冬春シーズンは最新のiPhone 16シリーズだけでなく、旧モデルのiPhoneを特価で購入しやすい時期だ。実際、店頭でもiPhone 15やiPhone 14の特価販売の掲示が並ぶ他、最新のiPhone 16も特価で販売していることがある。
その一方で、12月26日以降は総務省による電気通信事業法のガイドライン改正に伴う販売施策により、特価販売の実質価格が大きく値上がりする可能性が出てきた。これからiPhoneの買い替えを検討している人は、12月25日までに購入すべきか。この点も含めて、12月からiPhoneをお得に購入する方法を紹介する。
●MNP契約の特価iPhone 15なら、2年間47円で利用できる
まずは、12月26日より前の特価販売の内容から紹介していこう。現在、量販店などで特価販売を見ることが多いのはiPhone 15の128GBモデルだ。価格は“実質価格47円”や“実質価格33円”など、数十円で利用できると掲示している。この他、最新のiPhone 16も実質2万円前後で販売されていることがある。
これらの特価iPhoneのうち、どの機種が魅力的なのかを簡単に比較する。価格重視で最新機能にこだわらないなら、iPhone 15をおすすめしたい。望遠2倍も撮れる4800万画素カメラと、USB Type-C端子での充電に対応しており、使い勝手がいい。iPhone 14の特価販売も見かけることはあるが、価格差が少ないならiPhone 15を選びたい。
予算に余裕がある場合や、新機能が気になるならiPhone 16だろう。最新のA18チップを搭載し、今後提供予定のAI機能Apple Intelligenceにも対応する。
特価iPhoneの購入条件は、MNPでの乗り換え契約かつ、各社の“端末購入サポート”とも呼ばれる分割払いと24カ月後あたりにiPhoneを返却する(キャリアにより異なる)購入方法の利用だ。
この実質数十円の特価iPhoneを販売しているのは、ドコモ(irumo含む)やau/UQ mobile、ソフトバンク/Y!mobileが多い。サブブランドのお得なプランへの乗り換えと同時にこの特価iPhoneを購入すれば、2年ほどiPhoneの購入価格と料金プランの両方を節約できる。
条件付きとはいえ、なぜ特価iPhoneは、実質数十円と安いのだろうか。理由は大きく2つある。
MNP契約で最大4万4000円引きに
1つは、乗り換えを条件とした内容だ。MNP契約で料金プランを他社に乗り換えた場合の割引額が4万4000円に設定されている点にある。これは総務省の販売ガイドラインで定められた、10万円を超えるスマホに対する割引の上限金額となる。通常はMNP契約でも、割引額は1万円や2万円が多い。機種変更で購入した場合に割引を受けられることはあまりない。
端末購入サポートで支払金額を大幅に免除
もう1つが、端末購入サポートだ。iPhoneをキャリアの分割払いで購入し、契約から約24カ月後(キャリアにより異なる)に返却すると、購入時に決められた支払金額(キャリアが予想した、24カ月後の端末買い取り価格)の支払いをせずに済む。
特価販売モデルはこの2つを組み合わせることで、iPhone 15を2年利用して実質47円や実質33円といった価格を実現している。
ここで、ドコモを例に特価iPhone 15を購入した場合の割引内容を見てみよう。
MNPで乗り換えた場合は最大4万4000円の割引と、23カ月目の本体返却で8万6592円の割引により、店頭掲示にある通り、実質33円で23カ月間iPhone 15を利用できる。
機種変更の場合は4万4000円の割引は受けられない。ただ、いつでもカエドキプログラムを利用し、端末を返却する際の割引額も多いため、SIMフリーのiPhone 15を購入して24カ月後に買い取りに出した場合と大差のない金額で利用できる。
割引のカラクリは他社の特価販売のiPhone 15でもほぼ同じだ。MNP契約で料金プランを乗り換えつつiPhoneを買い換えたい場合は、下手にSIMフリー版や中古を購入するよりもお得なので、特価販売のiPhoneを探して購入した方がいい。
●iPhoneの大容量モデルやiPhone 16 Pro、端末購入サポートで安く買える?
