「年賀状、まだ間に合う?」「紙のはがきを出すのは面倒だ……」 そんなあなたにおすすめしたいのが、デジタル年賀状です。「Adobe Express」を使えば、スマホ1台で動く年賀状が30分ほどで作れます。Adobeの製品担当者に聞いた、デジタル年賀状の作り方をお伝えします。
Adobe Expressアプリは、デザイン制作に不慣れな人でも簡単に使える制作ツールです。2024年にiPhoneとAndroid向けのアプリが登場し、アニメーションや生成AIなど使いやすい機能がどんどん追加されています。
アプリはAdobe IDを登録すれば、ほとんどの機能を無料で使えます。
●まずは年賀状テンプレートを探してみよう
Adobe Expressアプリを起動したら、まずは画面上部の検索ボックスに「年賀状」と入力してみましょう。すると、2025年用の年賀状テンプレートが次々と表示されます。
はがきサイズの典型的な年賀状から、Instagram用の正方形サイズ、TikTokやストーリーズへの投稿に適した縦長サイズまで、さまざまなテンプレートが用意されています。
今回は、SNSでも映えるようなアニメーション付きの年賀状を作ります。まずは気に入ったデザインを見つけてタップしてみましょう。そのままテンプレートを開いて編集画面に移ります。
●テキストを編集してオリジナリティーを出そう
まずはテキストの編集から始めます。画面上の「2025年」や「高山家」などの文字をタップすると、テキスト編集モードに入ります。定型的なあいさつ文を自分らしい言葉に変えたり、家族の名前を入れたりしてカスタマイズしていきましょう。
フォントの変更も簡単です。テキストを選択した状態で画面下部に表示されるメニューから「フォント」を選択すると、和風からモダンまで、さまざまな書体を試せます。文字の色やサイズも自由に調整できるので、好みのデザインに仕上げていきましょう。
デザインに手書き感を加えたい場合は、「素材」タブから「手書き」機能を使えます。
実線やアスファルト、バブルなど、いくつかのスタイルのブラシがありますが、「ランダムドット」ブラシは墨で打ったような味わいのある点が表現できるのでおすすめです。線の太さやカラーを調節できるので、年賀状に手作り感を演出しましょう。
テンプレートの画像素材を差し替えることもできます。Adobe Expressにはストックフォトや動画の素材も用意されています。例えば「蛇 かわいい」で検索して素材を探すこともできます。
●生成AIで年賀状をより魅力的に
Adobe Expressに搭載された生成AI機能(Firefly)を使えば、写真やイラストを簡単にアレンジできます。
2025年の干支である蛇の写真を編集する場合、蛇の頭の部分を指でなぞって選択し、プロンプトに「赤い帽子」と入力するだけで、なぞった部分に自然な形で帽子が追加されます。また、風景写真にも生成AIで要素を追加できます。例えば、登山で撮影した写真に「蝶」を追加すれば、より華やかな1枚に仕上がります。プロンプトで指示するだけで、風景に調和した自然な仕上がりになるのが特徴です。
●手書きイラストも取り込める
生成AIだけでなく、手書きイラストとの組み合わせも魅力的です。無料で使えるAdobe Frescoとの連携機能を使えば、デジタルならではの表現と手書きの温かみを両立できます。
お子さんにタブレットで干支の絵を描いてもらったり、手書きの年賀メッセージを入れたりした素材は、Adobe Expressに直接取り込むことができます。
特にiPadユーザーにおすすめの機能で、Frescoで描いたイラストはクラウドを通じて自動的に同期されます。描いた絵を年賀状のテンプレートに配置したら、背景を自動で削除したり、サイズを調整したりと、Adobe Expressの編集機能でさらに魅力的に仕上げられます。
●複数の要素を自在に配置する レイヤーロックも可能
年賀状作成で悩むのが、テキストや画像の重なり具合の調整です。Adobe Expressでは、画面右側の「レイヤー」パネルで、各要素の重なり順を簡単に管理できます。
例えば、干支のイラストをあいさつ文の後ろに配置したい場合は、レイヤーパネルでイラストを下にドラッグするだけです。要素を選択して「最前面へ」「最背面へ」を選ぶことで、素早く配置を調整することもできます。
年号とあいさつ文など、関連する要素はグループ化しておくと便利です。まとめて移動や編集ができるので、レイアウトの微調整もスムーズです。また、完成に近づいた要素を誤って動かしてしまわないよう、レイヤーをロックすることもできます。例えば、背景画像の配置が決まったら、そのレイヤーをロックしておけば、他の要素を編集中に誤って背景をズラしてしまう心配がありません。
