「AQUOS R9」から約半年――遅れながらも「AQUOS R9 pro」が出ました!
AQUOS R9の発表から少したって、Xiaomiのライカ(Leica)仕様のスマートフォン「Xaiomi 14 Ultra」が日本投入が発表された。そのこともあって「あのクラスのライカ仕様のフラグシップ機(proモデル)は出ないのか?」という声もあったけれども、シャープは着々と準備をしていたのだ。
AQUOS R9の発表会の時に気になっていたのは、「R9 proが登場するとしたら、カメラ部はどんなデザインになるのか?」ということ。R9のデザインを継承した丸みを帯びたかわいい顔になるとして、それはフラグシップ機に似合うのか……?
そうしたら、あの丸みを帯びたAQUOS R9とは真逆の、ゴツい大きな円の中にカメラユニットが並ぶトリプルカメラにフルモデルチェンジしたのである。並べてみると違いすぎて「同じR9といっていいのか?」レベルだ。
前モデルまでは、ハイエンド機としては珍しい大きな広角カメラ1つで望遠までを賄う「単焦点のカメラ」だったが、R9 proでは一転して超広角/広角/望遠のトリプルカメラに変わった。その実力やいかに。
●カメラは全部「約5030万画素」
フラグシップ機らしい、3つのアウトカメラ……いやインカメラを入れて4つのカメラが全て約5030万画素と、5000万画素クラスなのがポイント。ただし、それぞれのカメラはセンサーの組成が異なる。
メインカメラ(広角カメラ:シャープ的には「標準カメラ」と表記)は1/0.9型センサー(つまり1型よりちょっとだけ大きい)で、F1.8。超広角カメラ(シャープ的には「広角カメラ」)は1/2.5型とコンパクトながら約5030万画素で、F2.2。そして望遠カメラは1/1.5型センサー(AQUOS R9のメインカメラと同じサイズ!)で、F2.6となっている。
アウトカメラのレンズには、ライカの「VARIO-SUMMICRON(バリオ・ズミクロン)」の銘が打たれている。デザインはがらっと変わったが、カメラ回りのリングを放熱にうまく使うなど、構造上の工夫は従来モデルから継承している。
もう1つ注目すべきは、独立した「シャッターボタン」が付いたこと。 これを長押しするとカメラが起動する他、半押しで「オートフォーカス(AF)駆動」、全押しで「撮影」という感じで、本職カメラ的な使い方も可能だ。
横位置で撮るときはこれで、縦位置で撮るときは画面のシャッターで撮るのがいい感じ。
ガスタンクを撮る
ではまあ、いつものようにガスタンクを撮ってみます。
すごく残念なのは、デフォルトの倍率ボタンが「0.6x」「1x」「3x」の3つだけであること。せっかく5000万画素級のセンサーを積んでいるのだから、「2x」と「6x」はあってもよかったと思う。2xってけっこう便利に使えるし(2xだと46mm相当で、カメラの世界でいう標準レンズの画角に近いのだ)。
倍率は手動で微調整できるけど、ボタンがあった方が瞬時にセットできるから、利便性が違う。
画質はさすがによい。階調は滑らかだし、ディテールもヘタに輪郭強調をかけたりせず、柔らかくまとまっている。AQUOS sense9と比べると、R9に近い印象。当たり前といえば当たり前かな。
AQUOS sense9と同様、画質は「ナチュラル」と「ダイナミック」から選べる。ダイナミックの方が明らかに色が強く出ていて、鮮やかだ。
これはマメに切り替えて使うものじゃないので、好みに応じて最初に設定しておきたい。カメラっぽい誇張の少ない写真が好きなのか、せっかくだから色鮮やかな写真がいいのか――わたしならナチュラルにして、誇張したいときはフォトアプリでちょっといじってからシェアするかなという感じです。
さらに超広角カメラと3x設定で撮ってみる。画質は「ナチュラル」で。
スマートフォンの望遠カメラは、薄いボディーに収めるべくセンサーサイズが小さく、画質もちょっと劣りがちだったが、AQUOS R9 proではがんばって大きめのセンサーを使っている。おかげで、望遠撮影時のクオリティーは高い。
なお、3xの望遠カメラで撮ると「65mm」相当になる。1xのメインカメラは「23mm」相当なので、その3倍となると「69mm」のはずで、3倍弱(2.8倍)だ。細かい事だけど。最高倍率は20xとなる。
もうちょっといろいろ撮ってみる
より実用的なところで、6x(130mm)で東京から見た夕富士を撮ってみた。ちゃんと「夕景」と認識してよい色に。
AQUOS sense9と同様、AQUOS R9 proにもマクロモードが付いた。
オートマクロをオンにしておくと、被写体にぐぐっと近づいたときに、自動的にマクロモードに切り替わる(アイコンが青くなる)。
そしてカメラがより近くまでピントが合う超広角カメラに切り替わり、撮影されるのだ。
マクロモード時は超広角カメラのデジタルズームになるので、画質はちょっと落ちるけど(これはどのスマホも同じだ)、ここまで寄った撮影ができる。
アップで撮りたいときは、望遠カメラを使うのも手。これが意外に近くまでピントが合うのだ。寄って撮ると、背景もボケるし。
望遠カメラのクオリティーは素晴らしいので、積極的に使いたいと思う。おすすめだ。
●人や動物を撮ってみるとどうか?
