KDDIは2024年12月3日に新プラン「auマネ活プラン+」の提供を開始しました。ドコモやソフトバンクでも同様のポイ活プランを展開しており、自社の経済圏への囲い込みが活発になっています。そこで今回はauマネ活プラン+の特徴を解説した上で、他社のポイ活プランとの比較や選ぶ際の注意点を解説します(料金は全て税込み)。
●auマネ活プラン+では毎月最大4000ポイントを還元
auマネ活プラン+とは、データ容量無制限のプランに、各種サービス利用によるポイント還元がセットになったプランです。月額8778円の基本料金に対し、サービス利用で最大4000円分のPontaポイントが還元されます。この4000ポイントをauの料金支払いに充当し、さらに固定回線とのセット割である「auスマートバリュー」の月1100円の割引を適用すると、実質3678円で無制限プランが使えることになります。
4000ポイント還元は、指定サービスを利用しているだけでもらえる1000ポイントと、指定サービスで決済することでもらえる3000ポイントに分かれます。
サービス利用特典1000ポイントは3つに分かれます。au PAYカードの会員なら月300ポイント、auじぶん銀行の口座を保有し、au IDを登録していれば月300ポイント、スマホ料金の支払いをau PAY カードに設定し、そのau PAY カードの引き落とし先をauじぶん銀行に設定していれば月400ポイントがもらえます。
さらに、au PAYとau PAYカード利用により最大3000ポイントもらえます。まず、au PAY ゴールドカードのユーザーがau PAYで決済をすると還元率が4.5%加算され、合計で最大1500ポイントもらえます。au PAYの基本還元率0.5%と合わせると還元率は5%になる計算です。また、au PAY ゴールドカードで決済した際の還元率が4%アップし、合計で最大1500ポイントもらえます。au PAY ゴールドカードの基本還元率である1%を合わせると、還元率は最大5%になる計算です。どちらも1500ポイントずつ得るためには、au PAYで毎月約3万3400円以上、au PAY ゴールドカードで毎月約3万7600円以上使う必要があります。
なお、年会費無料のau PAY カードでもそれぞれ最大1500ポイントずつもらえますが、還元率はどちらも2%に下がります(基本還元率を含む)。au PAY ゴールドカードは年1万1000円の年会費がかかるものの、auマネ活プラン+を選ぶならau PAY ゴールドカードを選んだ方がよいでしょう。
auマネ活プラン+には他にもauじぶん銀行の円普通預金金利がアップしたり、auカブコム証券で投資信託をクレカ積立にするとPonta還元率が上がったりする特典もあります。auマネ活プラン+の詳細はこちらに記事を参考にしてください。
●月200GBで速度制限があるものの、快適に通信するにはありがたい
auマネ活プラン+にはいくつか注意点もあり、最も注意が必要なのが通信制限です。auマネ活プラン+は容量無制限とうたっていますが、月のデータ使用量が200GBを超えると通信速度が最大5Mbpsに制限されます。これはauの「使い放題MAX+ 5G/4G」と同じ制限です。スマホの通信速度は4.5Mbpsもあれば動画視聴も含め、何でも快適にできるとはいえ、これで容量無制限プランといえるのかは賛否が分かれるでしょう。ちなみに、ソフトバンクのメリハリ無制限+とペイトク無制限も月200GB超で最大4.5Mbpsに速度が制限されます。
ただ、個人的にはこういった制限には賛成です。ユーザーの中には異常な使い方をする人が一定数おり、その一部の人の大量の通信のせいで帯域が圧迫され、それほど通信しない人にも影響が出る場合があります。そのため、このような制限を設定することで他ユーザーへの影響を抑えられるのです。容量制限というとなんとなくネガティブに感じますが、大多数を占めるであろう200GB未満のユーザーによってはむしろ喜ばしいことといえます。
なお、auマネ活プランはテザリングやデータシェアの利用量が最大30GBでしたが、auマネ活プラン+は最大60GBに増やされました。外出先でPCをつないでテザリングする場合や、固定回線の代替として自宅でもスマホで通信している人にとっては朗報でしょう。
●他社のポイ活プランと比較 auマネ活プラン+のメリットとデメリット
auだけでなく、他社でもポイ活プランを展開しています。ドコモは「eximo ポイ活」と「ahamo ポイ活」、ソフトバンクでは「ペイトク」です。また、楽天モバイルの最強プランにも、楽天モバイルでの買い物でポイントが還元される特典があります。ここでは、大手キャリアのポイ活プランを楽天モバイルも含めて比較します。