●デジタル年賀状ならではの「アニメーション」で動きをつける
デジタル年賀状の醍醐味(だいごみ)は、何といってもアニメーション機能です。テキストや画像などの要素をタップして選択し、画面下部のメニューから「アニメーション」を選びます。フェード、点滅、拡大縮小、スライドなど、さまざまな動きの中から好みのものを選んでタップするだけで、簡単にアニメーションを追加できます。
手動で設定する以外に、AIにおまかせする方法もあります。「すべてをアニメート」機能を使えば、ワンクリックで年賀状の各要素に適切なアニメーションを自動で設定してくれます。後は微調整するだけで、見栄えのいい動く年賀状の完成です。
さらに、BGMや音声ナレーションを追加できます。自分の声で新年のあいさつを録音したり、Adobe Stockから年始にぴったりな楽曲を選んだりと、視覚と聴覚で楽しめる年賀状に仕上げられます。
●作品を保存して共有する もちろんプリントもできる
制作中の作品は、Adobeのクラウド上に自動で保存されています。たとえ、途中でアプリが落ちてしまっても制作過程は残されているので安心です。作品を制作したら、「ダウンロード」ボタンを選んで保存しましょう。PNGやJPGなどの画像ファイル、PDF、そしてMP4の動画形式で保存できます。
アニメーション付きの年賀状として使うならMP4形式がおすすめです。印刷して郵送したい場合は、PDF形式で保存しましょう。トンボと裁ち落としを付けた印刷用データとして書き出せるので、コンビニプリントやプリントサービスでも使えます。
また、画面右上の「共有ボタン」をタップすると、SNSやクラウドストレージに投稿できます。InstagramやXへの投稿予約機能もあるため、1月1日の0時に自動投稿するような設定も可能です。
●PCでさらに編集の幅を広げる 簡単に作るなら「年賀状メーカー」も
大きな場面でもっと凝った編集がしたくなったら、PCを活用しましょう。スマホで作成したデータは自動で保存されるため、後からPCのブラウザでAdobe Expressにアクセスして編集を続けることもできます。
編集用リンクを作成して家族や友人と共有すれば、みんなでリアルタイムに編集することもできます。離れて暮らす家族と一緒に年賀状を作るなど、新しい楽しみ方もできそうです。
実は、もっと手軽に年賀状を作れるツールも用意されています。Adobe Expressの公式サイトから利用できる「年賀状メーカー」(β版)は、年賀状作成に特化した専用ツールです。アカウント登録なしで編集を始められるので、まずは気軽に試してみることができます。
年賀状メーカーでは、和風デザインや写真フレーム付きなど、目的別に整理されたテンプレートから選ぶだけで、数クリックで年賀状が完成します。文字の編集や色の変更、画像の追加といった基本的な編集機能も備えており、年賀状作りに必要な機能を厳選して搭載しています。
作品の保存やダウンロード時にはアカウント登録が必要ですが、作り終わってから登録すればOK。さらに凝った編集を施したい場合は、「Adobe Expressで編集」ボタンをクリックすれば、フル機能版のAdobe Expressで編集を続けることもできます。
●無料で必要な機能の多くを使える プレミアム版との違いは?
Adobe Expressの基本機能は無料で利用できます。テンプレートの利用はもちろん、アニメーション機能や生成AI機能まで、年賀状作りに必要な機能のほとんどを無料で使うことができます。
プレミアム版では、より柔軟な年賀状作りが可能になります。ハガキサイズで作った年賀状をInstagram用の正方形に変更でき、その逆も可能です。しかも生成AI機能が賢く働き、和風の模様や背景の風景を自動で補完してキャンバスサイズに合わせてくれるので、デザインの雰囲気を損なうことなくサイズ変更ができます。
また、プレミアム会員は高品質なテンプレートや素材も利用できるため、よりオリジナリティーのある年賀状を作ることができます。
無料版でも十分に魅力的な年賀状が作れますが、より自由度の高い編集を行いたい場合は、プレミアムプランへのアップグレードを検討してもいいでしょう。
●まとめ:年賀状はスマホだけで簡単に作れます
Adobe Expressを使えば、スマートフォン1つで本格的なデジタル年賀状が作れます。アニメーションや写真を組み合わせて、従来の紙の年賀状とは一味違う、デジタルならではの楽しい年賀状に仕上げることができます。
基本的な機能は無料で利用できるので、年賀状作りの新しい選択肢として、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。SNSでの共有はもちろん、従来通りの印刷もできるので、受け取る相手に合わせて使い分けることもできます。