特価販売の対象スマホはiPhone 15やiPhone 16の128GBモデルが多い。だが、スマホを使いこなしている人ならiPhoneの256GBなどの大容量モデルやiPhone 16 Proなどの上位モデルを安く購入したいだろう。
特価iPhoneが安い理由は前述の通り、MNP契約時の割引金額が最大の4万4000円に設定されている点にある。このため、iPhoneの256GBモデルやiPhone 16 Proなどの上位モデルをお得に入手したい場合、“店頭でMNP契約と一緒に購入した場合の割引金額を聞く”のが最短の方法といえる。もし店頭に在庫があり、4万4000円に近い割引で購入できたらラッキー、と考えていいだろう。
●12月26日に改正した販売ガイドライン改正、特価iPhoneはどうなる?
ここまでの解説は12月25日までの話だ。先述の通り、12月26日以降は改正後の「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン」が施行される。それに伴い、特価iPhoneはもちろん、多くのスマホの実質価格が数万円ほど高くなる可能性がある。
この理由は、各キャリアが端末購入サポートで、24カ月目あたりにスマホを返却した場合の割引額について、新たな基準を求められるようになったためだ。新基準では中古スマホを取り扱う企業の業界団体である一般社団法人リユースモバイル・ジャパン(以下、RMJ)がWebサイトで公表する実際の買い取り平均額を根拠として、割引額を設定することが義務付けられる。
先ほどの特価iPhone 15 128GBの場合、端末購入サポートによる割引額は8万5592円だ。2年後にiPhone 15 128GBを買い取りに出した場合、残価率66%で買い取ってもらえる前提でこの割引額を出している。中古ショップの買い取り相場と比べると若干高め、もしくは新品に近い美品を想定した予想金額といえる。
では、12月26日以後の割引額はどう変化するのだろうか。総務省のガイドラインの内容と、公開されている買い取り平均額からおおまかに予想してみよう。
端末購入サポートの割引額は12月26日からRMJが公表する過去の平均買い取り価格のデータをもとに、過去の同型機種の発売時の価格と発売後の平均買い取り額の残価率を参考に決める。
下のグラフではRMJが公表する買い取り平均額からiPhone 12、iPhone 13、iPhone 14、iPhone 15の金額を取り出し、当初のメーカー直販価格に対する買い取り金額の割合の推移を示した。
なお、グラフではキャリアの販売価格ではなく、メーカー直販価格に対する買い取り価格の推移を採用している。総務省のガイドラインでは、2024年12月25日以前に発売された端末についてはメーカーの販売当初の直販価格を計算に用いる、という内容に合わせるためだ。
グラフを見ると、iPhone 12 128GBの24カ月後の買い取り価格は約60%になることが分かる。ただ、iPhone 12とiPhone 13は途中で急激な円安やiPhone 13の値上げといった環境の変化で残価率がやや上振れしている。実際には50~60%の間といった方が実態に近いだろう。
この結果をもとに、前半の特価iPhone 15 128GBの今後の価格を予想してみよう。残価率は総務省のガイドラインに記載されている“「端末の販売時点からnカ月目の残価率」を、「発売からnカ月目の買い取り平均額÷各電気通信事業者における販売当初の販売価格」”という内容から計算している。
ここでは、端末購入サポート(ドコモ:いつでもカエドキプログラム)の割引額を、先ほどのグラフをもとに、23カ月後のiPhone 15の残価率を60%にした場合と、55%、50%だった場合について計算した。
結果、どのパターンでも現状の特価iPhone 15の実売価格は数千円から2万円程度、値上がりする結果となった。実際には販売方式や残価率が異なる他、キャリアによっては異なる販売方法を模索する方法もあるため、必ずしもこの通りにはならない。だが、大きな動きがなければ当面の値上がりは避けられない、と考えていいはずだ。
●特価iPhoneを狙うなら12月25日までに店頭を確認しよう
現在、新しいiPhoneへの買い替えとMNP契約でお得な他社料金プランへの乗り換えを考えている人は、12月26日を迎える前に一度店頭でお得なモデルがないか相談した方がいいだろう。繰り返しにはなるが、12月26日以降、各キャリアの端末購入サポートを利用した場合の実質価格が値上がりする可能性は高い。
特に、実質価格が24カ月後の返却で47円などのiPhone 15 128GBなどはあまり迷う必要がない。12月26日以降に実質価格が上がる可能性が高くなり、実質価格がこれ以上安くなることはないからだ。
特価iPhone 16や他のiPhoneを購入する場合も同様だ。一度、目当てのiPhoneが店頭でのMNP契約で最大4万4000円を受けられないか相談してみよう。