では人やネコを撮ってみる。
まずはアウトカメラで人。ちょっと遠いと顔、ある程度近いと瞳に枠が出て人物と認識し、そこにフォーカスが合い、人物向けの設定で撮ってくれる。
屋外での逆光状況でも撮ってみた。これはかなり強い逆光だったのだけど、HDRがきちんと働いて思ったよりちゃんと撮れていて感心。
ただ、人を撮るなら望遠カメラがお勧め。65mm相当というのは、スタイルがほどよくきれいに見えて、背景も整理できるし画質もいいのだ。
そしてポートレートモードにすると、カメラは自動的に3xの望遠カメラに固定されて、ぼかしと美肌の調整ができる。倍率が固定されちゃうのはちょっと残念。
だが、写りは素晴らしい。背景のボケ具合も見事だ。
ポートレートモードでは、人物以外にペットも指定できる。
ペットモードにすると、美肌の代わりに毛並みを調整できるのだが、まあ毛並みはオフのままでいいかなと思う。
もちろん、ポートレートモードはペットや人じゃなくてもいける。イルミネーションでポートレートモードを試してみると、背景の点光源が丸くボケているのが分かる。
人物編の最後は自撮り。
自撮りでポートレートモードにすると実に多彩な項目調整ができて面白い。
●動画性能もさすがのフラグシップだった
では、その他いろいろと撮ってみよう。
季節柄、これは欠かせないよねということで青空と紅葉。
料理は2xで(手動で2x相当にしてみた)。
3xで電車。65mm相当の望遠カメラって使いやすい上に、高画質なのでよい。望遠カメラのセンサーサイズを上げて画質を向上させるってのはこれからのハイエンド機のトレンドになりそうだ。
行先案内板がちゃんと撮れてないのはシャッタースピードが速すぎるため。カメラ用フィルターを付けられるケースを用い(別売り)、NDフィルターを付けたらいいかも。そこまで凝ったことをするかはお好みですが。
そして夜。ナイトモードにすると、オートナイトの他、打ち上げ花火や星空モードも選べる。
ただ、通常は「オートナイト」をオンにしておくと、写真モードでも自動的にナイトモードになる(月のアイコンが青くなる)ので、それでOK。
オートナイトモードで。クリスマスイルミネーションを見事に撮ってくれた。空のグラデーションもイルミネーションもよい表現をしてくれました。
動画は、通常のビデオ(動画撮影)に加えて「PROビデオモード」を持っており、そこではシネマティック/ナイトビデオに加えてDolby Vision(ドルビービジョン)を選べる。
手ブレ補正は優秀で、階段を降りたり上ったりしながら撮っても揺れはきちんと補正されていた。
今回は試せなかったが、別売りのケースを介することで、カメラ用のフィルターを装着することも可能だ。
と、前モデルのAQUOS R8 proからフルモデルチェンジしたAQUOS R9 pro。基本性能はぐんと上がり、19mm相当のシングルカメラ1つから全部5030万画素のトリプルカメラ(しかもメインカメラは約1.05型)に大きく進化し、シャッターボタンもついた。
そこで気になるのは、ライカスマホのもう1つの雄、Xiaomi 14 Ultraと比べてどうなのか、というところ。
細かい機能や性能の違いを抜きにすると、ライカ成分がより多めで、ライカ気分を味わえるのがXiaomi 14 Ultra、ライカスマホだけどスマホ成分が強めで、普通のスマホ感覚で撮れるのがAQUOS R9 proといっていいかと思う。
(モデル:長谷川実沙)