消費者庁は12月5日、リチウムイオンバッテリー使用製品の取扱説明書を公開した。サイトでは、冬の時期にやってはいけないことの一例や、実際に起きた事故の事例を紹介している。

 最近のスマートフォン、タブレットやノートPCでは充電池として「リチウムイオンバッテリー」を採用したものが多い。熱や衝撃に弱いなどのリチウムイオンバッテリーの性質上、リチウムイオン電池を使用した製品では、使用方法を誤ると、発煙、発火、過熱に伴う火災事故などの原因となる場合がある。

 事故情報データバンクには、「リチウムイオンバッテリーを使用して暖がとれる製品」での事故情報が、2014年4月から2024年9月までに68件登録されており、2020年度以降、増加傾向にあるという。登録された68件のうち、リチウムイオンバッテリーに起因すると考えられる事故情報は32件で、それらの事故内容の内訳は発煙、発火、過熱が18件(56.3%)と最も多く、次いで火災事故が9件(28.1%)となっている。

 消費者庁が公開した事故の事例は次の通り。

事故の事例

・電熱ベスト着用中、バッテリーが異常に熱くなったためベストを脱いだところ、バッテリーが溶けていた。

・ネット通販で購入した電熱手袋のバッテリーを充電中、バッテリー付近から発火した。全ての電池セルが確認できなかったため、原因は特定できなかったが、バッテリーから出火した可能性が考えられる。

・デジタルプラットフォーマーに出品している外国の店から充電式カイロを購入した。充電後、不思議な臭いがしたものの、外出のため洋服のポケットに入れて使用していたところ発煙した。慌てて取り出したため道路に落ち、発火して溶けた。

・大手ショッピングサイトで購入した電熱インソールを、スイッチを切ったまま使用していたところ、急に熱くなって発煙した。熱で靴と靴下が溶け、やけどにより救急搬送された。

 こうした事故事例やリチウムイオンバッテリーの危険性を踏まえ、消費者庁は火災事故などが発生する危険性を常に認識し、次の点に注意して安全に使用するよう呼びかけている。

リチウムイオンバッテリー使用製品を取り扱う際の注意事項や、やってはいけないこと

・取扱説明書に記載の事項など、メーカー等の指示に従いましょう。

・リチウムイオン電池使用製品に強い衝撃や圧力を加えないようにしましょう。また、損傷したものや異常が生じたものは絶対に使用しないでください。

・充電は、なるべく製品の様子が確認できる時間と安全な場所で行い、充電が完了したらプラグを抜きましょう。また、充電コネクタの破損や異物の付着にも注意しましょう。

・製品に推奨されている充電器やリチウムイオンバッテリーを使用しましょう。改造されたものは絶対に使用しないでください。

・製品を安全な場所で使用・保管しましょう。

・購入前に製品の安全性を考えましょう。

・製品のリコール情報を確認しましょう。

・リチウムイオン電池は、正しくリサイクル・廃棄しましょう。

・公共交通機関での事故を避けるため、持込規則を確認して、それに従いましょう。

 なお、経済協力開発機構(OECD)の加盟国では、2024年10月から2025年1月にかけて、リチウムイオンバッテリーの安全性に関する国際共同啓発キャンペーンを実施している。

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