還元を含めた実質料金が最も安いのは楽天モバイルです。楽天モバイル契約者には楽天市場でのポイント還元率が4%アップする特典があり、最大で月2000ポイント還元されます。これを含めると、楽天モバイルはデータ使用量が20GB以上の月でも実質1278円で使えます。データ使用量が3~20GB未満なら実質178円、3GB未満なら922円得する計算です。楽天市場での買い物が多い人は、たとえ通信を全くしなくても楽天モバイルを契約しておいた方がお得ですね。
また、auマネ活プラン+、eximo ポイ活、ペイトク無制限は、固定回線とのセット割、家族割、カード支払い割に加え、特定サービスでの一定額以上の決済をクリアしてこの料金です。楽天モバイルは誰もが条件なしで月額3278円ですし、家族割、シニア割、学割なども適用可能です。さらにアプリ「Rakuten Link」を使えば国内通話料金は無料でかけ放題です(一部の番号を除く)。3キャリアに比べると通信品質は劣るのが最大のデメリットですが、安さでは圧倒的といってよいでしょう。
楽天モバイルを除くと、最大の還元を受けた場合の実質料金は、無制限プランではeximo ポイ活が月額2728円と最も安くなりました。eximo ポイ活は通常料金は最も高いものの、還元は5500円分(5000ポイントをスマホ料金の支払いに充当した場合の実質的な割引)と高額です。終了日未定のキャンペーンにより還元率も10%と高いため、最大還元に必要な決済額は5万円と少なめです。
今回紹介したauマネ活プラン+は最安の実質料金では月額3678円と最も高くなりました。しかし、各社のポイ活プランは適用条件や還元方法が多岐にわたるため、料金以外も含めメリット/デメリットの検討が必要です。
例えばauマネ活プラン+は家族割プラスの対象外(回線数のカウントのみ対象)のため、契約が1回線のみの場合でも割引額が減りません。また、eximo ポイ活とahamo ポイ活の還元率は10%と高いように見えますが、これは終了日未定のキャンペーン期間中のみで、通常はdカード GOLDが5%、dカードが3%です。ペイトク無制限もプラン適用から3カ月は10%ですが、それ以降は5%に下がります。その点、auマネ活プラン+の還元はキャンペーンなしの額です。また、auマネ活プラン+には銀行の円普通預金金利が上がるといったメリットもあります。
一方、auマネ活プラン+は年会費無料のau PAYカードでは還元率が下がるため、年会費1万1000円のau PAY ゴールドカードが必須なのはデメリットです。また、eximo ポイ活はd払いかdカードで合計5万円以上利用すれば最大の還元が受けられるのに対し、auマネ活プラン+はau PAYとau PAY ゴールドカードでそれぞれ一定額の決済が必要なのも面倒です。
ちなみにソフトバンクのペイトクは、PayPayが使える店舗の多さが最大の強みでしょう。コンビニやチェーン店はどの決済にも対応していますが、小規模な店舗はPayPayのみといった場合も多く、決済額を積み上げやすいのが魅力です。
●ポイ活プランを選ぶことは、経済圏を選ぶこと
ポイ活プランを選ぶ際に重要なのが、「ポイ活プランの選択は、経済圏の選択に直結する」という点です。経済圏とは、買い物や投資などの経済活動を通信キャリアを中心とした特定の会社/グループにまとめて得する仕組みのことです。最もポピュラーなのが楽天経済圏で、筆者も楽天経済圏にどっぷりつかっています。楽天以外の他キャリアも自社の経済圏への囲い込みに必死です。
特にポイ活プランはバーコード決済、クレジットカード、固定回線、銀行、証券会社の利用などで特典を得る仕組みのため、ポイ活プランを選ぶと、自動的に他サービスの選択も縛られます。例えば、auマネ活プラン+を選ぶと、バーコード決済はau PAY、カードはau PAYカード、固定回線はauひかり、銀行はauじぶん銀行、証券会社はauカブコム証券にするのがお得で便利なため、そちらに乗り換える人も多いでしょう。
通信キャリアだけならまだしも、クレジットカード、銀行や証券会社まで使い出すと、他社に乗り換えるのは大変です。つまり、ポイ活プランを選ぶと、自分がどの経済圏に属するかも決まってしまいます。逆に言えば、スマホはポイ活プランを契約するのに、スマホ以外は他社サービスを使うのは損です。ポイ活プランを選ぶ際は前章で比較した実質料金や条件に加え、「自分が今後どの経済圏を利用していくか」という視点でも検討が必要です。
以上、auマネ活プラン+の解説でした。auマネ活プラン+を含めた各社のポイ活プランは仕組みが複雑な上に、経済圏とも密接にかかわるため、慎重に検討が必要です。公式サイトで大々的にアピールされた還元率や実質料金だけでなく、細かい条件や注釈も含め、しっかり確認してから契約しましょう。上級者向けですが、うまく使えば各社のメインの無制限プランよりお得に使えます。
著者プロフィール
シムラボ
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